TheStartupが2016年にM&Aされると予測する10社

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昨日の2015年1億以上調達企業からTheStartupがIPOは堅いと予測する14社に引き続き。

2014年2月に出した買収におすすめなスタートアップ3選✧というMery調の記事が、先日のイグニスによるU-NOTEの連結子会社化により3社とも的中となりました。書いて1年半後くらいに「当たっとるわー」という長い時間軸で答え合わせできる記事は面白いですよね。

ということで、今回は2016年にM&Aされると予測する10社をお届けします。半分は的中して欲しいと思いますが、買い手と売り手の相対取引なので、IPO予想より難しいのですよ。

20億以上でのM&A予想:5社

◼︎1:ネイルブック(スピカ)

一発目はネイルブック。本誌でも再三紹介していますが、ネイルサービスは広告モデルが強い中で本格的なCGMはまだネイルブックくらい。ディフェンスM&Aとしてリクルートや楽天が買収するのもアリですし、美容分野を強化したい上場企業が買うとかありです。本来であれば上場して資金が結構ある状態のリッチメディアとかが買うと良かったのではないかと。

◼︎2:FIVE

本誌では扱うのは初かも。2015年3月末にGREE堤VenturesとDonutsが出資したスマホ向け動画広告サービス。こういう案件はBDVが絡んでいればKDDIが買収するというスタートアップ業界裏の方程式が存在しますが、まだBDVは出資していないようです。広告系スタートアップはローンチから2-3年以内に売却するケースが多いので、2016年中に売却できれば御の字。本命はKDDIで、キャッシュリッチなDonutsが追加出資というか買収する場合もあり得る。

プライベートモバイル動画広告マーケットプレイス 「*Moments by FIVE」を2015年10月にローンチしており、ティーンエイジャー400万人にリーチできるとしていますが、おそらく株主であるDonutsのMixChannelが主要な配信先でしょう。

同じスマホ動画広告でいうとVIDEO TAPを提供するOPEN8もM&A予想としていましたが、最近8億調達したので、少なくともvaluationは20億以上なはずで、そうなると30億以上でのM&Aとなるため、買い手が減るのでM&A予想を控えました。少なくとも2016年を走りきる体力はあるので。

◼︎3:リクロ

C2B2Cサービスのリクロ。委託系はTheRealRealという好敵手がIVP分裂前に日本から撤退しており、競争環境は有利になったはず。インバウンド客の需要を掴みにいっている話も聞き、国内よりは海外企業へのクロスボーダーM&Aを狙えると良いかと。

◼︎4:Nagisa

現在アプリマーケットから姿を消しているNagisa。漫画サービスが原因と言われているが、多くのヒットアプリを生み出し、DL数を伸ばしてきたアプリ開発運用手腕はたしか。IPOではなくM&A路線に切り替えると予想。

◼︎5:スクー

この5社の中では最も老舗で知名度も高いと思われるスクー。2014年4月には東洋経済オンラインでIPOという甘めの予測を出したが、やはりこのモデルでIPOまで持っていけるとは思えない。力尽きてM&Aと予測。ただ、オリジナル動画コンテンツを持っている企業を評価してくれる企業は必ずやあるはず。案外DeNAあたりが25億くらいで拾ってくれないだろうか。

10億前後以上でのM&A予想:5社

続いては20億には届かないものの、一桁億後半から10億台後半でのM&A案件を予測。

◼︎1:ママリ

DeNAが買収しても良さそうな子育て主婦向けキュレーションメディア。ライフスタイルのバリューチェーン的にリクルートあたりが欲しがりそう。後述のCozreと市場自体は被る。

キュレーションメディアに関しては2015年3月に次の買収はここだ!キュレーション・バイラルメディア5選()という記事を出しており、この直後に実際にFind TravelがDeNAに買収されている。他の4案件の決着はまだな模様。

◼︎2:Cozre

ママリほど知名度がないだろうが、同じく子育て系のメディア。Cozreマガジンはキュレーションメディアっぽいが、元々のCozreはスポット情報のCGMでありDB設計が優れている印象。筆者が買収側のアドバイザリーであれば、サイト構造的にママリよりCozreを高く評価するだろう。トラフィックはママリの方があるだろうが。

◼︎3:ZenClerk

ECのCRM(というか購買動機促進)サービス。個人投資家ラウンドを経て、2015年7月にはNYの投資ファンドであるSocialStartsから出資を受けている。この領域はM&Aは手堅いと思っており、すでにFlipdeskが先陣を切ってKDDIに買収されている。3億以上程度の大きなラウンドよりは、次のラウンドはやらず20億手前くらいで売れると良いのではないか。ただ、ここの経営陣に会ったことがないので、ポテンシャルを読み違えている可能性があるが、ECのCRM領域でIPOは難しい。Karteが5億調達しているが、ハイ・バリュエーションでのM&Aはなかなか難しいだろう。

◼︎4:シナプス

本誌読者ならお馴染みなオンラインサロンプラットフォーム。3年以上サロンを運営しているわけですが、案件としてみたときにIPOはない。どのタイミングでいくらで売却するのかという見極めが難しい案件だ。プラットフォームに載っている筆者や堀江さん、はあちゅうのような稼ぎ頭が事業資産であり、みんなそろって他社に乗り換えられたらどうすんねんというリスクもある。早めに売却しておくのが関の山だと思うが。

◼︎5:キッズカラー

大穴で最後に1つ。保育系の情報サービス。BabyTechといういい方を本誌ではしたことがあるが、子供関連のアーリーステージのサービスが実は最近多い。ここもわかりやすくリクルートやベネッセみたいな企業が売却先に想定できるし、出版社系も子供関連領域には興味があると聞いたことがある。ここは株主であるソラシード柴田氏のEXIT力に期待したい。

おまけ:売却し損なうであろう2社

◼︎1:Wonder Shake(Locari)

2015年3月のキュレーションメディア買収予想に連ねていましたが、再三売却の噂がありながらまだ決着しておらず、完全に売り時を逃した印象。来年も女性向けキュレーションメディアの価値が高まるどころか維持できる保証はない。競合のMeryは年末からTVCMを打ってくることを発表しており、完全にタイミングを逃したと本誌では予想する。

◼︎2:カウモ

同じくキュレーションメディアのカウモ。サイトを見てみたが世界観がイマイチ感じられないし、噂にはSEO依存と聞く。この手のサービスは10億で売れれば関の山であるが、創業者が相当な強気と聞いており(全然弱気だったらすいません)10億の買収オファーが来ていても蹴っていると思われる。身の程というかマーケット感覚がなく、売り時を逃すと予想。

ぜひこの2社には本誌の予想を覆して、華麗なるEXITを決めていただきたいですね。

以上です。M&AはIPOより予想が難しい。皆さんも「この企業は来年M&Aありそうだ。納得」とか、「他にこの企業は来年ありそうではないか?」とかぜひtwitterなどでtweetしてみてください。場合によっては「たしかにそこもM&Aありそうですね」とか「いや、そこはないですね」とRTして突っ込んでいきます。

M&Aには創業者のセンスが表れると思います。バランス感覚の良さというか、マーケット感覚がきちんとあるというか。マーケット感覚なさそうな経営者の方が大化けする確率は高そうですが、その分負ける確率も高いと思うので、VCとしてはM&Aで手堅く3-5枚程度のEXITを出していくプレイもポートフォリオ的には重要だと思います。



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