会計系ではないFinTechの大型資金調達4選

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日本のスタートアップでいうFinTechって、最初にZaimなどの家計簿が出てきて、次にマネーフォワード!freee!!みたいな会計系プレイヤーが登場して巨人に。2013年頃からCoineyのような決済、2015年に入ってビットフライヤーのようなビットコインの大型調達が出てきました。

しかし、2015年下期に入って上記以外のプレイヤーの大型資金調達が目立つようになってきたのでFYIがてらサラッとまとめておきます。

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1:One Tap Buy(株式売買。推定6億:2015.1.30)

最近よく見かけるサービス。TechCrunchのスタートアップバトルにも出場していたようです。調べてみると、年初にモバイルインターネットキャピタルなどから資金調達している模様。そのラウンドはリリース記事に出ていませんが、資本金額から類推するに最大6億くらいかなと。

「One Tap Buy」はスマホで簡単に株式売買ができるアプリで2016年2月にローンチ予定とのこと。下記のTechCrunchの記事に詳しい。

3タップで簡単売買、スマホ証券「One Tap BUY」が金融商品取引業者として登録完了

恥ずかしながら私は実は証券口座を開設していない。ビジネス倫理的な言い訳をすると、私の立場ではかなりの企業の情報を耳にしてしまうため、特にインターネット株の売買はやらないほうが無難だ。しかし、SBIや楽天で口座を開設しようと試みたものの、「なんか複雑でよくわからなかった」のである。よって、株式売買がスマホですごくイージーにできるというのはユーザーとして魅力的に感じる。いまだに一番見やすい株式情報アプリは、iPhoneに入っているデフォルトのアプリだ。

2:ウェルスナビ(資産運用。6億:2015.10.27)

2015IVS SpringのLaunchpadにも登壇していたウェルスナビ。こちらはGREE VENTURESやIVPから6億調達のリリースが出ています。

資産運用アドバイスのウェルスナビがグリーベンチャーズほか6社から約6億円を調達

30-40代の富裕層を対象とした資産運用サービスとのことですが、このサービスにおいて富裕層とは資産いくらくらいを指すのかが興味深いところです。数億円資産があればプライベートバンカーをつければ良いのでしょうが、プライベートバンカーがつかないような資産数千万円後半から1億レベルの人がターゲットでしょうか。ブリッジの記事を見る限り「準富裕層」との記載もあるので、その辺がターゲットなのでしょう。私みたいなやつが多分ターゲットですね。

預かり資産の1%を手数料として取るモデルのようです。私はベンチャー投資やM&Aの仲介業をしている割には、プライベートでの金融リテラシーは低く、保険とか太陽光を持っているくらいで、株や債券や投資信託には張っていません。これからビットコインにも張ろうと思っています。

案外、面倒だから運用とかいいやっていう準富裕層は多い気がしています。その意識をどう変えられるか。競合は野村証券のリテールバンカーとかになるんでしょうね。ロポット資産運用とも謳っており、リテールバンカーより精度の高い運用助言を強みにするのでしょうか。野村マンもAIにリプレイスされる日が遠くないかもしれませんね。とはいえ、そこの精度はまだわからない。良い感じのUIで資産ポートフォリオを把握できるのは嬉しいサービスですが、マーケティング難易度が高そうだなという印象です。

家計簿及び資産管理サービスとして私はMoney Treeを愛用していますが、UIが相当見やすくて良いです。ウェルスナビのマーケティングに今後期待しています。

3:お金のデザイン(資産運用。15億:2015.12.4)

2013年8月創業で15億調達ですか。しかもUTECやGCPやITVなど、人気銘柄に群がる系ディールの様相を呈しています。それもそのはず、ファウンダーはあすかアセットやライフネットの創業に携わっている谷家さんなんですね。大人ディールの香りです。チームメンバーを見ても金融コンサルのゴリゴリ系で固まっていますね。こういうチーム構成にありがちなのは、本当に使いやすいサービスになっているか?という点で、サービスローンチを楽しみに待ちたいと思います。

お金のデザインという資産運用サービスで口座開設から運用まで一環してできるという点では、ウェルスナビより一歩先を行っているイメージです。ウェルスナビとお金のデザインは今時なUIの資産運用サービスで若い準富裕層を取り込みたいということでガチ競合ですね。互いに大型資金もしたし、2016年は資産運用分野でのマネーフォワード vs freeeよろしく、派手なプロモーション合戦が繰り広げられる可能性がありますね。

4:クラウドキャスト(経費精算 数億前半:2015.12.11)

最後はStaple という経費精算サービスを運営するクラウドキャスト。クレディセゾンとIMJ IPから数億円前半の資金調達を発表。

地味ではありますが、経費精算はダルいですよね。B2Bで手堅く使われそうなイメージがあります。とはいえ月額600円サービスなだけではあまりスケーラビリティは感じないのですが。類似サービスとしては請求書発行のmisocaがあり、長年愛用していますが、同じくIPOできるほど売上が立つイメージがないです。

以上です。注目としてはウェルスナビ vs お金のデザインでしょうか。内情としてはAIなどで資産運用のアドバイスをしていくのでしょうが、ライフネット生命が30-40代の心を比較的掴んだように、マーケティングが肝になりそうだなと思います。

身も蓋もないことを言ってしまうと、「野村マンより賢いウェルスナビで資産運用しよう!」みたいなことでしょうね。銀行も証券も早くネットで使いやすくなれよと思っていて、既存の金融機関がユーザーとして大嫌いですので、こうしたFinTechサービスが既存金融サービスをいち早くDisruptすることを切に願っております。



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