ネット系企業がスタートアップを「タレントバイ」する条件

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ここ最近のスタートアップ買収のまとめ記事を出しましたが、スタートアップを実際に買収する際にも「事業を買う」「スタートアップの経営陣を買う」「その両方」というパターンがあり、後者は「タレントバイ」もしくは「アクイハイヤー(買収して雇うの造語)」と呼ばれています。

Umeki Salonで「タレントバイ」を巡り、議論が盛り上がったので、その一部を拝借しつつ内容を抽象化&整理してご紹介。

タレントバイ

買収時留意するであろう4項目:タレントバイは3億上限?

まずネット系大企業がスタートアップを買収する際に考えているであろう項目を並べます。

■買収前(タレントバイについてややフォーカス)

1:買収に値する成長事業がない限りは10億以上の価値は付かない
2:売上が見込めないスタートアップのタレントバイは3億程度の価値
3:経営陣のみではなく優秀なエンジニアなどチーム丸ごとをタレントバイと見なす場合はリーズナブルと感じられることも
4:大企業のマネジメント経験者が率いるスタートアップであればPMIでの企業文化の擦り合わせが比較的スムーズ

こういった4点の指摘がありました。まずは価格面。事業は微妙で、買収後にその事業の成長性が見込めない「タレントバイ」はせいぜい3億円が上限ではないかという指摘がサロンでありました。これに該当する案件としてDonutsが買収した「ソーシャルランチ」mixiが買収した「kamado」があたると僕は見ています。いずれにしろ買収後に被買収企業のサービスが伸びたという話は聞きません。買収後も成長が見込める事業がないと10億以上は付かないというのは感覚的に理解できます。

実際に10億を越えるスタートアップ買収の場合「タレントバイ」「成長事業」の二点が内包されているケースがほとんどだと思われますが、「タレントバイ」の場合は被買収企業の経営者がスターであり買収先とシナジーがありそうかという点のみならずチームとして優秀なエンジニアを多数抱えているなど、そういった点で付加価値があると見積もられることが多そうです。

最後に買収先と被買収企業の経営陣の相性が良いか否か。リクルートなど大企業でのマネジメント経験のある経営陣であれば、スタートアップと大企業文化の違いを理解しており、PMIで馴染みやすいのではないかという指摘もサロンではありました。

買収後は事業成長とタレント活用の成否で効果検証

続いて買収後に留意すべき点をまとめました。

■買収後(M&Aを成功させるには)

・事業面:買収側はスタートアップの事業ストーリーを理解して支援すべき(そうでないと破綻する可能性が高まる)

・人材面:高額で買収された場合、被買収企業の経営陣は多額のキャピタルゲインを手にする。買収後のチームに経済格差が生まれ、チームビルディングが上手くいかない懸念が生まれる

・効果検証:「被買収企業の人材が買収企業の要職として活躍する」「事業が順調に成長する」のどちらかで測ることになる。いずれも2-3年後に検証すべき

こんな意見が出ました。僕が一番ありそうだなーと思うのが、被買収企業の経営陣が多額のキャピタルゲインをもらって、以前ほどのモチベーションで働かなくなるのではないかという話。そんなことないよという綺麗ごとな反論もあるでしょうし、実際にそんなことない人もいるんでしょうが、ロックアップが解けた後の行動を見ればわかるかもしれませんね。起業家ですからまた新しい事業がやりたくなってしまうという気持ちはわかります。

効果検証としては事業の成長性もですが、被買収企業の経営陣が買収先の経営陣として要職についていたりすると、「タレントバイ」としてペイしているのかなと感じます。「タレントバイ」で印象に残るのはYahoo!とmixi。

Yahoo!はクロコスで著名エンジェル投資家でもあった小澤さんを獲得し、その後コマース改革やYJキャピタルを率いられたりされていますし、コミュニティファクトリーの買収で松本オネエ龍祐氏を獲得し、スマホアプリ開発の要職に就かれています。クロコスはFacebook懸賞のレギュレーション改訂が最近あり、事業としては僕はよくわかりませんが、タレントバイ案件として10億はむしろ安かったのではないかという声も出ています。

mixiはネイキッドテクノロジーの買収で前代表取締役の朝倉氏を獲得、kamado買収で現COOの川崎氏を獲得し、昨年の経営陣刷新の際に買収で獲得した人材を登用していきました。その結果モンストが大当たりして直近1年で株価は20倍くらいになっています。モンストのヒットがお二人によるものかは何とも言い難いですが、結果が出ていることに違いはありません。そう考えるとmixiのタレントバイはかなりお得だったといえるかもしれない。

スタートアップ買収、今後1年でどの企業があり得る?

今後スタートアップの買収がおそらく加速していくかと思います。その際にシリーズAでValuationが既に10億以上付いてしまっている企業は、既存投資家に損をさせないためにも15億前後以上での売却が前提になってくるでしょう。とはいえ、ポケラボの138億みたいな案件も稀にありますから、50億以上でのM&Aがないとも言い切れません。

2014年後半から2015年にかけて、DeNA、GREE、mixiあたりがM&Aを強化してくるようですが、どの辺のスタートアップが買収されるのでしょうか。せっかくなので皆さんで予想してみましょう。下記のアンケートフォームからご回答いただいた結果を、1週間後目安に本誌で発表します。

アンケート:2014/2015年に買収されるスタートアップ

このアンケートはクエスタントという
アンケートツールを使って作成しました。
アンケートツール「クエスタント」

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内容の参考:スタートアップ起業家の家賃に迫る

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