今後さらに伸びるのか?OTA(オンライン・トラベル・エージェンシー)企業4社比較

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最近国内のOTAネット企業が非常に元気です。その中で4社ピックアップしてご紹介したいと思います。表はクリックすれば拡大できます。

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実は4社いずれも比較的最近の上場で、2014年以降毎年1社ずつ上場しています。

先日、オープンドアの時価総額が1,000億円を超えたり、アドベンチャーも1年で株価3倍近くの伸びを示すなど、この2社が株式市場では元気です。

一方のエボラブルアジアは一時期元気だったものの、最近は落ち着いていますね。旅工房に関しては、草コインのままですが。

2018年の業績は下記の通り。表が小さくてすいません…

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事業モデルとしてはアドベンチャーとエボラブルアジア(色々子会社は持っているとはいえ)似たようなモデルですが、テイクレートがアドベンチャーの方がかなり高いですね。

上記のデータも踏まえつつこれらのOTA企業は今後どうなっていくのか、そもそもOTAって今後どうなるのかについて、少し考えてみたいと思います。

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格安航空券比較市場は何が事業上のカギになるのか

そもそも「OTA」とはどういう市場のことを言うのでしょうか。ググってみました。

OTAとは、インターネット上だけで取引を行う旅行会社のこと。Online Travel Agentの頭文字の略。店舗で営業を行っている旅行会社のオンライン販売はOTAとは呼ばない。

国内外の宿泊や航空券などの手配旅行、宿泊と航空をセットにしたダイナミックパッケージ、施設とお客様が直接契約する宿泊仲介、旅行保険などを取り扱うことが多い。24時間いつでも膨大な数の商品を閲覧・検索でき、店舗へ出向く必要のない利便性が消費者の支持を得ている。 出典:JTB(「OTA」検索で1位)

「宿泊」か「航空券」ないしは両方の「パッケージ」といった、3サービスを指します。「宿泊」でいうと一休やreluxが相当します。リクルートの「じゃらん」や楽天の「楽天トラベル」は3サービス全てをカバー。

今回はOTA企業群として紹介したのは主に「航空券」を扱う企業です。「格安航空券比較」が主力サービスです。

私は大学時代以来海外旅行をしたことがないのですが、そろそろどこか行こうかなと思って、サイト調査がてら色々調べていたんです。ぶっちゃけ、どこのサイトも使いにくいんですよね。

「格安航空券」自体が多くの人にニーズがあるのは理解できますし、かつダイナミックプライスになっていて、条件によっては同じ路線でも2倍の価格差があります。

ちなみに宿泊だと皆さんどのサイトを使うでしょうか。グーグルトレンドの結果が全てではないことは百も承知ですが、「認知度」の参考指標としてご紹介します。

私は宿泊は近年はほぼ「一休」です。「relux」を利用した時期もありましたが、「一休」と「relux」はグーグルトレンド検索だと凄まじい差がついていたので、reluxの掲載は今回省きました。

「一休」が「トラベルコ」より認知が高いのは、肌感覚としても正しそうです。グーグルトレンドだとダブルスコアに近い差になっていますね。

こちらが格安航空券比較を主に提供する今回の4社を比較したもの。

格安航空券比較の中では「トラベルコ」がダントツの知名度です。私は見たことがないのですが、TVCMによって認知率が30%まで上がったようです。

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トラベルコと2位を争うスカイチケットとエアトリだと3倍ほどの差は定常的にあるので、認知度の差もそれくらいあると仮定し、スカイチケットとエアトリの認知率は10%くらいかもしれません。

なぜこの話をし出したかというと、身も蓋もない単純な話ですが、結局はSEO勝負ではなく、「ブランド認知度」を上げて、リピートしてもらうことが最大の鍵ではないかと感じたからです。

あくまで想定ですが、現状は大抵のユーザーが「ニューヨーク 格安航空券」とかで検索して辿り着いたサイトで予約しているだけで、トラベルコやスカイチケット自体を気に入っているわけではない気がします。

私は一休に関しては「一休」と検索したり、メルマガからクリックして飛んでいきます。どこかホテルを取るときは、一休内で検索して取ろうとします。一休が半年は30万円使えば「ダイヤモンドステージ」を維持できるので、それのインセンティブも地味に働いています。

ユーザー視点で捉えると、一休は認知もリテンションも上手いと感じます。

格安航空券比較の市場では、認知度がめちゃくちゃ高いサービスがまだないので、その第一想起を取るのがすごく重要なのではないかと思います。「ブランド構築」に金をかけるべきですね。

各社の広告費比較など

冒頭の表の中でも紹介していますが、重要箇所なので今一度抜粋。

☆2018年実績広告費

アドベンチャー:61億(2019年は75億の予算)
エボラブルアジア:18.9億(2017年実績を適用)
オープンドア:11億
旅工房:4億

アドベンチャーが攻めてますね。広告宣伝費の内訳までは各社開示がないわけですが、想定される投下チャネルは下記の通り。

TVCM
リスティング(Google)
SNS(主にFacebookとInstagram)
アプリ?(AppleのAd Search?など)
イベントタイアップ

これは格安航空券比較に限らず、ホテル予約も、かつコマース全般に対する疑問なのですが、「アプリのDLを積み上げるのって意味あるのかな」と。

メルカリのような、スマホファーストのアプリなら理解できるんですよ。かつWAUとか高そうですしね。

航空券やホテル予約は大抵のユーザーにとっては利用頻度が低いので、アプリをDLしても邪魔だなと思って消したくならないのかなと思います。私は消しちゃうのですが、少数派ですかね。

なので、アプリDLに対する広告に対して、少し懐疑的です。TVCMなどもDLには寄与しますが、各社ともアプリよりもブラウザの利便性の改善にリソースを割いた方が良いのでは?と思います。

ページ遷移が多かったり、検索してもローディングが長くて結果すぐ出ないとか、サイトとして各社ともUXが良いとは思えません。

他に気になった点としては、エボラブルアジアです。同社はDeNAトラベルを買収し、「エアトリ」とリブランディングしてエアトリをOTA事業の中心に据えていますが、それまでは小さいサイトの寄せ集めな印象でした。

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B2Bの方が強いのかもですが、当該領域におけるブランド認知が重要と考える私にとっては、小さいサイトの集積というのは最悪ですw

小さいサイトの認知を少し高めたところで大したインパクトがないと思うので。その点、エアトリを中心にしていくのであれば、良い方向へ進歩している印象です。

格安航空券比較に止まらない拡張意欲が業績拡大のカギ

各社の事業領域に対する戦略を見ていきましょう。

オープンドア:列車ダイナミックパッケージや海外サイトの強化

アドベンチャー:チケット販売のコスミック流通、スポーツウェアのWundouの買収、旅工房株式5%保有

エボラブルアジア:訪日旅行関連子会社の合併、経費精算システム大手のコンカーと提携

旅工房:法人旅行や国際旅行の強化

自社が保有する主力サイトの認知向上によって取扱高を伸ばしていくのが主軸ではあるでしょうが、その周辺分野への拡張やエボラブルアジアのDeNAトラベル買収のような、同じ領域のプレイヤーをM&Aしていくという、格安航空券比較に止まらないプレイが今後想定されます。

その中でも面白そうなのはアドベンチャーで、2018年に入ってからM&Aをダイナミックに仕掛けています。なぜか旅工房の株式も5%保有しており、旅工房を買収するとかもあり得る気がします。同業者の上場株式を数%持つ意味ってあるんでしょうか。私は持たれる側だったら嫌ですがw

今のところこの4社とは関係ないんですが、ズボラ旅を中心としたチャットボット型(たまに手動の場合もあるらしいですが)の旅行コンシェルジュサービスが急増しています。最近、LINEが株式を34%取得したベンチャーリパブリックがLINEトラベル.jpに改名して、チャットボットを導入したというリリースを見かけました。

ズボラ旅のコンセプトのように「どっか行きたいけどプランニングめんどくさい」というニーズに加えて、格安航空券比較などのUXがクソすぎるのでユーザーがプランニング段階で萎えているので、プランニングニーズ自体があるとは感じます。

旅行系スタートアップはいくつかちまちましたのが過去にも登場しましたが、基本的には航空券かホテル予約しか今の所はワークしていないように思えますし、「旅の思い出をなんちゃら」とか「スポットがなんちゃら」みたいなのもはマネタイズできないんだと思います。

チャットボット系がどうなっていくのか。ズボラ旅はアドベンチャーに買収されるのかなど、各OTAプレイヤーがチャットボット系をどう見ていくのかは興味深いところです。

今回紹介した4社の中では、アドベンチャーが最もアグレッシブで、旅工房が最もしょぼいように思えて、その差はどんどん広がりそうですが、どんな変遷を各社辿っていくのか、定期的にウォッチしていきたいと思います。

スカイチケットやエアトリが、トラベルコの認知率を超える日がくるのかにも注目ですね。

個別企業の分析などは下記のサロンでやっていきたいと思いますので、ご興味ある方はどうぞ。



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