「キュレーションメディア」をあなたはどう定義しますか?

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2014年下半期スタートアップ界最大のテーマは「キュレーションメディア」になるかもしれない。筆者界隈ではこの手の動きが激しく、筆者自身もいくつかのメディアに携わる可能性が出てきそうだ。

キュレーションメディアとは何なのか。案外、簡単に説明することはできない。その概念や構成要素を整理しておきたい。

「キュレーション」と聞くと、様々なプレイヤーがいて少し混乱してしまうこともある。下記のように一旦整理する。

スクリーンショット 2014-05-16 21.04.54図が下手ですいませんorz

ソーシャルメディア、検索エンジンなどの流入チャネルは今回から端折り、キュレーション関連だけにまとめると、このような構造でユーザーは記事コンテンツを閲覧する。

ここ1年ホットなのがツールとなるキュレーションアプリで、ここでは二次メディアと呼ぶことにする。二次メディアは一次メディアが保有するコンテンツを集めてくるキュレーションメディアといえる。現時点では彼らは独自コンテンツを持たない。ソシャゲ業界に喩えると、一次メディアがSAP(gumiなど)で二次メディアがプラットフォーム(GREEなど)。

二次メディアレイヤーのキュレーションアプリ(メディア)はThe Startupでも類似メディアでも多くのところで語れている。次の主戦場は一次メディアのキュレーションメディアになると考えられる。

一次メディアの種類を3種類図には並べた。まずThe Startupのようなメディアはオリジナルコンテンツ純度100%で記事内にごく稀に他の記事の引用を使うが、極めてコンテンツの独自性は高く手間も掛かっている。

次に東洋経済オンラインのようなプラティッシャー型。(プラティッシャーの概念の説明はこちらの記事参照)東洋経済は「オリジナル(自社の記者)」「寄稿(梅木など)」「転載(NYTなど)」を1:1:1の比率でコンテンツポートフォリオを組んでいる。この「転載」に当たる部分を増やすことで、記事数が増え、トラフィック増が見込め、いちコンテンツパブリッシャーからプラットフォーマーへ近づけるのでないか。ということでこの手の立ち位置を狙うメディアを「プラティッシャー」という名称で米国では呼ばれている。

筆者が思うに、THE STARTUPの競合メディアであるTHE BRIDGEは「ピックアップ」というコーナーで海外記事の要約翻訳を出しており、プラティッシャー路線への志向を始めたように見える。

最後にキュレーションメディア。前置きが長くなったが、このキュレーションメディアとは何たるかを明らかにするのが本稿の狙いだ。

キュレーションメディアのコンテンツポートフォリオ

まずはキュレーションメディアはどういったコンテンツから構成されるのかを考えよう。これは各媒体によって趣向は異なるが、ポートフォリオには「キュレーションコンテンツ」と「オリジナルコンテンツ」がある。

オリジナルを、ここでは引用は一切使わない独自取材記事かオピニオンと限定する。厳密な比率のルールは特にないはずだが、キュレーションコンテンツ比率が高いメディアが「キュレーションメディア」と呼ばれると考える。ただ、オリジナルが一切ないメディアもいかがなものかということで、オリジナルコンテンツを一定比率入れたがるところも結構ありそうな印象。

「キュレーションコンテンツ」の話題を絞ろう。下記のようなコンテンツパターンが想定される。

■キュレーションコンテンツのパターン

1:(一部)転載(引用元は明らかにする)
2:海外記事の翻訳(と要約)
3:記事や写真など複数の要素を元にしたまとめ風
4:読者投稿(CGM)

1と2は専門誌では情報価値が高い。1つのメディアを翻訳したものにTech Crunch Japanがあるが、キュレーションメディアとして翻訳を考えた時に、特定のメディアから情報をクロールするのではなく、極力多くの複数のメディアからクロールしてきていることが、「翻訳メディア」と「キュレーションメディア」の違いといえるだろう。

3はNAVERまとめが代表的。新興メディアのmeryは若い女性向けに特化し、まとめ風の記事を内製している。4のCGMは3のまとめパターンの場合に機能することが多く、審査が通れば一般人でも投稿できるようになる。実はmeryには筆者も一記事投稿している。

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キュレーションメディアとはこれらの「キュレーションコンテンツ」の割合が高いメディアのことを指すと定義できるだろう。

キュレーションメディアの目新しさはコスト構造にアリ?

なぜ2014年に入ってキュレーションメディアが注目されるようになったのか。その文脈を考える。

まず需給バランス。2013年から二次メディアにあたるキュレーションアプリがマスに普及していった。図に上げた4つのアプリにユーザーが接触する時間が増えることで、(グノシーに限らず)ユーザーとコンテンツのマッチング精度が上がり、消費されるコンテンツ量が増えている可能性がある。

これはなぜWEBの広告単価は上がらないのか?でコンテンツの需給バランスが崩れていると指摘したが、直近1-2年ではスマホ時代でキュレーションアプリが浸透することで消費コンテンツ量が増加している可能性が高い。コンテンツ供給量は増える一方だが、ゴミも多く、まともなコンテンツを作ればユーザーに消費される確率も上がっている。ここに一つチャンスがあると考えられる。

次にメディア運用コストの低下。キュレーションメディアは独自取材やオピニオンを書く記者やライターを抱えるのではなく、上述のキュレーションコンテンツパターンに沿えば、記者やライターよりも安くコンテンツを制作し量産できる。上手くアルバイトを内製化したり、クラウドソーシングを使うこともある。安価に大量生産できることで、ボリュームにレバレッジが効き、記事数が増えPVも上がる。低コストで高PVメディアができるのではないかという点に新鮮味がある。

ただゴミ記事を安価に大量生産しても仕方ないので、そこはキュレーターの編集力なり、内製やクラウドソーシングするのであればコンテンツディレクション力が求められる。このコンテンツ品質管理が最も難しく、キュレーションメディアはゴミ記事比率が高まりやすい。

スマホ時代でコンテンツ接触頻度が高まっており、安く良いコンテンツを作ることができれば、読者を獲得しPVを伸ばし、収益性が高いメディアを作れるのではないか。これがキュレーションメディアが2014年後半に乱立してくるであろう文脈ではないかと思う。

キュレーションメディア3つのマネタイズ

最後にキュレーションメディアのマネタイズパターンを考える。

1:広告(アドセンス、純広)
2:アフィリエイト(オンライン、オフライン)
3:マッチング手数料

コンテンツ課金は考えにくいので外した。

広告はPVに応じてアドセンスは伸びる。純広はセグメント切れていれば単価高くても取りやすいかもしれない。

アフィリはメディアコマース的な感じでコマースへの導線を貼って売上を立てることもでき、飲食店や美容院、ネイルサロンへのO2Oの展開も考えられる。何気にO2O送客課金が一番マネタイズしやすいかも。

最後にマッチング手数料。リフォームのSUVACOとかを本誌でも紹介したことがあるが、単価が高いけど情報の非対称性がある市場はコンテンツを通したマッチングが生まれる可能性があり、単価が高ければ1案件当たりの収益性も高い。

1つのキュレーションメディアで売上を伸ばすには、PVを伸ばして広告をベースとした上で、アフィリエイトかマッチング手数料で稼げるような収益ポートフォリオを組めるかが鍵だと思う。

今後の予測としては類似ジャンルと思われる「バイラルメディア」が2014年初からスタートアップでは既に乱立しているが、「キュレーションメディア」も同様に参入障壁が低い。一時期のGroupon戦争のように「参入障壁が低いしコストも掛からず、ROI良さそうだ」と乱立が相次ぎ、華々しく散っていくサービスが急増すると思われる。

生き残るキュレーションメディアは、コンセプトがしっかりしており、編集長やプロデューサーのエッジが効いているメディア。付け焼き刃なキュレーションメディアは火傷するだけだ。

メディアは編集長が全てといっても過言ではない。

キュレーションメディアを僕はこう定義し、今後を展望してみた。皆さんはこの市場をどう考えますか?NewsPicksなどでご意見お待ちしております。

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内容の参考:【きまぐれUmeki Salon第1号】LINE田端氏の降臨など

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