リアルワールドが上場:構造上利益率向上は見込めず、売り推奨

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リアルワールドの上場承認が出ました。リアルワールドといえばポイントサイトの印象も強いですが、昨今ではクラウドソーシング銘柄という見られ方もしており、クラウドソーシング銘柄では初の上場案件といえます。一の部から資料をいくつか抜粋し、分析していきます。

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結論からいうと、売り推奨。上場時時価総額は頑張って二桁億後半と予測。ほぼ同時間に記事を出された丸山先生によると公募時想定時価総額は68億。

営業利益率7%。構造的に利益率上がらず、しんどい

まずは前期と今期のPLを見ましょう。

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売上原価が売上の約半分を占めており、粗利率はむしろ今期の方が低下しています。営業利益は人件費や広告費を調整すれば増やせるので、直近の2014年3Qでは1.4億の営業利益。通期では2億くらいの営業利益が出ると予測されます。

じげんなどのメディア企業が5割近い営業利益率を出す中で、7%程度というのはコマースよりしんどい利益率です。

セグメントは2つ。クラウド事業とポイントエクスチェンジ事業。ただ、ポイントエクスチェンジ事業の方は売上規模がまだかなり小さいため、今回はセグメント別分析は省略します。クラウド事業はポイント型アフィリ事業のため、ユーザーにポイントを付与するという原価が発生します。

これはユーザー数やクライアント数が増えれば原価率が下がるという構造ではなく、定常的に発生していくものであり、規模が拡大しても原価が下がりにくい構造にあり、結果的に粗利率は上がりにくいといえます。

ポイントもマイクロタスククラウドソーシングも成長性なし

事業内容の解説に移ります。クラウド事業は「Gendama」「ライフマイル」「CROWD」の3つの事業に分かれています。簡単にいうと前者2つがポイントアフィリエイト事業。最後のCROWDがマイクロタスクに特化したクラウドソーシング事業です。

スクリーンショット 2014-08-15 15.55.49■ポイント型アフィリ市場は飽和している

Gendamaとライフマイルのポイント型アフィリ市場。クラウド事業の8割型がこの事業の売上です。会員登録とか資料請求すればポイントがもらえるという、事業者が会員数とかを水増ししたい際に使えるマーケティングプラットフォームであり、見せかけの会員数を伸ばすには良いのでしょうが、本質的だとは思えません。

ここはスマホのリワードやアフィリとも似ているのですが、スマホであればリワードでブーストさせてランキングに入れてその後自然流入。というプロモーション手法が一般化している(いや、もう時代遅れかも)。ポイント型アフィリで獲得したユーザーの継続率やLTVっていいんだっけ?という点が非常に疑問。一部機能している場合もあるんだけど、砂上の楼閣マーケティングだと思う。

暇人がポイント欲しさにやるサービスなので、アップサイドもたかが知れている。現に上記図の会員数の推移はライフマイルは完全に止まっています。スマホシフトでアプリDLのリワード事業者などもいて、この市場は既にかなり飽和しており、成長市場ではない。むしろ他事業者に今後シェアを奪われていく可能性が高いと判断します。

■不透明な対応のマイクロタスク型クラウドソーシング事業

私は前職時代に実際にCROWDを通して発注しており、以前記事でマージンが高すぎるという指摘をし、この記事に対してのカウンター記事と思われる同社菊池社長のブログ記事もあったと記憶していますが、最大で7割のマージンを取られていました。

例えば200円払って1記事書くマイクロタスクに対して、リアルワールド側が140円の粗利を取り、60円がユーザーに還元されるという構造。しかもここ配分比率は当初は開示されず、投稿が集まらないと言ったら「ユーザーに上げるポイントを増やしますんで」といわれ「はい。そうですか。ん?どういうことだ?」と突っ込んだ結果、100円の粗利、100円のユーザー還元という比率に上げたりするという不透明な構造でした。

現状どうなっているかは知りませんが、似たようなマイクロタスク事業者が20%前後の粗利で事業展開しているのに対して、粗利率は全く開示せず、下げて50%まで。という同社の姿勢に対し、当時プロモーション担当であった私は遺憾に思っておりました。

クラウドソーシング事業は総合型のあの2社もいる市場ですし、同社のこんな暴利が成り立つわけがありません。私は発注した実体験を持って、同社のクラウドソーシング事業に成長性はないと断言しておきます。少なくとも当時の対応は他事業者と比較してヒドいと感じました。

注:当時のランサ○ズさんのご対応は良かったです。

リアルワールドに「buy」の余地は一つもない

下記の3つの要因を元に、リアルワールドは「売り」という判断とします。

1:構造上、利益率向上は見込みにくい
2:ポイント型アフィリ市場は飽和。シェアが落ちる確率高い
3:マイクロタスク型クラウドソーシングは総合型クラウドソーシングに案件を奪われていく

それにしても大和証券はレアジョブといい二桁億円の上場がお好きなのでしょうか。

レアジョブもリアルワールドも売り推奨ですが、私個人がそれらの企業により損害を受けたため売り推奨という判断にしているわけではありません。あくまで決算短信などを読み込み、過去のユーザー体験も踏まえた上での判断です。私は白黒はっきりした主張するので、不利なように主張された企業の方々の恨みを買うことがなきにしもあらずですが、ジャーナリストやアナリストはそのような圧力に屈してはならないと考えております。

大和証券殿に関しましては、ちょっと緩いんじゃないですかね。次のネット系企業の上場は時価総額100億は付くものをお願い致します。

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