今日はDeNAが主催するGrowth Hack Niteというイベントに登壇してきました。僕はパネラーということで淡々と東カレのグロースについて語ってきましたが、イベント内容はオフレコということで何も言えません。
同じパネルに元祖バイラルメディア?(今はもうバイラルメディアという言い方はしておらず、決算資料には「キュレーションメディア」と記載)Spotlight編集長の渡辺さんも登壇しており、どこかのイベントで「バイラルメディアはゴミ」と言われていたのもどこ吹く風で、素晴らしいグロースを遂げられていました。
サイバーエージェントの2016年1QIRを見てもMUB(マンスリーユニークブラウザ:1ユーザーの複数のブラウザでの視聴重複はカウントする)で2,300万と、立派な数字です(おそらく2015.12の数字)
DeNAの決算資料よるとMERYも月間利用者数2,000万と記載があり、MAUやMUBベースで2,000万を超えるキュレーションメディアはこの2つではないでしょうか。
各メディアのイベントでの詳細な話はオフレコな話になってしまいますが、サイバーエージェントの中ではキュレーション事業は「DeNAほどは」気合を入れておらず、今は動画注力という風潮が強いと外から見ていて感じます。キュレーションもたくさん立ち上げてみたものの、Spotlightとby.Sのみが生き延びましたが、この2つだけでサイバーエージェントという大企業の次の主力事業になるとは考えにくいです。
Spotlightは仮にスタートアップ企業として単体で運営していたら、買収のオファーがたくさん来そうなくらい魅力的なメディアに仕上がってきていると思います。しかし、大企業の中では構造的に評価されにくいのだと思います。もっとSpotlightにリソースを投下すればもっと伸びそうなのに、中途半端なリソースの掛け方をしていると、話を聞いて感じました。
一方でDeNAは明確にキュレーション事業へ注力するという方針を打ち出していますし、リソースの掛け方も想像以上のものがありました。
よって、SpotlightはDeNAに売却したほうが、DeNAパレットのノウハウも吸収しつつ、サービスとしての伸び代が高まる気がしました。スタートアップ企業であれば確実に買収対象になっているでしょう。DeNAにとってはReTripはFind Travelが、LocariはMERYがと対抗するメディアを保有していますが、Spotlightのようなメディアは現ポートフォリオにはありません。
サイバーエージェントからしても、「悪くはないんだけどな」という状態のSpotlightに中途半端にリソースを投下しているなら、DeNAに売ってそのキャピタルゲインをAbema TVに突っ込んだほうがROIが良い気がします。SpotlightはDeNA傘下になるにあたってのリスク要因としては、Amebaから芸能系のコンテンツを引っ張っこれないとか、Amebaからのトラフィックがなくなることくらいでしょうか。
価格ですか。買収時のMERYよりはMUBがありそうですから、40億円くらいで良いのではないでしょうか。しかし、SpotlightをDeNAに売却しても渡辺プロデューサーには一銭も入りません。キーマンは彼ですから、キーマンクローズとして移籍金とロックアップ3年で3億円をアドオンしましょう。それだけの価値があるプロデューサーだと、僕は思います。
実はThe StartupのM&A予想というのは歴史的に高い的中率を誇ります。
・買収におすすめなスタートアップ3選✧。*(2014.2.8)
「MERY」「U-NOTE」「アトコレ」3社とも買収されています。
そして僕はM&A仲介の実務もになっています。なので一応、「ド素人」ではないのです。実績をもとに業界を俯瞰すると「SpotlightはDeNAに売却するのが一番関係者全員がハッピーになる道だ」と断言します。
IBDの人に聞きましたが、M&Aの実務でメディアを利用することは結構あるようで、意図的にメディアにリークしてディールを潰すとか、そういうこともあるようですね。一方でメディアが提言する形で動き始めるM&Aもあって良いのではないかと思います。Spotlightはサイバーエージェントに保有されたままではそのポテンシャルを最大限発揮できず、もったいないです。
この手のM&Aの話をすると当事者を中心に感情的になって「え?そんなのありなの?」と言われるでしょうが(この意見を主張した僕にね)、冷静に業界全体を俯瞰すると、当事者とは異なった見解が生まれます。当事者はサンクコストバイアスががかかりますからめ。例えば、総合型クラウドソーシングサイトも一つでいいじゃないですか。
サイバーエージェントがガチでキュレーション事業をやっていて、一時期のDeNAとGREEのようなガチンコの競争をしているのであれば、売却したほうがいいと思うの。などとはいいません。しかし、明らかに熱量に差がある二社ですから、サイバーエージェントにとってはSpotlightを良いタイミングで売却して、キュレーション事業の累損解消に充てて「なかったことにする」という判断は合理的で良いと思うのですが。
もっと、合理的に考えましょうよ。
以上、一人あした会議でした。
*この記事はDeNAのネイティブアドではございませんが、ディール成立時には仲介手数料を買収額の1%ほどを何卒なにとぞ(半分冗談半分本気)。勝手な成果報酬型記事広告ですかね。
*本稿はあくまでM&Aのアイディア提言であり、筆者はDeNAおよびサイバーエージェント両社ともビジネス的には無関係です。よって、本稿に対してはいかなる干渉も受け付けません。