HULUのマーケットポテンシャルとビジネスモデル

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TBS作品3,000本を追加したというリリースが最近話題になったHulu。>こちらの記事によると米国での有料会員数は450万人で退会率は「極めて低い」らしい。本稿ではHuluをケーススタディに事業デューデリジェンスの一例をお届けする。動画ストリーミング事業のマーケットポテンシャルとHuluのビジネスモデルを検証する。

日本の動画ストリーミング市場ポテンシャルは約500億円

既に米国での有料会員数は450万。先程の記事によると国内の通信キャリアのアンケートで「定額動画配信の利用経験者:4.8%」「興味あり:20%」となっている。

動画ストリーミングの間接的競合といえばTSUTAYAのようなレンタルDVDショップとなる。月額でDVDレンタルし放題のTSUTAYA DISCASはこちらの記事によると2013年6月時点で会員数140万となっている。動画ストリーミング専用サービスとしてはTSUTAYA TVをローンチしている。ざっくり比較するとこんな感じ。

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TSUTAYA全体の会員数は約4,500万。DISCASの会員は全体会員のうち約3%。CCCはMBOしているため決算資料を見れないわけですが、ざっくり算出すると

DISCAS事業売上=980円×LTV1年と仮定×140万=164億円??

桁が違うかと思い何度も見てみましたが年商164億。仮にLTVを半分の半年と仮定しても約80億円。倉庫や配送のコストはありそうですが、だいぶ利益率良さそうな気がします。動画ストリーミングであり倉庫や配送のコストが不要なHuluやTSUTAYA TVはスケールすればもっと利益率が上昇するでしょう。損益分岐点を超えれば、ひゃっほう!なビジネスモデル。やはり月額は素敵。

DISCASの数字や「定期動画配信に興味あり」のアンケート結果から、アップサイドはTSUTAYA会員の5-8%はありそうと推測できるのでは。現状は3%がDISCASの会員ですが伸び白的には会員数250万-400万程度にまでは今後3-5年でありそうだなと思います。今のDISCASの売上から1.5-2.5倍程度は伸びそう。他にも同種のサービスがいくつかありますが、DISCASをベンチマークすると月額DVD見放題市場のポテンシャルは250-500億円。これが動画ストリーミングに置き換わって行くと仮定すると、この市場は500億くらいの規模はある。

年商700億円のHULUビジネスモデルを探る

翻ってHulu。作品本数の少なさが一番ネックです。僕も昔使ってみましたが少なすぎて解約しました。せめてTSUTAYA TVと同程度の4万作品くらいまでに短期で揃えてほしい。売上はこの記事によると2012年で7億ドルと出ています。これは月額の売上だけでなく広告売上も多分に含んでいるらしい。

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動画ストリーミングはDVDのように在庫を持たず配送コストもかからないことから利益率が高いと読んでいますが、そのビジネスモデルはどうなっているのでしょうか。こちらのインタビュー記事によるとコンテンツオーナーへの公正な利益還元を掲げているようです。動画配信の仕入れモデルとしては下記が考えられる。

①:コンテンツ買い切り型
②:PV連動成果報酬型
③:複合型(①でミニマムを支払い②でアップサイドを取る)

TV局や映画配信会社にとっては過去のコンテンツを販売することで収益を得ることができるという点においてはHuluは新たな収益源になり得る。TV番組でいえば今まで広告収益に頼った上で番組の予算が決まっていたであろうが、Huluの収益モデルに乗ればTV番組制作会社がTV局を通さず直接番組を配信(納品)するというTV局の中抜きも可能になるであろう。

どれくらいコンテンツオーナーに還元しているのかは調べてみてもわからなかったのですが、それでもDISCASのような在庫・配送アリのモデルよりは利益率が高いであろうことが予測されます。

約20億ドルでの売却の噂もあったHULU

最近まで、約20億ドル売却の噂もありました。AmazonやYahoo!が名乗りを上げたと言われています。親会社がFOXとNBC、ディズニーって、スタートアップかと思いきやそうでもなかったんだなという。。3社合同で7億5,000万ドルを追加出資するという結末になったようです。

かなり昔の記事になりますが、この記事によると

上昇を続ける人気とは裏腹に、思ったほどの利益があがらないことに業を煮やしたオーナー側が大胆な経営改革を要求。無料配信継続を主張する同サイト経営陣との間で軋轢が生じるようになり、オーナー側は売却の検討に入っていた。(引用元:TV asahi america 動画サイトHuluが売却取りやめ)

当時は広告モデルが主流だったのか、「思ったほどの利益が上がらない」とあります。これは2年前の話なので現在と事情が変わっている可能性はありそうですが、利益が上がっていないということはコンテンツオーナーにけっこう還元していたのではないかと読み取ることもできます。

バランスが鍵な、月額サービスとコンテンツオーナーの関係

日本のスタートアップでも月額サービスプラットフォームとしてcakesやschooなどのサービスが挙げられます。コンテンツプロバイダー(オーナー=元々の所有者、ではなくこれらのサービスへは新規コンテンツを提供するため、プロバイダーと言い換えた)との収益配分モデルが気になるところ。

cakesはPV連動の報酬体系と聞いたことがあります。schooは…(大人の事情で省略しておきます

インターネットの月額サービスはクックパッドや食べログなどのCGM型とHuluやcakes、schooのようなある程度スクリーニングした上でのコンテンツの仕入れが発生する型の2パターンが主流ではないでしょうか。(ニコニコ動画は生放送が見れるとか優先席があるとか機能での差別化)

CGMは仕入れコストが事実上かなり低いのでスケールすると利益率がかなり上がりやすい。一方で仕入れ発生型だとコンテンツプロバイダーとのレベニューシェア率次第で利益率が左右される。コンテンツオプロバイダーがコンテンツを提供し続けるインセンティブ設計が鍵だと思います。

cakesのようなライターが寄稿する場であればPV連動で1本10万円超えることがザラにあったりすれば、やる気は増すでしょうね。ボランティアや名誉だけではコンテンツプロバイダーのモチベーションは継続しないと思う。

雑誌とかに寄稿していて感じるのですが当然ながらにコンテンツプロバイダーよりプラットフォームの方が儲かります。プラットフォーム創った方が強いです。ここは僕も寄稿戦略でいくのかThe Startupに記事書きまくって単体メディア価値を上げるか悩ましいところですが、しばらくは寄稿戦略を取り、今後も寄稿先は増やす予定です。

以上、Huluを分析してみると

マーケットポテンシャル:◎
ビジネスモデル:○(コンテンツオーナーとの契約条件が鍵)

こんなとこでしょうか。Huluはかなり売上がついているので見通しを立てやすいですが、アイディアベースのスタートアップサービスに関して同様に事業デューデリジェンスの記事を今後は書いてみたいと思っています。デューデリされたい方はぜひ僕のFacebook宛にご応募して下さい。デューデリ結果が記事内で紹介されます。

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