Chapter1-2市場規模

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「Unfinity Ventures Summit」のLaunchpadを見て男性向けキュレーションメディア事業について僕は考え出した。本業がアナリストであることもあり、まずはこの事業の市場規模はどれくらいあるのかを考えてみた。ちなみにスタートアップのサービスは市場規模がかなり小さそうなのに、なんとなくこんなサービスがあったらいいよねという感じで始めているところが少なくない。

男性向けキュレーションメディアの類事業社はまずは男性向けファンション雑誌といえるだろう。LEONのような中高年向けから、MEN’S NONNOのようなティーン向けまで幅広い。思い当たる雑誌が何冊くらいあるか洗い出してみた。

LEON、UOMO、MENS’ EX、OCEANS、Safari、Gainer、MEN’S NONNO、Popeye、Street Jack、Smart、Huge…etc

10冊以上はありそうだ。これに加えてBrutus、Pen、GQ、GOETHEなどのライフスタイル誌も市場に入ってくるだろう。これらの市場を合算した発行部数と広告費がざっくりとした市場規模となる。

15誌の平均の発行部数を3万部として平均単価を800円とすると

3万部×800円×15誌＝3.6億円×12ヶ月＝43億円

これが部数売上のざっくりとした市場だ。50-100億円程度の市場といえるだろう。

次は広告売上の推定だ。ラグジュアリーブランドを中心に、自動車や時計ブランドが広告主として名を連ねる。雑誌1冊あたりの広告費を約5,000万円と仮定しよう。

5,000万円×15誌＝7.5億円×12ヶ月＝90億円

LEONのようなラグジュアリーブランドの広告が凄まじく入る雑誌は号によって広告費は億単位となるが、平均すると5,000万円程度だろう。広告費の市場規模は100億円強と思われる。

販売と広告の売上費は１：２で市場規模は150億円程度だ。わりと生々しい数字になってきた。女性誌は男性誌の3-4倍の雑誌の種類があることから、3-4倍程度の市場規模と思われる。

雑誌全体の市場規模は2013年時点で9,000億円を割っているというデータもあり、男性誌と女性誌合わせて1,000-2,000億円程度の市場であることは想像に難くない。雑誌市場のリプレイスという意味では、女性誌の方が市場規模は大きく、『Mary』事業の方が投資家には魅力的に映るだろう。

しかしこれは雑誌の市場を見ただけの話だ。スマホ時代はTVやPCといった既存メディアから広告主の広告費がスマホにシフトしてくるだろう。広告主に取って魅力的な媒体を作れば、雑誌以上の広告費がスマホメディアに落ちてくる。

普段街を歩いたり友達と話をしたりしていて、たとえば時計はファッション雑誌以外で広告を見かけることが極端に少なく、広告の出し先がなくて困っているのではないか？と疑問に思うこともあった。最近ようやく僕も時計に興味を持ち出したのだが、しょっちょう買うものでもないし、高いモノは数百万円する。1つの広告から１個の購入に繋がれば広告としてはペイするといえるのかもしれない。

同様に不動産や自動車も高額だが購入者である男性がよく見るメディアというのは限られており、広告主にとって魅力的なメディアを作れば、ビジネスチャンスはあるのではないか。

雑誌単体のリプレイスから市場を見ればさほど大きな市場ではないが、広告主の需要サイドから見るとそれ以上の市場ポテンシャルはあるように思えた。男性向けキュレーションメディア、アリかもしれない。

トレーダーの夏野と新丸ビルの『かつぜん』でランチしながら聞いてみた。

「普段読む雑誌とかメディアって何かあるか？」

「そうだなあ、日経とウォールストリートジャーナル以外だと、GQとかくらいかもしれない」

「そうか。ファッションやライフスタイルより経済誌を読む機会の方が多いよな。なんでGQは読むんだ？」

「そりゃそうだ。仕事だからな。GQはクールじゃないか。GQを読んでいる男はデキル男な気がする」

GQのような雑誌は夏野のような外資金融マンと相性が良いのかもしれない。こうした高所得者層が読むメディアには広告費も落ちそうだ。