リクルートの海外M&A総額、2015年上半期は1,000億近く

Pocket


先日の国内の新規事業領域からの国内M&A予測記事に続いて、海外M&Aにフォーカスした記事を。東洋経済によると、今後2-3年(2015-2017年)で約7,000億円を投じてM&Aを実施していく戦略が発表されています。

決算資料から2015年に入ってからの海外買収案件の総額を積み上げると、6件で927億円となり、既に2015年上半期のみで総額1,000億円をM&Aに投じていることが明らかになりました。3年で7,000億という予算を考えると、順当な消化ペースといえそうです。

2015年通期決算資料やIRニュースから2015年に入ってからのリクルート海外M&A案件をまとめます。

スクリーンショット 2015-07-12 13.09.47

この「新規連結」のところが今回のまとめに相当します。

欧州版Open Table「Quandoo」(独)271億円

4g9YnTPh

リクルートは大きく「販促」と「人材」でセグメントを分けており、このQuandooは「販促」にあたります。2015.3.1に発表。ビジネスモデルはほぼOpen Tableですね。レストランへの送客課金です。

スクリーンショット 2015-07-12 13.19.11ドイツの企業ですが欧州でのシェアを伸ばしており、爆伸びしてます。

スクリーンショット 2015-07-12 13.21.41本家のOpen TableはPricelineが2,300億円で買収していました。

スクリーンショット 2015-07-12 13.16.45グルーポンヨーロッパのCEOが立ち上げたんですね。どうでもいいですが、左下の賢そうな人ですが、リブセンスの桂さんに似てますね。

スクリーンショット 2015-07-12 13.30.36似てますよね。

美容予約の「Hotspring」204億、「Treatwell」47億

続いて美容。2015.5.1にイギリスの美容オンライン予約サービス「Wahanda(ワハンダ)」を展開する Hotspringを204億で、2015.6.5にオランダの美容オンライン予約サービス「Treatwell」を展開するTreatwellを47億で買収したことを発表(後者はHotspringを通した買収)。Hotspringは欧州1位、Treatwellは欧州2位の美容予約サービスのようです。

Wahanda_logo_web_largeHot pepper Beautyのようなもんですね。こちらも順調に売り上げ伸ばしていますね。

スクリーンショット 2015-07-12 13.41.11欧州の美容の予約化率はまだ1%。日本はここ数年で10%に上がってきています。日本の場合この上昇がほぼHot pepper beautyの成長を示しているといえそう。

スクリーンショット 2015-07-12 13.42.59Treatwellは規模が小さいので詳細は割愛します。下記が販促領域のセグメント別とエリア別の表。この埋まっていない市場を今後リクルートがM&Aしていく可能性が高そうです。

スクリーンショット 2015-07-12 13.38.52中国があまりないんですよね。そしてQuandooもWahandaもマイノリティー出資を先にして、M&Aに踏み切っています。リクルートのやり方として「マイノリティー出資→M&A」が方針の一つのようです。スタートアップ観点ではリクルートはIVPファンド3号にLPとして出資していますが、中国のM&A案件のソーシングの一環として張っていると見ることもできます。

人材派遣:豪州2企業360億、米国アテロ社45億

人材派遣領域も激しいです。豪州の総合人材派遣のChandler Macleod社を283億、IT特価人材派遣のPeoplebank社を67億、総額360億で2社を2015年1月に同時買収。市場シェアでいうとChandler Macleodが2位、Peoplebankが5位で、両社合わせるとリクルートグループが豪州の人材派遣領域で2位のシェアとなったようです。

スクリーンショット 2015-07-12 14.04.03人材派遣領域は既にわりとM&Aを実施しています。「ユニット経営」を買収会社に「インストール」しってなんか洒落ているようななんというか。決算説明資料で使う文言なのかと。

人材派遣市場について筆者はあまり詳しくないのですが、買収先の両社ともさほど利益率が高くなかったのと、のれん代計上もあり、この買収後にリクルートの株価は少し下がったとニュースになっていましたが、その後半年でまた上がったり下がったりで2015年7月10日時点では3,580円で時価総額は約2兆円です。

その後さほど大きくはないですが2015年4月に米国の人材派遣会社であるAtterro社を45億で買収しています。2011年に買収した米国の子会社であるAdvantage Resourcingを通じての買収。

リクルートほど海外M&Aが活発な国内企業はあるか?

販促領域で512億、人材領域で405億という内訳でした。今後もリクルートのグローバルM&Aは加速していくと思われます。これだけ海外企業のM&Aに積極的な企業は国内のインターネット企業にはありませんね。楽天もここまではやらないでしょう。ヤフーとか海外M&Aやってもいいのではないかと思いますが、リクルートの特にインターネット領域(販促に相当する場合が多いと思われる)のM&Aには今後も本誌では注目していきたい。



Pocket

コメントを投稿する

「リクルートの海外M&A総額、2015年上半期は1,000億近く」に対してのコメントをどうぞ!