11月に入りましたね。年内に上場を控える銘柄はまだ結構あると聞いており、11月上旬は上場承認ラッシュと予測されます。
そんな中でインターネット業界では赤字で上場する企業もあるのではないかという話もあり、Umeki Salonで赤字上場の是非について意見を問うてみました。いくつか論点があったので整理しておきます。
■東証の上場基準
Q5:「上場後一定の期間(原則、申請事業年度を含む2期間)において安定的に利益計上ができる合理的な見込みがあるかどうかを確認する」とのことですが、直前期及び申請期における通期の経常利益が赤字となる場合は、上場は認められないのでしょうか。
A5:原則として、申請期における通期の経常利益が黒字となる見込みを確認しますが、仮に赤字であっても、そのビジネスモデルの特性等を踏まえ、例えば申請期の月次業績における黒字転換を確認することで、申請翌期における通期の経常利益計上が合理的に見込まれる場合など、例外的に当該基準に適合していると判断することがあります。
参考リンク:東証上場審査に関するQ&A
1:直前期は赤字でも良いが、申請期は黒字が前提ではある
2:だがビジネスモデル次第では申請期赤字でも許容される
ということです。
これを土台にしたサロンメンバーの意見を編集してご紹介。
・申請期で赤字でも成長性が高ければ問題ない。だが、上場後すぐに業績下方修正とかはどうかと思う。
・黒字か赤字かではなく、しっかりした売上基盤があるかが重要。黒字でも売上が小さければすぐ赤字転落するし、赤字でも売上がしっかりあれば黒字転換の難易度は高くない。
ここからは僕の考えを。赤字でも上場を急ぐ理由は何なのか。
1:競合との熾烈な競争があり、上場により一刻も早く社会的信用力を得て競合と差を付けたい
2:上場で得た資金を元に大きな事業展開をかけたい
3:投資家のファンドが満期に近づいており、投資家から上場の圧力を受けている
一般的に上場は「社会的信用力の向上」「採用力の強化」「キャピタルゲインを分かち合いたい」が目的であることが多いでしょうが、「赤字でも上場」という場合は1が大きいのかなと。3はあまりないよと言われることも多いのですが、僕にはそうは思えず、ファンドの満期という大人の事情でセカンダリーマーケットでドナドナされるディールを実際に目の当たりにしていますので、実際はあると思います。みんな綺麗ごとばかり言い過ぎです。
この赤字上場。何を危惧しているかというと、IPO市場は1社で完結するものではなく、社会的な時流という文脈があり、1社転けると他にも悪影響を与えると思われるのです。2006年のライブドアショックでベンチャーの信用力が当時低下したらいしことを、僕も含め今の若い人は体感していませんが、30台後半のインターネット業界の大人たちは知っていることです。
以前、IPO初値バブルの終焉はもうすぐ?という記事を出しましたが、赤字上場銘柄の初値が公開価格を下回ることが続いたりすると、個人投資家のIPO銘柄への投資意欲が削がれ、以降のIPO銘柄に値が付きにくくなるという流れが予測されます。2014年冬のIPO市場は2014年夏ほどの過熱感もなくなってきていると言われています。ゆえに赤字上場は市場全体への悪影響を及ぼす気運が高まっているといえます。
時価総額500億とかないと機関投資家の投資対象とならないという話もサロンではあったので、時価総額500億未満の上場銘柄は個人投資家の動向次第で流れが変わりかねないと思われます。
11月上旬に予想される上場承認ラッシュ。既に東証による審査を終えている頃合いもしれませんが、大和証券あたりには英断を期待したかったところですね。
市場の全体最適を図るのであれば、赤字上場銘柄を出すのは避けた方が賢明かと思いますが、そんなの関係ねえ!企業活動には関係ねえ!と1社の戦略を通すには止むを得ないと考えるか。
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