VCは死んだ?日本のエンジェル投資家10選

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久々に「スタートアップ感」のあるネタです。

とある天使と最近メッセンジャーしていて

梅木:イケてるVCってどこすか?

天使:いやもうエンジェルの方が全然いいすよね。VCなんてC向けのプロダクトのことなんて大してわからなじゃないないですか。フリルの堀井さんとかに聞いた方がよほどいいですよ

梅木:なるほど…

こんな話になりました。エンジェルさんなので、エンジェルがいいよ!というのは多少ポジショントークが入っていると突っ込まれそうなものの、ここ2年くらいで日本のスタートアップもエンジェルの層が厚くなったと感じます。

国内で「スタートアップ」という言葉が定着してきた2011-2013年くらいは、家入さんが西麻布に飽きたのか、よく若い起業家にエンジェル出資していたのを見かけた記憶があります。

時は経ち2017年に入ってくると、主にM&AでのEXITで巨額の現金を手にした人たちを中心に、エンジェル投資が少しずつ活性化してきました。

エンジェルの投資先はシードやアーリーステージが中心で、ニュースリリースで表に出てこないものもたくさんあります。というか、そういう案件の方が多い。エンジェルは基本的に「何かしらの事業を一度は当てたことがある方」ですから、ぶっちゃけその辺の事業経験のないVCよりはよほどプロダクトへの助言の説得力があります。

しかも、VCのようにDDをガチガチでやることもなく、「ノリで300万とかなら」という「ノールック出資」というのも界隈ではあるようで、シード・アーリーの起業家にとっては時間的コストが低く、付加価値はVCより高いという、「VCいらなくね?」状態になっています。

記事タイトルは煽ってみましたが、シリーズB,C以降の巨額調達の際にはまだVCは必要と思いますが、特段シードやアーリーの「スタートアップ段階で3,000万円欲しい」みたいな段階での、VCの存在意義はエンジェルの台頭によって薄れてきているというのが実態です。

ここは各々ポジショントークがあると思うので、読者は「誰の意見か」というのを前提に、話を聞いた方が良いと思います。私はフラットなメディアの立場からすると、上記の通り「時間コストが低く、助言の付加価値が高い、なおかつバリュエーションなどの投資条件もVCより優しい」ため、VCとエンジェルで迷ったらエンジェルが良いのではないかと思います。

半分冗談半分本気ですが、DDや契約条件の負荷を考えると、個人投資家はエンジェル、VCはデビルに見えることもあるかもしれません。

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そこで本稿ではシード・アーリーステージの起業家の皆さんのために、ウメキワークスのデータベースから引用した、日本のスタートアップエンジェルのリストを梅木コメント付きでご紹介します。

注記:あくまで公開情報を元にしており、非公開情報の方が断然多い中で、投資件数の正確性は保証いたしません。あくまで「メディアでよく名前を見かける」方を中心に選定しています。

尚、今回の選定はエンジェル投資家木村新司氏はDas Capitalを創設し、そちらでの投資活動を展開しているため、紹介から除外しております。殿堂入りということで。。カテゴリー「木村新司」はこちら

The Startup選定:日本のエンジェル10人

☆やや若めエンジェル(Under36)
佐藤裕介
有安伸宏
古川健介
中川綾太郎
赤坂優

☆いぶし銀エンジェル
家入一真
川田尚吾
高野秀敏
千葉功太郎
青柳直樹

敬称略ですいません。

ニュースリリースで投資案件に出資者として名前を公開している件数を調査したのですが、非公開案件の方が多い中で、あまり意味がない数字に思えました。公開案件での投資件数10件越えは、佐藤さんと千葉さんでした。

尚、川田さん以外は全員面識があり、かつ千葉さん、家入さん以外の7名はUmeki Salonメンバーです。下記の「梅木:」は私からのコメントです。勝手なマイミクの紹介文みたいなものですね。いい迷惑だw

☆佐藤裕介
EXIT済投資案件:3ミニッツ、PKSHA Technology
期待案件:ツクルバ、dely

梅木:佐藤さんは私が知る限り、かなり早い時期からエンジェル投資をされています。フリークアウトが上場して、そのキャピタルゲインを得る前からやっていますね。ゆえに、国内のスタートアップ・エンジェル投資家としては梅木調べではおそらくトップの案件数を誇ると見ています。

Umeki Salonのイベントにも登壇いただき、エンジェル投資についていろいろお伺いしましたが、「いつか必ず来るもの」を時間軸を気にせず投資するという話が印象に残っています。長い時間かけてでも、その経営者がくじけずに頑張る理由があるか、とか。

エンジェルの場合はファンドと異なり、「満期」という概念がないので、時間を気にしないという点は、出資を受ける側に大きなメリットがありそう。噂によると「ノールック出資」派です。フリークアウトのCEOという本業がある中で、これだけの数をこなしているのは本当にすごい。あと実は、めっちゃいい人ですね。モテそうです。

☆有安伸宏
EXIT済み案件:マネーフォワード、ママリ
期待案件:AnyPay

梅木:減損率ランキングでは首位に輝いたコーチ・ユナイテッド創業者の有安さんですが、次の事業をやるのではなく「エンジェル投資家」としての活動をメインにしているっぽい、動きです。投資先に対して「有安パック」的な手厚いサポートをされているのも、いいですね。

☆古川健介
期待案件:非公開

梅木:nanapi買収から3年が経ち、そろそろロックアップが切れる頃かと思います。実は名前は全く開示されていないのですが、本人曰く「結構投資してる」とのことです。印象としてはC向けと若者案件が多く、けんすうさんは連絡して一度会えば出資してくれるのではないかという「ノールック出資」派だと聞いたことがあります。

☆中川綾太郎
期待案件:LIPS

梅木:MERY買収から3年が経ち、最近記事のリリースでも名前を見かけるようになりました。公開案件は梅木調べでは5件程度でしたが、かなりの件数を出資していると聞いています。

唯一の20代エンジェルということで、20代からの崇拝力が厚そうで、20代の起業家に聞くと大抵「あやたろうさんは神」というセリフが返ってきます。20代起業家のソーシング力は最も高いと思われ、界隈には「あやたん教」はあるのではないかと思われます。特にC向けサービスのインサイト力は高いのではないでしょうか。

尚、最近はインスタグラマーとしても活動しているようで、彼の影響力でシャイン・マスカットユーザーが界隈で増殖しているようです。

☆赤坂優
期待案件:エブリー、SmartHR

梅木:エウレカ買収から2年半が経ち、最近記事のリリースでも名前を見かけるようになりました。朝がとても弱いらしい赤坂さんの最大の強みはサービスプロデュース力という話はよく耳にしており、特にC向けサービスの助言を受けたい起業家にとっては良いのではないでしょうか。

☆家入一真
期待案件:BASE

梅木:また最近スタートアップ投資で家入さんの名を見かけるようになりました。冒頭にあった2011-2013年頃のparty factoryのリターンは如何に。

なんとなくですが、家入さんは気が小さそうというか、投資先がうまくいってなくてもあまり詰めたりはしなそうですよね。「なんとかなるよぉ〜」とか言って、慰めてくれそうな人です。自身もCampfireを頑張っていらっしゃいますが、最も起業家の気持ちがわかりそうな共感力が高そうなエンジェルです。慰めて欲しい時に必要な存在ですね。

☆川田尚吾
EXIT済み案件:ウォンテッドリー
期待案件:キッズライン

梅木:唯一面識がないので何も言えませんが、一度ニルヴァーナニューヨークでお見かけしたことがあり、ご挨拶しそびれました。。申し訳ございません。川田さんも、家入さん同様、エンジェル投資の黎明期に活発に活動されていた記憶があります。

☆高野秀敏
EXIT済み案件:クラウドワークス
期待案件:メドレー、Bespoke、ALLSTOCKER

梅木:高野さんもよく出資しているらしいというのは聞くのですが、記事のリリースの名前にはそこまで多くは出てこないですね。そんなに積極的にやっているわけではないと仰っていましたが、HR関連の企業とかは高野さんの知見が役立ちそうですよね。

☆千葉功太郎
EXIT済?:relux
期待案件:CLUE、SmartHR、MagicPrice

梅木:千葉さんは佐藤さんと並ぶくらい投資案件が多いと予測しています(梅木調べ)ドローン特化ファンドは有名ですし、「千葉道場」なる投資先を集めた合宿の様子を、よくFacebookで見かけます。ゆえに投資先の満足度も高そうで(実際何社かのCEOは良いと言ってました)「投資先ネットワーキング力」という点では、その辺のVCよりよほど強力そうですね。

投資先同士のノウハウ共有や、マネジメント力のいろはを学びたい起業家にオススメできそうです。

☆青柳直樹
期待案件:Wamazing

梅木:青柳さんはGREEを退任されて1年経ちましたが、スタートアップ業過に顔が広そうで、今後投資案件が増えていくのではないかなと思っています。GREE時代にかなりたくさん投資を実行されていらっしゃいますので、肌感覚もお持ちだと思います。各種ピッチコンテストの審査員でよくお見かけしますし、信頼も厚そうです。

以上簡単ですが、TheStartupが勝手に「日本のスタートアップ・エンジェル10名」をピックアップしました。やばい、人によって紹介分量にばらつきありそうだが、みんないい人だと思いますよ!w

VCは死んだ?というタイトルにしてみましたが、実際に案件によってはシード・アーリーはエンジェル投資家で固めているケースも見受けられます。とはいえ、エンジェルだけでシード・アーリーの資金需要を賄えるものではないので、VCからの調達もまだなくなりはしないと思います。

しかし、エンジェルの投資案件とVCの投資案件の成功率は異なってくるかもしれません。特にC向けサービスの場合、エンジェルから助言を受けた企業の方が適切に成長する可能性が高いのではないかと私は思っています。この答え合わせは、数年後ですね。

極端に言うと、エンジェル=1st Tier、独立系VC=2nd Tier、金融系VC=3rd Tierという暗黙の棲み分けができていく可能性はあるなと感じます。ただエンジェルはそれが本業ではないので、それが本業である独立系VCはいざという時は頑張ってくれたり、自社ファンドを代表するような案件は必死に取り組んでくれるかと思います。

起業家の皆さんの資金調達検討時にご参考になりますと幸いです。



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