攻める“安定の”宇佐美:Voyageの持分適用関連会社化まとめ

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2015年に入ってVoyageの持分適用関連会社化案件が多いなーと思いきや、M&Aも含めて5件ありましたのでまともてご紹介を。

Voyage Group CEOの宇佐美さんはUmeki Salonメンバーであり、“安定の宇佐美”と称されるバランス感覚に優れた安定感のあるコメント力で、サロンを支えていただいております。いつもお世話になっております。その、“安定の宇佐美”さんですが、かなり攻めてますねー。2015年4月からの約半年で「約22億」を5社への出資ないしは買収に充てています。

基本的にはアドテク周りへの動きが多いものの、メディアやリサーチ領域への出資もあります。Voyage自体がアドテクを主軸としつつ、ECナビなどのメディアや、リサーチパネルなどのリサーチ事業を持っており、その辺との事業シナジーがあればよし。という考え方と思われます。

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2015.4 ドゥ・ハウス:2.26億出資で22%取得

取得株式比率:22.32%
取得額:2.26億
取得時時価総額:約10億

かなり渋い案件ですね。リリースの一部を抜粋するとこんな感じ。

ドゥ・ハウスの提供する「モラタメ」、「テンタメ」等の企業向けプロモーションサービスにおいて活用することによる相乗効果を追求するとともに、ドゥ・ハウスが有するナショナルブランドメーカーを中心とした直接販売チャネルを活用した、新規メディアや商材の開発等の施策を進めてまいります。

参考:プレスリリース

2015.4 Kauli:14.81億で100%買収

取得株式比率:100%
取得額:14.81億

VoyageはSSP「Fluct」を元々持っており、同業他社の買収により、両社合算でSSPとして売上と配信imp数が国内最大になった模様。同業者の買収ってあり得るんですね。クラウドソーシング業界でいうとランサーズがviibarを買収するような感じでしょうか。

スクリーンショット 2015-10-08 20.38.35Kauliの売上と営業利益は上記の通り。2016年1月期は営業利益1億越えてきますかね。SSPといえばジーニーはIPO路線のようですが、KauliはなぜIPOではなくM&Aを選択したのか、その判断ロジックが気になるところです。

参考:プレスリリース

2015.6 ログリー:3.6億出資で累計22.57%取得

取得株式比率:22.57%
取得額:3.6億
取得時時価総額:約16億

ネイティブアドネットワークのログリー。同業他社ではpopInが中国のバイドゥーに推定15億ほどで既に買収されています。ネイティブアドネットワークってあまりスケール感を個人的には感じないんですが。バリュエーション的にはpopInとさほど変わりないと類推。

参考:プレスリリース

2015.6 メディアヴァーグ:約0.5億出資で20%取得

取得株式比率:20.03%
取得額:約0.5億
取得時時価総額:約2.5億

「乗りものニュース」というメディアが主軸。知りませんでした。「フットボールチャンネル」というメディアも手がけており、サッカー好きなのでそちらは見たことありました。メディア企業に出資して、SSPで伸ばすというのは一つのわかりやすいシナジーとしてありそうですね。

参考:プレスリリース

2015.10 ゴールドスポットメディアに1億出資で25%取得

取得株式比率:25%
取得額:1億
取得時時価総額:4億

動画広告およびリッチメディア広告の制作配信プラットフォームのゴールドスポットメディア。米国に本社があってその日本法人でしたが、リリースにはMBOしてなんちゃらとか記載がありますね。動画配信のアップベイダーのKDDIによる買収もありましたし、動画×アドテクの領域はブレイクしそうですが、この案件は期待値が高い領域の割にはちょっとバリュエーション安い気がしますね。

参考:プレスリリース

M&Aが成長戦略の主軸か?アドテクで攻めるうさぽん氏

シェアードリサーチ社のレポートによると下記の通り。

メディア事業を安定成長軌道に乗せ、アドテクノロジー事業を大きくスケールアップし、そして第3、第4の柱を作ることで、継続的に20%成長を可能にする。

長期的(5年~10年の時間軸)には売上高1,000億円超を目指しているとみられる。高い目標を掲げる一方で、現状のインターネット広告市場のバリューチェーンだけでは1,000億円の達成は難しいとも認識しており、eコマースなど他のバリューチェーンを自社もしくはM&Aによって確立していきたいとしている。

というのがVoyageの今後の事業方針のようです。M&Aが明確な軸の一つとしてありそうで、主軸であるアドテク周りのM&Aや持分適用会社化に積極的なわけです。

最近、筆者はM&A関係の仕事も急増しているのですが、M&Aの大きな肝の一つに、買収側の経営者の(大胆な)判断力が挙げられます。その点、宇佐美さんは判断が非常に早い方だと認識しており、今後もサクサク買収したり持分適用会社化していきそうな気配がします。EXITに困ったらうさぽんという方程式があることを、スタートアップ起業家は覚えておきましょう。

尚、2015年3Q末時点でのVoyageの保有現預金は38.5億。今後も10億規模の買収を仕掛けていくのか、じげんのようにデットフィアナンスをして、20億規模以上の買収を仕掛けていくのか。

ちなみにVoyage Venturesのニュースリリースは2013年から更新が止まっているが、投資先は若干増えている模様。

ガンバ大阪の宇佐美並みのうさぽん氏のオフェンスM&Aに今後も期待。



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