Houzzというインテリア・リフォーム関連の海外メディアサービスを紹介。直近では23億ドル(約2,500億円)の時価総額で1.5億ドル(約160億円)を調達しています。日本ではまださほど馴染みがないでしょうが、それなりの規模の評価額のサービス。そのビジネスモデルに迫ります。
■Houzzファイナンス概況
シリーズA:200万ドル(2010.11)
シリーズB:1,160万ドル(2011.12)
シリーズC:3,500万ドル(2013.1)
シリーズD:1.5億ドル(2014.6)
ユーザー数は2014年1月時点でMAU1,600万と発表されているとTechCrunchにありました。ちなみにこの領域の国内プレイヤーの最右翼はiemoと思われます。
提供コンテンツ:アイディアブック中心にコマース含む4つ
アイディアブック(記事)、写真、製品(EC)、プロ探し(リフォーム業者探し)の4つがコアコンテンツ。サイト上でのQ&A(相談結果は掲示板上にストックされていく)、自分の投稿をuploadできるCGM機能もあります。
記事を見たところ、ご親切にもWordPressに貼るようのウィジェットがあるんですよね。
これが寄稿者のプロフィールページ(画像クリックすれば遷移します)CGMで純粋なユーザーというよりかは、「Houzz Contributor」とあるので、半内製みたいなものですかね。とはいえアイディアブック数が550、フォロワー数3,700。アイディアブックよくこんなに作れますね。僕のブログ一本書く並の労力がかかる気が。
各投稿を見ていてなんていうか気合いがすごいよなと思います。写真も全てなのかわかりませんが、内製比率が高い印象。
Houzzは直接在庫を持つEC企業だった?
キャッシュポイントを見ていきましょう。
・商品販売(在庫を持つコマース)
・プロ探し(リフォーム業者とユーザーのマッチング手数料)
広告もどこかに入っているかもしれませんが、この2つが中心でしょうか。国内サービスと異なるのはメディア(に見える)企業が商品在庫を持っている点です。アフィリエイトでは微々たる収益ですが、自社で在庫を抱えて消化率が高ければそれなりの利益額となります。これぞ正真正銘のメディアコマースといったところでしょうか。
リフォーム業者の実績ページを設けておくことで、様々なサイト内の導線から流入して来るユーザーとリフォーム業者のマッチングが促進されます。従来はユーザーからすると超ブラックボックスのリフォーム業者市場で知っている業者のサイトをいちいち訪問するしかなく、Houzzのようなプラットフォームであれば様々な業者を知ることができ、情報の非対称性が少しは改善されます。リフォームは単価が高いことからそこで数%の手数料でもそれなりの売上が立ちます。ここは「サービスコマース」という呼称で今後呼ばれていく領域だと思う。
ECとマッチングが収益の軸になりますが、しつこいくらい本誌では登場する「メディアコマース」。単なる静的なカタログECではユーザーは需要が顕在化して検索でしか訪れない。Houzzのように毎日アイディアブック(記事)を出す情報がフローで流れるメディアはユーザーの訪問頻度も上がり、潜在需要も取り込みやすくなる。接触頻度の多さから、いざ引越やリフォーム時はHouzzという第一想起に繋がる。
カタログECはそろそろ卒業して、メディアコマースのようなトラフィックを生み出す措置のあるECの流通総額(売上)が今後は上がっていくでしょう。
トラフィックエンジンを内蔵できるマッチングサービスは強い、このトラフィックエンジンがHouzzにおいてはアイディアブックなどの更新性の高いコンテンツとなります。
動機⇒購入を一気通貫するのがバーティカルメディア
Houzzはメアリーミーカーの2014年トレンドレポートでは「バーティカルメディア」というジャンルの中で紹介されています。「メディアコマース」というよりかは「バーティカルメディア」がたしかに包括的でしっくりくるかも。
■バーティカルメディアを構成する3C
1:コンテンツ
2:コミュニティ
3:コマース
Houzzはアイディアブックや写真がコンテンツにあたり、それに対するコメントなどでコミュニティ感がある。そして自社で内製したコマース機能やリフォーム業者とのマッチングサービスも持つ。コンテンツでユーザーの欲を刺激し、コマースで一気通貫で届けられるかがバーティカルメディアの肝。
バーティカルメディアは言い換えると食べログのような外食特化型もバーティカルメディアといえ、その文脈で紹介されていた気がする。主要サービスをプロットするとこんな感じでしょうか。
CGMの雄である食べログとクックパッドはご存知ながらコンテンツで月額課金。食べログに関しては予約サービスもあり、予約に関してはユーザー課金というよりは店舗課金。まあキャッシュポイントが多様で、美しすぎるマネタイズモデルです。
Houzzはコンテンツを全て内製しているわけではなく、CGM要素もあると思います。これはiemoやmeryにも言えることで、キュレーターという制度を設けて、一定基準以上のユーザーの投稿を促すCGM機能も内包します。
Houzzが在庫を持ってコマースをやっているので、iemoやmeryも在庫を持ってコマースする方向に進まないとスケールは難しいのでは。CGMからのメディアコマースへ繋げられるWEARはZOZOTOWNで在庫持ってますからね。国内のスタートアップが自社で在庫を持つのは難しい。そういったところとの連携は不可避で買収もあり得るのではないか。
国内では「キュレーションメディア」という言い方を僕はよくしてきましたが、ちゃんとスケールさせるにはモノないしはサービスによるコマースで完結するところまでいかないとそれなりの売上は立たない。広告だけでは限界が来ますね。女性誌、インテリア系以外のジャンルでこのモデルが適用できるとこが出てこないか探しています。ちょっと旅行はキツそうと思ったんですがね。どんなジャンルがあり得そうかぜひコメントしてみてください。
400名突破!Voyage宇佐美さんも参加するUmeki Salon
内容の参考:リクルート現役社員とOB向けに2ヶ月無料キャンペーンを実施
New!投資案件のソーシングもしています。資金調達需要のある方はFacebookでご連絡下さい。新サービスの連絡も歓迎です(記事化のハードルは高いですが)
New!News Picksで高確率で記事がランクイン。アカウントはこちら。
著書、グロースハック。本の要約サイトflierで要約を紹介。
梅木雄平が選ぶ珠玉の書籍40冊。
コーヒーミーティングで梅木に「いつかお茶したい」しよう!
今日も適当にツイート中。 @umekida