お金2.0に見る、経済システムの設計とお金からの解放された後の世界

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話題の書籍、「お金2.0」を秋田の秘湯で読み込んでいました。

正直、今まで佐藤さんのブログ記事がバズった時に目を通したことは多々あるものの、毎回最後まで読み切れず離脱してしまいました。同じような経験がある栽培マンは少なくないのではないでしょうか。(私だけ?)

しかし、本書は比較的平易な感じでわかりやすく、編集のパンティ箕輪がどれくらい手を入れたのだろうか?が結構気になりました。

個人的に刺さった内容は「経済システム」と「お金からの解放」の話で、この2つに関連する箇所を本書からいくつか抜粋してご紹介します。

必見!経済システムを構成する5つの要素

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図の概念としては本書内でこれが一番刺さりました。

経済システムはC向けのウェブサービス設計に応用できる考えが多々あるというか、特にコミュニティやCGMサービスは経済システムとして設計が秀逸か否かがグロースのポイントの一つである気もします。Facebookやtwitterとか、見事に5つの要素を備えていますよね。

ヒットするサービスを考える際は、生理的欲求以外の社会的欲求を刺激できる仕組みを導入できないかを考えてみることが重要です。

またサービスがリアルタイムとは言わずとも、毎日毎週毎月変化する企画があることで、ユーザーは常にそのサービスのことが気になってくるようになり、何度も訪れてくれる可能性が高まります(本書からの引用)

このシステムを押さえた上で、脳が欲する「報酬」についての人間の構造的な話もあります。報酬が満たされた時のみならず、「期待できる状態」でも快楽物資を分泌するとか、予測が難しいリスクのある不確実な環境で得た報酬により多くの快楽を感じやすい。逆を言うと、非常に退屈しやすい、飽きやすい性質があると述べられています。

そういった脳が欲する報酬の構造を踏まえた上で、システムを設計することが大切であると。WEBサービスに応用できると上述しましたが、AKB系ってこの経済システムを押さえた設計が他のアイドルと比べて相当秀逸で練りこまれていますよね。乃木坂46などの「寿命の移動先」を用意していたりもします。

とにかく本誌を読んでいるWEBサービスを設計している人は、この経済システムを構成する図は頭に叩き込んでおくべきでしょう。

お金で解決できないコトの価値が上がる

「お金からの解放」に関しては、パンティ箕輪が最近「お金がコモディティになる」みたいなツイートをしていますが、より具体的に考えてみるとどういうことなのでしょうか。

私の予想としては、AIやロボットの浸透により、貧富の差は確実に拡大します。栽培マンはAIやロボットに取って代わられていき、価値が下がっていき、お金を稼げなくなっていきます。逆にクリエイティブワーカー、より厳密に言うとコモディティの対極であるオリジナリティの価値が相対的に上がり、富もそちらに集中していきます。

お金がコモディティになるのは、クリエイティブワーカーの側の人たちにとっての話な気がします。

この感覚はクリエイティブ側の末席にいる私もすでに実感していることで、こんなに税金払って、なんで稼がなきゃいけないんだっけ?と思っていたりします。ランボルギーニ欲しい!とかそういう欲求もないですし。

人生の意義や目的とは欠落・欲求不満から生まれるものですが、あらゆるものが満たされた世界ではこの人生の意義や目的こそが逆に「価値」になりつつあります。

人間は物質的な充足から精神的な充足を求めることに熱心になっていくことは間違いありません。これから誰もが自分の人生の意義や目標を持てることは当然として、それを他人に与えられる存在そのものの価値がどんどん上がっていくことになります(本書からの引用)

これは非常に納得できる話で、少なくともモノという観点からは私自身ある程度満足してしまっています。欲しいモノは正直ありません。愛とかはモノではないですし。

独立当初は稼ぎたい!とか毎年売上が上がっていくことを快感に感じた時期もありました。昨年初めて減収となりましたが、マイナス成長はちょっと嫌だなと感じたものの、今振り返ってみるとそれは所詮プライドの問題だったなと感じますし、生活に不自由するレベルではありませんでした。バーキンを買ってプレゼントするくらいの余裕はありました。

すでにモノやお金ではテンションが上がらない自分がいるのです。

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そして今現在まさに「人生の意義や目的」を見つけられていない状態であり、ゆえにそれを与えてくれる存在の価値の高さを認めることができます。

本書にはマズローの五段階欲求の最上級「自己実現欲求」のさらに先の欲求、社会全体の自己実現を助けたいという利他的な欲求が生まれているという話もあります。

これも理解できる話で、私がたまに無料コンサルとかに応じるのは「人の役に立ちたい」という欲求から来ていますし、周囲の起業家を見ていても、気前よく助言してくださったり、助け合いの精神的なものを見かけます。

最後の方で本書では、モノではなく内面的な価値に重きが置かれるようになる。ライブ配信での投げ銭や、ゲーム課金は、シニア世代には理解されにくい。モノではなく内面的な価値を感じるミレニアル世代にそういった消費傾向があると指摘しています。

ビジネスチャンスとしては確実にそういう点にあり、マクロで見ると「モノを扱うだけの小売業やEC」の価値も下がっていくでしょう。サービス業的な価値も重要で、Amazonや楽天は既にそのフェーズを推し進めています。

ちなみに栽培マンたちの多くは何のために働いているのでしょうか?お金のためでしょうか。本当にエクセルワークとかに意義や喜びを感じているのでしょうか。多くの仕事がAIやロボットに代替していく中で、代替されない意義を探せないと生き残っていけない。私はすでにそれを実生活で体感しています。

やりたいコトを見つけて、それにハマってその価値を高めないとヤバい時代が到来しているのです。そのハマれることが、人間の内面的価値をくすぐるものだと、今後顕在化していく需要に対する供給となるので、価値があっていくでしょう。

私は内面的価値をくすぐる一つの形態として人々をつなぐサービス、狭義にはマッチング、広義にはコミュニティサービスみたいなモノの価値が上がっていくと踏んでいて、小さな経済圏でもいいから、そういうモノを次は仕掛けたいなと考えています。

システムを考えたい側の人にとっては必読かと思いますので、本誌読者で読んでいない方は少ないかもしれませんが、まだの方は下記からどうぞ。

ちなみに本書では「価値主義」にもそれなりのページが割かれていますが、大抵の栽培マンは価値主義を体感できておらず、創られた市場という檻の中で踊っているだけに見えます。

給料が上がらない!とか言っているのはナンセンスで、代替できる人がいる市場においては、その人の価値は相場以上には上がりにくいのです。市場を創る側の価値が大きく、労働時間や努力としての対価を求めるのはナンセンスで、価値ベースで対価を考えるべきです。

金のために働くのではなく、やりたいコトを追求した結果、潤っていく構造にシフトしていくと思われます。お金のことを考えない方が、結果的に幸せになっていくのかもしれません。



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