国内で乱立するEtsyクローン。その結末はGroupon系と同じ道を辿るだろう

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Etsyクローンを国内で多く見かけるようになった。(個々のサービス名はこちらのまとめを参照 )本誌の読者に説明は不要であろうが、Etsyとはハンドメイド商品のEコマースだ。Etsyに関する詳細な説明は、西村教授のブログ記事にてご覧いただきたい。Etsyクローンの乱立について、数人の本誌の読者から意見を求められたので、本稿で意見を陳述する。

なぜEtsyは注目され出したのか?

注目された理由は主に2つあり、UIの美しさとハンドメイドによるストーリー性が挙げられる。

若者にとってはデザイン性が低く、劣悪なUIであると捉えられがちな楽天のようなサイトがEコマースのメインストリームである。(ただし楽天で買い物をする高齢者は多く、高齢者に取っては好ましいUIといえるかもしれない。UIの良さの定義や議論は難しいところだ)

Etsyの美しいUIやそのデザイン性は特に若い女性を魅了しており、「見ているだけで幸せ」という女性心理を捉えているといえるだろう(この辺のロジックは過去ログの なぜ女性はPinterestにハマるのか? と同様である)

それに加えて、出品者がEtsyを通してハンドメイド製品をダイレクトに販売するという点がウケており、Etsyの商品ページ上では創り手の思いが明記されている場合が多く、そのストーリー性に共感して購買に至るパターンが多いと推測される。大量生産大量消費に嫌気が差して、ハンドメイドの希少性の高い商品を一部のユーザーが求めるようになったという社会背景とも合致したといえるだろう。

結末はGrouponサービスと一緒

Etsyクローンの乱立で思い出させられるのがGrouponクローンの乱立だ。参入障壁が低い、Eコマースである、という共通項がある。

Eコマースビジネスでは取引高の最大化が肝となるため、結果的にモール型ビジネスが強い。アマゾン、楽天、ZOZO TOWN。どこも総合モール型である。リアル店舗でもセレクトショップよりも伊勢丹のような総合百貨店が一歩抜きん出る。(時代性にもより、セレクトがもてはやされる時代もある)

モールは手数料ビジネスであり、在庫を持たないため、Eコマースの中でもリスクが低く、安定した利益率となる。Etsyもモールモデルである。

Grouponクローンは乱立後、多くの事業者が撤退、売却を繰り返し、今は大手二社の寡占状態である。他では全てのクーポン事業者の情報をまとめたアグリゲーションサイトである「オールクーポンジャパン」が活況だ。

ユーザーは様々なサイトで買い物はしない。どこか一つか二つくらいのサイトで買い物をする傾向にある。リアル店舗より、ネットショップの方がこの傾向は強いだろう。(リアルよりネットの方が情報を打ち込む手間など心理的ハードルが高い)よってどこか1,2社による寡占状態か、アグリゲーションサイトの出現という、Groupon業界と同じ展開が予想される。

Etsyクローンの勝敗を決めるビジネス戦略

Etsyクローンを手掛ける事業者が成功するためには、資本力のあるところと組んで他サービスを買収するか、Etsyの日本進出を睨んでEtsy本社とパイプを作れるVCと組み、Etsyの日本法人という立ち位置を狙いにいくというというGroupon時のIVPのような戦略が考えられる。Etsyクローンの勝敗を決めるのは、UIでも商品提供者の数でもなく、資本で業界を再編するビジネス戦略の立案とその可及的速やかな実行にあるのではないだろうか。

Etsyクローンの多くは撤退と統合を余儀なくされるであろう。生き残るのは、Etsyが日本進出した場合はEtsy Japan。もしくは国内のクローンが合併を繰り返して肥大化して1社か2社が飛び抜けることになる。国内で飛び抜けたところがある印象はまだなく、今後に注目が集まる。

多くの事業者には累積赤字が膨らむ前に撤退するか、より良い条件でのExitに必要なこと(出品者数や出品商品数になると思われる。UIは買収されたら残らない可能性が高い)に注力したビジネス展開に留意した方が良いだろう。



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