GameWithが来期予測増収減益を発表し株価20%安。新規事業に活路をどう見出すか

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2018年7月からこっそりと「ネット企業分析サロン」という新しいサロンを始めました。TheStartupではバナーを貼っているだけで、まだご紹介していませんでした。

詳しくはリンク先をご覧いただければと思いますが、上場企業に特化した分析をポストしたり、サロンメンバーにも担当を持ってもらって分析してもらい、それに対するフィードバックをしたり、個別企業ごとにスレを立てて、いろいろなメンバーが見解を述べていく場を目指しています。

企業分析の記事は世の中に数多くあれども、そこまでガチガチに分析しなくとも、「この企業伸びると思う?どう思う?」というカジュアルな感じでの世間話+α的な「手軽さ」がある場はあまり見かけず、自分自身でそういう場が欲しいと思ったので、作りました。

ざっくりとした調査で、100%厳密にカバーしているわけではないですが、国内のインターネット関連上場企業は150社前後。米国だと主要どころは50社前後で、マニアックなものを加えていくと100社に上りそうです。

まださほどサロンメンバーは多くないのですが、その中で人気な企業としてはこの辺でした。

国内:メルカリ、マネーフォワード、スタートトゥデイ
海外:Amazon、Alibaba、Tencent、Netflix

多数決的に見ると「安定の成長企業」が挙げられていきますね。

しばらくは毎週日曜日更新を目処に、このネット企業分析サロンで紹介した企業について、TheStartupでも触れていきます。

サロンの内容をそのまま抜粋するのではなく、多少の加工をしています。

気軽に上場企業について議論できる仲間が増えると嬉しいなと思っていますので、ぜひお気軽にサロンにお越しください。まだ人数少ないので、議論しやすいフェーズかと思います。

ネット企業分析サロン

初回の今日は「GameWith」を扱います。

GameWith:企業価値と事業数値

☆株式
時価総額:215億
株価:1,256円(2018/7/20終値)
PER:23.7倍

☆業績実績(2018/5)
売上:26.7億(YonY+69%)
営業利益:11.6億(YonY+78%)
当期利益:8.1億(YonY+75%)

☆業績予想(2019/5)
売上:31.5億(YonY+17%)
営業利益:9.05億(YonY-22%)
当期利益:6.2億(YonY-23%)

☆中期経営計画(2021/5)
営業利益:20億
海外売上比率:15%
新規事業売上比率:15%

出展:GameWith2018年5月期決算説明資料

株価に対する梅木の見解

7月11日の決算発表後に20%程度株価ダウン。

中期経営計画を発表したが、来期予想は増収減益で、増収率の鈍化(YonY+17%)と減益(YonY-22%)に対して、個人投資家の反応が悪かったと想定される。

時価総額は500億未満のため、機関投資家が少なく、個人投資家比率が高いと思われる。

PERは上場から1年以上経ったとはいえ、メディア銘柄の中で20倍台前半は一般的には割安な水準にある。懸念としては、主力事業はゲーム攻略メディアであり、ゲームセクターのPERが10倍前後が多いため、メディア事業とはいえ、若干のディスカウントが入るかもしれない。

3年後の2021年の中期経営計画の目標数値を達成できれば、当期利益12億でPER40倍とすると、時価総額480億円となる。

中期経営計画の2021年までの3年間の間に、いかなるイベントが発生するかが、株価の変動に大きな影響を与えると思われる。

将来の見通し:PV単価は3倍の上昇余地が残される

☆主力事業「GameWith」

・マーケット
→「リスク要因」で後述するが、Game8の追い上げによりシェアが奪われている可能性があるが、ゲーム攻略メディアの需要は安定していると思われる。アプリシフトに成功すれば、PV数はまた回復する可能性がある(メディア事業では、ブラウザよりアプリの方がユーザーあたりの回遊ページ数が多いため)

・PV単価
→アドネットワークのみではなく、タイアップ広告の伸びにより改善。タイアップ広告のYonYは+100%を超えており、ここをどこまで伸ばせるかが既存事業の最大のポイントとなる。PV数に頼らない広告商品で、どれだけ伸ばせるか。

☆2018年通期
平均月間売上:2.2億円
平均月間PV:7.2億円
平均PV単価:0.3円

メディアビジネスでは「PV単価1円以上が優秀なメディア」という定義もあり、タイアップ売上が伸びてアドネットワーク比率が上がれば、PV単価が上昇していく。よって、最大でまだ3倍強の単価向上余地がある。

☆3つの新規事業

ゲーム×ブロックチェーン、eスポーツ、ゲーム×資金調達の3つ。

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たしかにブロックチェーンとゲームは相性が良いが、GameWithはメディア事業であり、ゲーム会社ではない。「ゲーム開発」とは自社で開発するのか?

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eスポーツは2021年には世界で2,000億円近い市場に成長する予測がある。

プロスポーツチーム運営による利益は楽天球団やDeNAベイスターズを見るとわかるが、eスポーツなのでリアルスポーツほどのコストが掛からず、高利益体質のプロチーム運営ができる可能性はある。

資料にもeスポーツの売上のパターンの記載があるが、スポンサー売上が一番大きいと筆者は想像するが、プロチームを運営し、そこが人気になった時に、どれだけの広告価値になるのかがポイントとなる。

早めに仕込むのは良いが、eスポーツがどれだけの利益になるのかというのは、一般的な個人投資家には想像しにくいであろう。

リスク要因:Game8の追い上げが脅威

☆主力事業「GameWith」

・月間PVの減少(7.2億程度で横ばい)
→もともとSEOが強くてブラウザのみだったが、アプリシフトがうまくいっていない可能性あり。アプリの方がブラウザよりアドネットワークの収益性は低い点も気がかり。

・PV単価
→上がっているが、タイアップ売上が伸びているから。アドネットワークでの売上はPVの減少と共に減少している。

・マーケットと競合:Game8とAppBank
→上場企業だと競合はAppBankだが、レガシーメディアなのでさほど脅威はない。一方でグノシー子会社のGame8がMAU2,100万と追い上げてきている点は気になる。

GameWithは直近のMAUを開示していないが、過去記事で3,000万MAUの時代に7億PVだったというものが出ている。現在も7.2億PVであることを考えると、MAUは大きく乖離はしておらず、Game8はGameWithの2/3程度のMAUとなっていると想定される。

ゲーム攻略メディア市場におけるシェアを、GameWithがGame8から奪われていると可能性が高く、PVの減少はGame8の成長と無関係とは思えない。

ゲーム市場自体がいきなり縮小することはなく、故にゲーム攻略メディア市場も縮小しているとは想定し難いが、急成長市場とも思えない。

ちなみにAppBankは直近決算ではPV非開示だが、2017年6月時点ではMAU1,000万、PV4,000万。決算では「PVは減少傾向」と記載あり。

・業績に対する読み
→上方修正を出している銘柄なので、社内ではコンサバに読んでいる可能性あり

☆新規事業
・eスポーツ、シード投資、ブロックチェーンとあるが、短期的にすぐ収益が立つかは決算資料からのみでは予測不可能

要議論・検討事項

・主力の「GameWith」はゲーム攻略メディア市場のトッププレイヤーだが、二番手の「Game8」が肉薄してきており、シェアが下がっているのがPV低下の要因と思われる。PVおよびシェアを今後維持できるか否か?その理由も考えたい。

アプリのグロースにかかっていると思われるが、ゲーム攻略メディアのユーザーとアプリの相性は良いのだろうか。

・PV単価の上昇余地はメディア業界の常識で捉えるとあと3倍あるが、タイアップ広告が今後も順調に増えていくと思うか。その理由も考えたい。

・GameWithがブロックチェーン事業から収益を生み出す場合、どういうパターンと立ち上げスピードと利益額が想定されるか。

・eスポーツ事業での収益を生み出すパターンとその立ち上がりスピードをどう考えるか。GameWithというメディアを保有しているので、自社でeスポーツチームを立ち上げた場合、認知獲得は早いという競争優位性はあると思われる。

以上です。最後に2017年5月時点の、上場承認降りた際の記事を。

GameWithが上場。公募時時価総額は142億円。月間PV8.9億で主要収益源はアドネットワーク

この手の軽い分析や、将来に対する問いかけを、ネット企業分析サロンでは行っていきます。米国株についても扱っていきますので、ご興味のある方は下記バナーからご覧ください。

毎週日曜更新予定の「ネット企業分析サロン」紹介では、主にマザーズ銘柄を扱う予定です。



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