<2015.10.9追記>
記事公開後、GV-1はAT-1に吸収された?という話を聞きました。
よってGV-1単独のリターンを図るのはあまり意味がなかったかもしれません・・
が、ご参考までに。
地道に続けるファンドリターンのコーナー。今回はGREE VENTURES1号ファンドです。レイズ時期からして予測しやすいデータが揃ってきました。
ファンド名:GV-I投資事業組合
組成時期:2011年11月
ファンド規模:20億
LP:GREE100%
予測組入額:日本11.7億、東南アジア8.3億
国内案件投資社数:8社
予想国内回収額:38.2億
予想国内リターン:3.26倍
予想IPO:5社
予想M&A:2社
GV-1の国内案件8社に絞ったリターン予測を。尚、GREE VENTURESは2014.5に2号ファンドといえるAT-1投資事業組合を組成しており、2014.5以降の下記案件への出資はこのファンドからと推測。
オークファン:1.6億→4.8億程度の手堅い3倍リターン
出資時期:2011.12
出資額:1.6億
出資比率:6%
EXIT:2013.4 IPO
上場初値時価総額:約150億
予想売却時時価総額:約80億
予想リターン:4.8億
1号案件がオークファンでした。これは既に結果が出ている案件。初値では売ってないかと思いますので、株価が落ち着いてきた頃に売っていると5億弱のリターン。2015.10時点のオークファン時価総額は60億強。
Retty:1億→IPOで4.5億?
シリーズA:2012.12
調達額(予想GV出資額):1億(0.5億)
シリーズB:2013.12
調達額(予想GV出資額):3.3億(0.5億)
シリーズC:2015.3
調達額(予想GV出資額):10億(3億)
予想直近ラウンド時価総額:70億
予想GV保有比率:6%
予想EXIT:2018 IPO
予想初値時価総額:150億
予想リターン:9億
予想GV1持分リターン:4.5億
ロジックが長くなりましたが。Rettyには直近の10億ラウンドで追加出資しており、その追加分はAT-1からと類推。GREE VENTURESの特徴としては追加出資をすることが多そうな印象。これは魅力を感じた案件のダイリューション(持分希薄化)を防ぐためと推測。
Rettyの売上のロジックがどう仕上がってくるか、まだピンときてはいないんですが、10億調達しているので出口はIPOしかないというのと、歴史的にここまでスケールしているCGMはなんとかなっているので、IPO予測は本誌では一貫して変えません。
ジーニー:1億→IPOで7.5億
シリーズA:2012.9
調達額(予想GV出資額):1億(1億)
シリーズB?:2013.2
調達額(予想GV出資額):非公開(なし)YJのみ
注:シリーズAと時期が近いので、GVラウンドとYJラウンドは同じ?
シリーズC?:2014.11
調達額(予想GV出資額):非公開(なし)SBの32.9%出資
予想直近ラウンド時価総額:50億
予想GV保有比率:5%
予想EXIT:2016年IPO
予想初値時価総額:150億
予想リターン:7.5億
注記:少し修正しました。
ソフトバンクの32.9%出資があったり、昨今のフリークアウトの低迷を受け、今年来年で上場してもあまりvaluationが付かないかもしれません。RTB銘柄への厳しい市況を鑑みて、valuationはコンサバに読みました。
スタフェス:0.9億→AT-1に切り替わっている?
シリーズA:2012.8
調達額(予想GV出資額):2.5億(0.9億)
シリーズB:2013.8
調達額(予想GV出資額):10億(なし)ジャフコ
シリーズC:2014.7
調達額(予想GV出資額):28億(なし)アスクルが14%取得
予想直近ラウンド時価総額:200億
予想GV保有比率:3.5%
予想EXIT:2016年IPO
予想上場時時価総額:400億
予想リターン:14億
アスクルとの事業提携時のIRリリースを見ると、株主は「AT-1」に切り替わっており、GV-1からAT-1が買い取った?のでしょうか。ファンドの実務に疎いので断言はできませんが、簿価で譲渡したと仮定するとGV-1ではスタフェスのリターンはゼロです。
あとアスクルの28億調達が、15.8億が第三者割当てと譲渡、12.6億が新株予約権行使ということで、スキームが複雑でよくわかりません。。とりあえずGV-1のリターンにはならなそうということで。
参考:アスクルプレスリリース
A-SaaS:3.5億→18億。ここが最大のリターン
シリーズA:2013.6
調達額(予想GV出資額):6.25億(2.5億)
シリーズB:2014.5
調達額(予想GV出資額):3億(1億)
シリーズC:2014.11
調達額(予想GV出資額):10億(なし)
予想直近ラウンド時価総額:80億
予想GV保有比率:6%
予想EXIT:2017年IPO
予想上場時時価総額:300億
予想リターン:18億
freeeやマネーフォワードが注目される中、手堅そうな会計事務所向けクラウド会計のA-SaaSはビジネスモデル的に高単価でLTVが高そうで、確実にIPOは狙えそうです。仕上りは堅めにみて300億程度での上場。
KAIZEN:2.5億→回収不能か簿価で回収
アーリー:2013.8
調達額(予想GV出資額):0.8億(0.5億)
シリーズA:2014.3
調達額(予想GV出資額):5億(2億)
シリーズB:2015.4
調達額(予想GV出資額):4億(1億)
予想直近ラウンド時価総額:30億
予想GV保有比率:8%
予想EXIT:回収不能
予想リターン:0-2.5億
VCの投資先が全て当たるわけではありません。極論、10社投資して1社ホームランで回収できれば良いわけです。KAIZENは有名で、売上もそれなりに上がっているという説を聞きますが、当初の月額でABテストを使い続けるビジネスモデルは機能しないと本誌では予測。ピボットしてM&Aできれば御の字。こっそり2015年4月のラウンドを実施していますが、この際にvaluationは上がっていないと予測します。
KAIZENの強豪サービスとおえる米国のABテストサービスのOptimizelyとリクルートが販売代理店契約を結び、国内で担いでくることを鑑みると、現段階では見通しが明るいとはいえません。本誌では以前はM&A予想でしたが、回収不能へ下方修正します。さほど高くない価格でM&Aし、優先株で投資簿価は回収できるかもしれません。
Viibar:1億→総合代理店へのM&A予測で2億
シリーズA:2014.2
調達額(予想GV出資額):3億(1億)
シリーズB:2015.5
調達額(予想GV出資額):7億(2億)
予想直近ラウンド時価総額:30億
予想GV保有比率:10%
予想EXIT:60億でM&A
予想リターン:6億
予想GV-1リターン:2億
最近本誌でも取材した動画制作のViibar。動画制作市場が跳ねてくることは自明なのですが、IPOするほどなのか?という点は疑問。ここもジーニー同様堅めに読んでM&A予想です。とはいえ、M&Aでもあまりプレイヤーの予測をしにくくて、電通博報堂のような総合代理店にある程度の規模で買収されるのが一番シナジーもあって落とし所として良いのではと。
クービック:0.2億→M&Aで0.5億程度
アーリー:2014.4
調達額(予想GV出資額):0.5億(0.2億)
シリーズB:2015.4
調達額(予想GV出資額):3.1億(1.3億)
予想直近ラウンド時価総額:10億
予想GV保有比率:8%
予想EXIT:30億でM&A
予想リターン:2.4億
予想GV-1リターン:0.5億
これも読みにくいクラウド予約管理のクービック。店舗台帳系ではトレタがスケールしており、IPOまでいけそうな匂いを漂わせていますが、普通に考えるとM&Aが関の山です。事業内容を詳しく聞けていないのですが、相場に照らし合わせると30-50億でのM&Aが御の字かと。
GV-1のリターンの鍵はA-SaaSとRettyか
以上です。8社中、予想IPO4社、M&A3社はかなり高打率です。とはいえ、リターン自体はA-SaaS18億の比率にかなり寄っているという印象で、GV-1のホームランディールはA-SaaSと本誌では予測。
持分比率がかなり希薄化してそうではありますが、スタフェスがAT-1に譲渡ではなくGV-1のままであれば、+10億程度のリターンの上乗せができたはずです。あとはRettyがどこまで跳ねてくれるかで、リターンの変動が見込めそうです。その他M&A案件は1億出資して2-3億程度のリターンの予測なので、ファンド全体からすると、あまり重要ではない感じ。
以上です。セクシィー投資家のシャツのボタンをはだけさせて丸裸にしてみると、リターン予測は3倍となりました。ホワイトカラーの生産性向上案件がお好きなようで、投資案件のヒット率は高く、手堅そうな印象です。
本当はセクスィー投資家のポエムまとめ記事を出したいんですが、怒られそうなので自重しておきます。