何かをチートしたり、隙を突いたり、誰かを騙して商売したり、そういうものは使った時間が無駄になる事が多いです。
使った時間が資産になる事に取り組んでおけばそんなに失敗する事はないですね。— SHINJI KIMURA (@shinzizm2) 2017年1月6日
木村さんのこのツイートにインスパイアされたのですが、木村さんはよく「使った時間が資産になる」ということをしばしば仰います。
資産というのはもちろん貨幣のみならず、広い意味があるかと思います。言い換えると、「フローではなくストック」であり、時間を投下すればするほど、積み上がっていくものを、資産と呼ぶことができるでしょう。
独立してからでしょうか。私は仕事の仕方を極力ストックに寄せることを意識し始めました。TheStartupをこうして6年気まぐれに書き続けることもストック・ワークの一つで、その結果として、以前考えていたことを検索して容易に取り出せるようになったり、私の考えを共有することで、Umeki Salonなどにコンバージョンがかかり、そちらで記事を書いていなければ成し得ない人間関係を構築することができました。
日々の仕事の仕方や、プライベートでのレストラン管理手法は、最近は全てGoogle Docsのスプレッドシートに整備し、そこをコツコツ更新するという手法を取り入れています。
自分のスプレッドシートの下手さ加減は気にくわないのですが、データを蓄積していくことで、次の打ち手の精度がより上がっていきます。ポイントとしてはデータを蓄積して、分析しすぎないことにあります。分析しなさすぎてもダメですが、キーとなるポイント(まさしくKPIですが)をいくつか自分で決めておき、そこをモニタリングすれば良い。その結果を次の行動に反映すれば良い。
例えば、婚活においては本当に営業リストのように細かくアポとそれに対して思ったことや相手のスペックを書き込んで、何がよくて何がダメなのかを考えてみる、ということをしてみると良いと思います。そうすることで自らの好みや強み弱みがはっきりしてくるでしょう。例えば私でいうとやはりレストラン好きなので、食に関心ゼロな方は、いくら美人でもやはり辛い。
日々の行動履歴をデータベース化していくと、数年分溜まればかなり資産といえます。その資産ではデータ提供ビジネスにもできるくらいで、現に私はスタートアップの資金調達情報過去4年分+今後もupdateされていく月額サービスをウメキワークスで販売していますし、レストランDBも販売したことがあります。
こうしたDB作成はたしかに勤勉でマメな人でないと向かないかもしれませんが(私自身が比較的勤勉でマメであることは、誰にも否定されないと思います)、買うよりも自分で作る方が、学びも多いですし、何よりこれは「自分だけの辞書」となります。
ウメキワークスとかは、「外注して作成したら?」とも言われますが、作業過程、ニュースを拾ってdocsにコピペするだけでも、気づくことはあります。なので、その過程が大切なのです。
他には私は週次で何の仕事に何時間投下したかをデータ化してモニタリングし、翌週の時間の使い方の参考にしているのですが、そこまでガチガチなデータ回す人の話を身近であまり聞いたことがありません。以前は月次でしたが、2年前くらいから週次です。そうすることで、本来やるべきではなかった仕事と、やるべきだけどやれていない仕事を可視化できます。
新卒だと日報を出せとか言われるでしょうが、日報の意味は上司が部下の行動を管理したいという以外は、時間の使い方のPDCAを回し、生産性を上げることだと思います。その打ち手を考えるには、日々の行動履歴が必要なはずで、「昨日何したっけ」と思い出せないようでは、ダメなのです。あと、やらされるのではなく、自発的か否かでも効果は全然違うでしょう。
情報という意味でのデータでは上記を例として挙がられますが、人間関係も同様です。刹那的な関係なのか、長期的な資産となる関係なのか。私はあまり得意ではないので、狭く深く系ですが。それでも、Umeki Salonのメンバーは一時期リストにしていました。所属企業とか。そのリストを見ることで「この人とこの人つなげたら意味ありそうだな」とか、シナジーが思い浮かぶこともあります。
こういう話はこの人に聞こうとか、メッセ一本で答えてもらえたり、自分も聞かれてサクッと答えられる関係って、資産だと思います。資産となる人間関係は、個人的に思うこととしては、「オフラインで共に過ごした時間」はあまり関係なく、「どれだけ濃い時間」を過ごしているかとか、オンラインで互いの考え方をわかっているかとか、そういうことだと思います。残念ながら、若かりし頃にダベっていた高校の友人とかは、資産にならないことの方が多いかもしれません。
私が「大人数の飲み会」を好まず、1on1や2on2を好む理由は、明確に「時間の濃さ」にあります。薄っぺらいお天気的トークだけ交わしても全く資産にならない。
個人的な事例をふんだんに出してみましたが、資産を作る仕事の仕方は、≒自分だけの辞書を作ることだと思います。自分だけの辞書は、容易に外注できませんが、数年分積み上がった時、それはとても貴重な資産となり、あなたを助けてくれるはずです。
みなさんは資産となる仕事に日々取り組めているでしょうか。仕事がフローではなく、ストックになる工夫ができているでしょうか。
闇雲に頑張ればいいわけではありません。フローワークを頑張っても、ほとんど積み上がるものはないでしょう。
自分だけの辞書を作る。そういう仕事の仕方やデータの溜め方に気づいてもらえればなと思います。