2013年1億「未満」調達企業52社の行方:次ラウンド進出率は約5割

Pocket


完全にマニアックな趣味ですが数年前の調達企業の検証を続けます。2013年に1億以上の資金調達を実施した74社の行方(28%がIPOか?)を最近お届けましたが、2013年に「1億未満」の資金調達を実施した52社の行方を検証します。

前提として、本誌が他メディアや独自に取得した情報であり、多少の抜け漏れがあることはご了承ください。資金調達してもリリースを出していない企業もあり(2013年時点でリリースを出していない企業、本稿で掲載があるが2014年以降の調達リリースが確認できていない企業含む)70-80%程度の精度と思っていただけると。

1億未満調達なので2013年時点ではアーリーステージにいた企業の比率が高いです。ですが、意外にその後の大規模調達につながっていません。

結論を述べると、52社中IPOやM&Aで決着ついたものを含むと25社がなんらかの次ラウンドへ進出。ステータス未確認のものから+数社の資金調達実施が実現すると見込むと、2013年のアーリーステージ銘柄の50-60%が次のラウンドへ進出しているということができます。

①

IPOとM&Aは5社(構成比率約9%)

リリース確認日 社名 ジャンル ステータス 2013年調達額
2013/2/5 グノシー メディア IPO 3,160
2013/3/11 弁護士ドットコム メディア IPO 2,000
2013/7/23 メルカリ C2 プレIPO 5,000
2013/7/3 webpay 決済 売却済 非公開
2013/8/24 ジモティー C2C 売却済 2,000

グノシーやメルカリなど本誌常連ですが、両社は2013年時点ではアーリーステージの企業でした。そこから2014年に二桁億調達を実施し、IPOへと。

弁護士ドットコムは2012年に1億調達をしており、このラウンドはカカクコムからの出資でした。M&Aはwebpayとジモティーの2社のみであり、2013年のアーリーステージ銘柄で(VC観点で)決着がついている企業は案外まだ少ないです。

1億以上調達:14社 ツイキャスやreluxなど

リリース確認日 社名 ジャンル 次ラウンド調達額 2013年調達額
2013/1/18 BASE EC 5億 2,300
2013/5/22 ツイキャス 動画 5億 6,480
2013/8/20 KAIZEN PLATFORM グロースハック 5億 80万ドル
2013/3/21 relux 旅行 3億 6,000
2013/3/29 チケットストリート チケット 3億 6,000
2013/5/14 mana.bo EdTech 3億 3,800
2013/5/22 Study Plus EdTech 2億 7,200
2013/6/12 イベントレジスト チケット 2億 非公開
2013/9/13 MONOCO EC 2億 3,000
2013/10/15 ietty 不動産 2億 5,000
2013/12/5 イノーバ コンテンツ 2億 非公開
2013/11/5 リーディングマーク 採用 1.7億 5,000
2013/12/27 アオイゼミ EdTech 1.2億 4,000
2013/2/8 Crevo 動画 1億 1,470

調達金額&リリース確認日順に並べましたが。ジャンルはEdTech3社、EC2社、チケット2社、動画2社etc…

今後さらに飛躍しそうなところとしては、ツイキャス、reluxあたりは堅そうです。何かしらそれなりの規模の出口(M&AかIPO)がありそう。チケットキャンプの大型買収もあったので、チケットストリートも同様の規模でのM&AかIPOがあるかに注目。

案外、EdTech銘柄がアーリーステージから着実に億調達に進んでいるんですよね。Quipperに続くM&Aなるか注目です。

筆者の感覚として厳しそうなのはMONOCOとKAIZENです。MONOCOはもうかなり昔のことな気もしますが、Fab.comショックにより完全にFab銘柄と見られていたので厳しいかと。KAIZENはplanBCDというプロダクトを継続的に使い続ける意味がクライアント側に見出しにくいです。PRはお上手ですが、利用経験者側からは「プロダクトを使いづつける意味が・・」的な話をよく耳にします。

1億未満調達:6社

リリース確認日 社名 ジャンル 次ラウンド調達額 2013年調達額
2013/1/21 リボルバー メディア 0.92億 5,000
2013/9/30 Misoca FinTech 0,7億 3,000
2013/3/19 オークニー B2B 数千万 非公開
2013/5/30 pLucky グロースハック 数千万? 非公開
2013/6/27 アニマート C2C 数千万 2,900
2013/9/11 ポケットコンシェルジュ 予約 数千万? 6,000

ここは悩ましいセグメントです。2013年にアーリーステージで上手くいっていれば、2014年2015年には億調達に進んでいるのが一般的かと思われますので。「数千万?」と記載したところは億調達の可能性もありますが、本誌判断で「数千万」と予測しました。

んー。特に大きく跳ねそうなところは見当たりませんね。一桁億円後半でM&Aされれば御の字な気がする銘柄が多いです。ぜひ本誌の予測を覆してください。ちなみにMisocaは筆者が愛用している請求書サービス。

ステータス未確認企業:27社 次のラウンド本誌予測は2社

2013/2/18 CoffeeMeeting C2C 2,000
2013/4/10 Qrunch C2C 非公開
2013/9/19 ショッピーズ C2C 9,860
2013/10/23 カフェトーク C2C 3,800
2013/3/18 Best Teacher EdTech 5,110
2013/3/19 Language Cloud EdTech 非公開
2013/6/17 Street Academy EdTech 4,000
2013/6/20 youtfit メディア 3,000
2013/12/19 U-NOTE メディア 非公開
2013/7/3 Booklap メディア 2,300
2013/3/29 インターファクトリー EC 8,000
2013/9/28 Flyme EC 4,000
2013/8/7 クエステトラ B2B 4,500
2013/10/24 gamba B2B 2,000
2013/5/24 Grood(Voip) クラウドソーシング 非公開
2013/10/7 Conyac クラウドソーシング 6,000
2013/5/22 Close SNS 7,000
2013/7/24 オーシャンズ SNS 非公開

2015.7.9時点で次の資金調達のステータス確認ができなかった企業群です。この中には資金調達中の企業もあれば、死にそうな企業、既に清算した企業もあるでしょう。上記はそのカテゴリーでの案件数が2件以上あったものをジャンルごとに並び替えています。メディアBooklapは運営停止したようですね。

ジャンル別に見ていくと大枠での「C2C」が4件。筆者もエバンジェリストだったコーヒーミーティングはタイムチケットというサービスも展開していますが、あまり儲かる気がしません。Qrunchは恋愛マッチング。かなり早い段階でサービスインしており、ペアーズがあれだけ跳ねましたが、どうなんでしょうか。ユーザーとして使ってみたこともありますが、1日1人表示がイマイチでした。最新版は使ってないのでなんとも言えず。

他のジャンルを見ても正直この中で跳ねそうと思えるのは一つもありません。ECは数千万で最初のPDCA回すの無理だろと思いますし、クラウドソーシングはバーティカルは動画以外きついと思います。

2013/4/11 レジュプレス Bitcoin 3,000
2013/4/23 yappli アプリ作成 3,000
2013/3/25 サイバーノイズ グラフィック 5,240
2013/6/24 カンム 決済 4,300
2013/7/17 mespo 街コン? 1,998
2013/10/5 エージェンテック コンテンツ 5,000
2013/1/17 3rd kind ゲーム 非公開
2013/11/18 トイロ 保険 非公開
2013/12/9 SlideStory 動画 3,000

引き続き、ジャンル分けされなかった企業群です。この中ではBitcoinのレジュプレスや決済のカンムあたりは次のラウンドに手堅く進みそうな気がします。大きく分けるとFinTechといえますが、FinTech周りはけっこう需要ありますからね。

5,000万の資金調達では2年は持たないはず

通常は5,000万前後の資金調達で売上を早期に立てられる企業でなければ、人員増加していたら2年は持たないかと思います。

2013年に数千万の資金調達を実施しており、現状売上が上がるモデルではない企業で資金調達できていないところは、リストラしているか次の調達ができずにリビングデッド状態にある可能性が高いでしょう。

【ざっくりバーンレート予測】

売上:0円
人件費:30万円×6人=180万円
オフィスや経費:50万円
合計:230万円
年間:2,760万円
2年間:5,520万円

アーリーステージから次のラウンドへの進出率が50-60%というのは高いのか低いのかよくわかりません。いや、思ったより高いかも。

ざっくり算出すると、アーリーから億前後調達:50%、億調達からIPO:30%、10社投資すると5社が億調達1.5社がIPOという確率。10-20社投資すれば1社くらいはIPOまでいく感じです。定性的にいわれていることと擦り合わせるとさほど違和感ないですね。



Pocket

コメントを投稿する

「2013年1億「未満」調達企業52社の行方:次ラウンド進出率は約5割」に対してのコメントをどうぞ!