VCの予想を集計:2016年スタートアップトレンド分野8つの考察

Pocket


TechCrunchのVCによる2016年のトレンド予想を分析した上で、TheStartupとして2016年の各分野ごとに予測を行います。まずは下記の記事をじっくり読んで予習した上で、本稿を読み進めてください。

参考記事:日本のVCが予想する2016年のスタートアップ・トレンド

各分野ごとに回答者19のうち何人が「トレンドだ」!と言っているかという数値付きでお届けします。順位は「2015年のキーワード」に選定した人数が多い順に並べます。
トレンド

1位:FinTech(2015/12人、2016/9人)

2016年の予想も含めて、FinTechが1位に。freeeとマネーフォワードの大型調達プレイが目立った2015年でしたが、会計系FinTech以外の領域へ2016年は目が向きそうです。

とはいえ「どんなFinTechサービスがくるのか」という詳細を語るVCは少なかったですね。為替、決済、与信周りと答えている方がいたのと、ブロックチェーンへの言及が何名か。しかし、「ビットコイン」という言葉への言及はありませんでした。

たしかにここ数ヶ月やたら「FinTech」という言葉を見かけるようになりましたし、トレンド感はありますね。会計系以外のプレイヤーでは、資産運用系のプレイヤーに本誌では注目しており、来年は資産運用系のFinTech戦争が勃発すると予測します。

参考記事:会計系ではないFinTechの大型資金調達4選

決済とかは利幅も小さくしんどいのではないかな。。しかし、GMOPGの株価がブイブイいわせているので、長期的に見ればちゃんと儲かるのかも。

2位:シェアリング(2015/10人、2016/1人)

2015年はトレンドに挙げた人が10人もいながら、来季は1人しか挙げないとは、ここまで落差が激しい分野はここだけでした。後述の「C2C」とほぼ同義と捉えても良いかと思いますが、C2Cの覇者をメルカリとすると、シェアリングの代表銘柄を挙げたVCは一人もいませんでした。

シェアリング銘柄として思いつくところとしては、駐車場のあきっぱ、家事関連のany+times、場所貸しのスペースマーケットなどですね。海外ではUberやAirbnbがオラオラしていますが、国内でシェアリングの巨人はまだいません。2016年のトレンドに挙げるVCが少なかったのは、海外においては引き続き大きなトレンドだが、日本ではビッグプレイヤーになる勝ち筋を見いだせていないからではないかと感じます。

3位:IOT(2015/10人、2016/8人)

出ました、私が最も信じていないバズワード「IOT」です。

IOTは3Dプリンタも含めると、3Dプリンタ関連では7.5億調達のカブクが主要プレイヤーと言えそうですが、IOTに関してもワードだけ踊っており、具体的な国内のスタートアップ企業名を挙げたVCはほとんどいません。

セキュリティ関連と相性が良いという指摘があったり(それには納得です)、過去にはRingとかAirPlugのような謎なモノもありましたが、IOTはそれ単発でスタートアップが普及させるには難易度が高く、大手企業に利のある分野だと思います。せいぜいスタートアップで上手くいっても、ソニーが買収とかがベストシナリオな気がしています。

その中ではKAMARQのような家具IOTでプラットフォームを狙おうみたいな動きには注目したいと思いますが、IOTの筋が良いプレイヤーは日本国内にはまだかなり少ないです。

よって、IOTはバズワードなだけであり、少なくとも2016年中にはさほど流行らないと本誌では予想します。

4位:AI(2015/7人、2016/6人)

来年かなり増えそうだな、というか一番投資が活発化しそうな分野がAIだと感じています。AIに関しては勉強中なため、あまり適当なことは言えないのですが、超アルゴリズムがしっかりしてるAIとなんちゃってAIがあること。AIに向く分野と向かない分野があることの二点をしっかり抑えるべき。私も2016年は投資仲介業でAI分野への投資は狙っていきます。

しかし一方で、本当に実用に向き利益を創出できるAI銘柄は一部であり、AIへの投資が集中するものの、全然回収できないという未来を感じ、それは2012年のインスタグラム買収前後の写真銘柄への投資が増えたが、ほとんど回収できていない現象と似てくるのではないかと思います。こん「写真共有スタートアップバブル」の再現になり得るもう一つの分野は、5位の動画だと踏んでいます。

5位:動画(2015/6人、2016/3人)

個人的には今年最も盛り上がった分野は動画だと思うのですが、来年にかけての期待感は薄いようです。

今年はMixChannelや3ミニッツ、C ChannelのようなC向け動画から、Viibarのような制作クラウドソーシング、果てはVideo TapやFIVEなどのアドネットワークまで多くの分野が立ち上がりました。B向けはまだしも、C向け動画のマネタイズにはまだ不明瞭な点もあり、2015年中に「仕込みが一巡した」とみて、2016年への期待値が下がっていると見ることができそうです。

参考記事:広告か課金か。スタートアップが凌ぎを削る動画市場の行方

6位:C2C(2015/6人、2016/1人)

シェアリング同様に来年の期待値が低いC2C。ここはメルカリが来年いくらで上場するのかが目玉であり、VCの目線だと仕上げに入ったフェーズかと思います。たしかに、来年仕込む領域としては一巡した感あります。

7位:ロボット(2015/3人、2016/2人)

正直私が一番弱い分野なのでなんとも言えません。ハードの普及は難易度が高いので、ロボット銘柄が2016年に爆発するとは言い難いですが、Googleのような米国の大手プレイヤーによる買収案件が国内でも出てくる可能性はありますよね。

8位:VR(2015/2人、2016/6人)

2015年が黎明期であり、来年の期待値が最も高い分野がこのVRでしょう。gumiやコロプラによるVR子会社設立や、プレイステーションVRも登場し、特にゲーム会社の次の金脈として大きな期待がかかります。プレステのようなマス向けサービスが先陣を切ってくれると、ハードの普及スピードがあがりますから、VR機器ではなくVRで楽しめるコンテンツを上手く作れるところが爆発する可能性があります。

ゲーム以外では、医療とかエロの分野でも期待できますね。特にエロではDVDやエロサイトに取って代わるほどのインパクトがあり、DMMからのVRコンテンツは注目です。

その他:ドローン、農業など

1票しか入らなかった分野もいくつか。今更・・な分野もあったのでそういうのは割愛しつつ、その他分野で私が気になったのはドローンと農業です。

ドローンは日本ではどんどん規制が厳しくなっているようですが、海外ではサッカーの練習で上空にドローンを飛ばして選手の動きを分析するという使われ方をしているいうニュースを見かけ、様々な領域に応用が効きそうであり、人的コストを大幅に削減できることから、2016年はまだ早そうですが、将来的に大きな可能性がある領域と踏んでいます。

農業に関してはITV河野さんが言及していましたが(昔から「農業!」っておっしゃっています)今年は農業関連銘柄の投資にも絡んだので、来年も農業銘柄は引き続きモニタリングしたいのと、明らかに非効率市場なので、まだまだチャンスはあるのに、プレイヤーが少ない。需要に対して供給が少ないので、全然いけるでしょという分野です。

以上です。TechCrunchの記事も2本に分かれていますが、アーリーステージとミドル以降のVCによって1-2年のタイムラグがあるものです。例えばサムライの榊原さんが2015年のキーワードにVRを選んでいましたが、アーリーでは注目されたかもしれません、ミドル以降に本格的に浸透するのは2016年なのでしょう。VCのステージごとに注目分野が異なるのは留意点ですね。

最後におさらいしましょう。TheStartupの2016年国内スタートアップトレンド予測は下記です。

・FinTech:本命。資産運用系戦争が勃発。他の分野もじわじわくる
・シェアリング:さほど期待できず。他は小粒で時間かかる
・IOT:バズワード。来ない。要注意
・AI:投資自体は活発化するが、写真共有アプリバブルの再来を彷彿
・動画:勝ち筋案件は出るがM&Aが限界
・C2C:メルカリとフリルが上場して仕上がる。
・ロボット:投資案件がすごく増えるイメージないが大穴でM&Aあり得る
・VR:市場導入期として期待感あり。大勝ち案件はまだ出ない

以上です。上記8つの分野に対して、ぜひ皆さんなりの予測をお聞かせください。分野ではない考察としては、冒頭のTechCrunch記事のGCP今野さんのコメントが非常に興味深かったので、再読をお勧めします。

関連記事として一個前の記事を貼っておきます。

参考記事:VCの予測は絶対ではない。VCの2013/2014年の予測を検証

2016年末に上記の予想はどうなったか検証しましょう。もちろん、私も外してしまうこともあると思いますが、仮説検証を繰り返すことでしか、精度は上がりませんから、リスクをとって自分の頭で仮説検証を繰り返します。



Pocket

コメントを投稿する

「VCの予想を集計:2016年スタートアップトレンド分野8つの考察」に対してのコメントをどうぞ!