ソーシャル旅行企画サービス?のtrippieceがリニューアルしたようですね。
MOVIDAからの出資も発表されたようです。概要などはTech Crunchの記事でご覧いただくとして、本稿ではテイストグラフやtrippieceのビジネスモデルに着目した記事をお届けします。
■テイストグラフとは?
一応、定義を振り返ってみましょう。「インタレストグラフ」と呼ばれることも多いですが「テイストグラフ」と同義であると捉えて差し支えないでしょう。
twitter/Facebook連動(によるログイン)をベースとして特定のカテゴリ(食/服/本など)に特化した情報をそのサイト内で共有していき、趣味が合う人同士で盛り上がることができるという、濃淡はあれどもコミュニティ要素のあるサービスです。
twitter/Facebook連動によりある程度の実名性が担保されることにより顔が見える相手とのコミュニケーションの楽しさや実名性をベースとする情報の信頼性の高さによりコンテンツ数やユーザー数が増えれば楽しめるサービスであることが多いです。
過去ログでこんな記事もありますので、未読の方はご参考までに。
iQonとRettyにみる成功するテイストグラフの特性
■ユーザーさえ集まれば何とか…ならんだろ。
テイストグラフに限った話ではないのですが、ユーザーさえ集まればマネタイズは容易だろ。という風潮がスタートアップ界隈の空気として少なからずあると思います。ユーザー数が1,000万人単位の会社ですら利益を上げるのに苦労しているケースがあるのに、そんな無責任なことは私には言えないなあと思います。
しかし一時期は私も思考停止してこの考えに陥ってしまったこともあり、深く反省しています。ユーザーさえ集まれば何とかなるのはしっかりとしたマネタイズのポイントがあってこそです。ということで「マネタイズ」についてしっかり考えたいと思います。
とりわけテイストグラフ系のサービスはイマイチ「金の匂い」がしなかったのですが、trippieceの事例によってテイストグラフのマネタイズのパターンが若干可視化されてきたので、本稿でお届けします。
■トランザクション金額が大きいパターン
今回のtrippieceが当てはまるのがこのパターンです。旅行、とくにツアーは単価が高いため(海外では25-30万、国内で5-6万とTCの記事には明記あり)
今回のリニューアルと同時にtrippiece上で成立しそうな企画に関しては、旅行会社が実際にツアーとして企画するということで、企画料なりマージンをtrippieceはもらうことができます。
旅行会社としては集客のプロモーションコストとしての見方になるので、trippiece上で成立した企画に対して企画料やマージンを支払うのは、正当であり純粋な価値を感じてもらいやすいでしょう。
こういうい面白い旅行を企画しているようです。
この旅行のような1つのマッチングでトランザクション金額が大きいパターンは、テイストグラフのマネタイズとしては、いい線ではないかと思います。
トランザクション金額が大きいカテゴリや商材として、他には人材系(転職/結婚)なんかがいいのではないかなと。
既存の情報提供型のビジネスモデル(わかりやすくいうとリクルートモデル)でテイストグラフと相性の良いカテゴリが、トランザクション金額が大きいパターンに分類されるケースが多そうですね。
テイストグラフの中でも衣食住のようなインフラ的なカテゴリではないため
関心を持つユーザーの母数がインフラカテゴリほどは多くはなく、このモデルのポイントはコンテンツ内容の質になるでしょう。
trippieceに関していえば質の高い面白い企画が集まることで、その企画がソーシャルを通して拡まっていき、閲覧ユーザーが増え企画の参加者が増えマネタイズになるという仕組みは「寄付」と「参加」の違いはあれどもクラウドファンディングによく似たモデルともいえそうです。(グループ購買モデルともいえるかもしれません)よってtrippieceのセンターピンは「面白い旅行企画を集めること」といえるでしょう。
■ロングテールのアフィリエイトパターン
一方でワンショットでのマッチングのトランザクション金額は大きくないが
人々の生活に密接に携わっているインフラに近いカテゴリに多く見られるのがロングテールのアフィリエイトパターンです。(トランザクション金額が小さいパターンとも呼べるでしょう)
最近あるテイストグラフのカテゴリとしては食/服/本などが挙げられそうです。このモデルでは例えば洋服であればそのテイストグラフ内でシェアされた洋服を遷移先のECで購入することにより購入額の数%をバックするというモデルであり、洋服であれば単価が高ければそれなりの売上にはなるのかなと。
このモデルではコンテンツの「質」も大事なのですが、一定数まで早くコンテンツの「量」を確保することが最も大事といえそうです。
もちろんこのインフラカテゴリに属するテイストグラフのマネタイズは
このパターンだけではないのですが、サービスによってはメインとなり得るマネタイズのパターンになる場合があるかと思います。
■広告のみでマネタイズしようとするのは危険
webサービスのマネタイズの話では、「広告でマネタイズします」という話を聞くケースが多いですが、広告だけをマネタイズのメインに据えるのはあまりおすすめできません。
いくらimpression数があろうともセグメントできていたとしても、web広告の世界は既に市場の相場が形成されており、FacebbokやGoogleクラスにならないと高い利益率は望めないのではないでしょうか。
そこでそのサイトならではのオリジナリティを活かした、トランザクションでの手数料で儲ける道が重要なのではないでしょうか。
参考までにトランザクション軸でのテイストグラフの ポジショニングマップを。(今後本誌に掲載予定のサービスのロゴが登場しています。笑)