2017年10月に、ウォーレン・バフェット率いる、バークシャー・ハザウェイの副会長であるチャーリー・マンガーに関する書籍が発売されました。
マンガー氏はバフェット氏と比べると知名度が相当に低いのですが、バフェットの意思決定にかなり影響を与えてきた人物としても知られています。元々は不動産の弁護士だったそうですが、のちにバフェットと出会い、バークシャーへ。
投資に興味がある方はぜひ一読してみると良いと思います。名言+その解説という形式で、平易で読みやすい。
本稿ではこのマンガーの投資術の中から、「名言6選」として私が気に入った6箇所を引用してご紹介します。下記マンガー氏の画像はシャッターストックより。
そこそこの会社を割安な価格で買おうとするのではなく、素晴らしい会社を適正な価格で買いなさい。
マンガー氏の功績として最も大きいと紹介されているのが、バリュー投資一辺倒だったバフェットの考え方を、上記の考え方に変えさせたことだと言われています。
バリュー投資の弱点として、その会社の株が割安な水準から妥当な水準へ値上がりした時点で売るべきというもので、10年単位の長期保有には向かないという点が挙げられます。「素晴らしい会社を適正価格で買う」という方針により、バークシャーは10年20年単位で保有して売却益のみならず配当でも利益を上げるようになっていきます。
唯一注意しなければならないのは、愚かなことをしないこと。
すなわち、良い投資機会を見出したのに何もしなかったり、わずかしか投資しなかったりすることである。たいていは怠慢が原因なのだが、こうした過ちを犯さずに正しく行動することは、実際にはそれほど簡単ではない。
これは本当に言うは易し、行うは難しで、ほとんどの人にとっては「愚かなこと」というのは実行した投資で損失を出してしまうことと感じるのでしょうが、このような機会損失を最小化することこそが重要であり、チャンスを見過ごして、機会損失を積み重ねることこそが「愚かなことである」とマンガーは教えてくれます。
大抵の本誌の読者はビットコインを未だに買えていないかもしれません。
「投資機会損失」に関してはUmeki Salonでも最近トピックにしており、木村さんに自らの機会損失について披露していただくという、貴重な情報を得ることができました。
株価が下落すればするほど、間違った値幅が拡大していく。こうした局面こそが、オッズが有利になる瞬間であり、迷わずに買うべき。
安い価格で株式を手に入れることができれば、やがてはその成長性が業績を押し上げてくれるだろう。
頭ではわかっているのでしょうが、急落するナイフを素手で掴めるか。みたいなもので、下落時に買える人って普通の精神力ではない気がします。しかし、そこに旨みがあるのも事実で、バークシャーは金融危機のたびに用意しておいた現金で割安になった株を手に入れていき、含み益を伸ばしていきます。2008-2009年はウェルスファーゴ株をかなり買っている。
待つことは、投資家にとって大きな助けになる。多くの人は待つことができない。
暗号通貨のトレーディングに関して、特に8月のビットコインハードフォーク前に何人かと自らのポジションを意見交換しましたが、まあ本当に皆さん待てないですよねw 待つって、結構難しいですよね。みんなができないからこそ、相対的に価値になる。
ビジネスの世界では、一つか二つの変数を馬鹿馬鹿しいほど最大化したり最小化することが勝利をもたらすことがある。ディスカウントストアのコストコが良い例だ。
これは投資の話というよりビジネスの話ですが、多くのスタートアップにも参考になる金言だと思います。これの実践することで、ディスラプティブな企業と呼ばれるようになっていくのでしょう。
永続的な競争優位性があり、自分の意思で価格を引き上げることができる「良い会社」に的を絞ることが重要。
これはビジネス・デューデリで非常に有用な視点で、この話の直前にあったのが「消費者独占」の話。シーズ・キャンディーズという投資先のチョコレートは値上げしても需要が減退しなかった。
これはシーズは消費者の心を掴んでおり、明確な競合がいないため、多少価格が上がっても消費者が離れなかった。当然ながらが値上げは利益の増加を意味し、価格競争に巻き込まれず自分の意思で価格決定できる企業は、永続的な競争優位性があると考えることができる。
この教訓から、バークシャーはコカ・コーラに投資したという。
他にも多数金言がありましたが、本稿での紹介はここまでに。
4章構成ですが、PART1の「投資で成功する考え方」が個人的に刺さる話が多かったです。是非皆さんも一読して、気になる箇所を共有して欲しいですね。
暗号通貨の浸透により、株式投資をしたことがない人でも暗号通貨を持ち始めて、いつ買おうか売ろうか悩んでいる読者も多いかと思います。そういった際にも、賢人達の金言は有用かと思いますので、一読をお勧めします。