2015年に1億未満の調達を実施した72社の行方:5社がM&A済

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一部でコアなファンがいる?と思われる、過去調達企業たちの検証記事。

今回は2015年に1億未満の調達を実施した72社を対象(各テックメディアにリリースがあった企業をまとめていますが、当然ながら資金調達のリリースを出していない企業もあるため、網羅性は全然完璧ではないことをご了承ください)として、その後を追いました。

数千万円調達でスタートアップが持つのは半年からせいぜい1年半。よって、2015年上期で数千万円調達した企業は、順当であれば次のラウンドの調達に進んでいるはずです。

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2017.3.12 22:30追記
数社から「うちも調達してます!」という声をいただいたので、データを少しupdateしました。
#ファクトチェック漏れ、失礼いたしました

対象企業数:72社
M&A済企業数:5社
次ラウンド1億以上資金調達企業数:26社
次ラウンド1億未満資金調達企業数:4社
次ラウンド未確認企業数:37社

M&A済企業5社:ダークホースたち?

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5社とも買収金額は非公開なので、M&A発表時の各起業家の表情のほくほく具合を見て、買収金額を予想しました。

あくまで予想ですが、4社とも2015年の数千万円調達でのバリュエーションは2-4億程度の間ではないかと思います。ウィンクルは2016年1月にユナイテッド、iSGから9,000万円追加調達していますが、さほどバリュエーションを上げなければ、1桁億後半でのM&Aは可能。

フリップデスクは2015年9月にサクッと売っていますが、他の3社は2017年に入ってからの買収。しかも、えっ?そこかよ?という。シナプスのM&Aについては本誌ではかねてから予想していましたが。これらの買収を可能にしたのは、バリュエーションが控えめだったからではないかと感じます。

2017.3.12 15:00追記

インターネット広告配信のブランド保護、不正対策ツール提供のMomentum社がVoyageに2016年7月の持分適用化されていた件を見逃していました。20%の取得価格約0.6億円のため、バリュエーションは3億程度。

次ラウンド進出企業30社:ウェルスナビ、SmartHRなど

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ひょっとするとスマホだとかなり見にくいかもしれません。クリックすれば拡大できます。

24社全てではないですが解説していくと、最も目立っているのはウェルスナビでしょう。これだけガンガン二桁億調達している企業も、登記簿を見るに2015年7月ラウンドは5,000万の調達です。ちなみに当時の記事によると、IVPの小林さんが社外取締役就任とありますが、今はどうなっているのだろうか。

続いては順当にSmartHRが5億調達。B2B月額で手堅く、これはIPOいけるとTSでは判断。

大穴どころでは、VAZが2.1億調達。LINE LIVEなどで強いようです。若手起業家の森CEOが率いますが、SMEやホリプロを株主に迎え、この辺を相手に15-20億でのM&Aが実現すれば、大金星にも思えます。

TS予想は全社にはしておらず、判断しかねるところは空欄としましたが、M&Aでいうと、IoTの落し物センサーのMAMORIOや、ECのCVR向上のZenClerk、この辺りがあり得ると予想。

IPOかM&Aで判断しかねる注目銘柄だと、住宅ローン借り換えのモゲチェックがGCPが張っているという点と、明らかなニーズがあるサービスと感じたのと、中古車C2CのAncarは面白そうだと思います。単価が高いC2Cが成立すれば、手数料でスケールするのではと。中古車業界に強い方が運営していると聞き、このようなテクノロジー化が遅れている業界のインサイダーから参入するのは、勝率が高そうだと判断。

次ラウンド未確認企業37社:敗戦濃厚企業群

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この群で頭一つ抜き出るスタートアップが出る確率は上記と比べるとかなり低いでしょう。モブキャスト出身の佐藤さんが手がけるスマートアプリとか、一見中途半端な調達は必要なさそうなシリアルアントレプレナーのサービスとかであれば、抜け出す可能性はありそう。

この群は半分近く私も「回収不能(もしくはさほど跳ねない)」判定が出来るのですが、界隈での知名度が高いのはカウモですかね。M&Aされる気がなさそうという声を、度々耳にします。

IVSで当時準優勝していたTreasure Boxに注目していたのですが、HPを見るとサービス名はQubenaに変更しているようです。AI型EdTechでタブレット使って自分だけの先生を〜というコンセプト。EdTechはQuipperの奇跡のEXIT以外は跳ねているのを見かけませんし、この企業もまだオフィスが三茶で資本金4,000万のままなんですよね。気になるけど、どうなのでしょうか。

以上です。

2015年数千万円調達企業72社からは、3社くらいのIPOと8社くらいのM&Aが出れば良いのではと。そう考えると、回収可能確率は15-20%くらいでしょうか。なかなかリアルな数字かと思います。数千万円調達企業の半分は消えゆく(もしくはリビングデッドな)運命ではないかと。

ちなみに皆さん、本誌の「△」や「×」の評価が結構気になるようですね。TheStartupのデスノート力は、案外あるのかもしれませんね。

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