TripAdvisor:時価総額1兆・売上768億

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地味に周囲でも少しだけ使われている気がする旅行関連レビューサイトTripAdvisor。日本語での記事をあまり見かけたことがないのですが、調べてみるとオンライン旅行会社のExpediaからスピンオフして2011年12月に上場していたようです。Expedia自体、Microsoftからスピンオフしてるようです。全く時事性はありませんが、牧歌的に調べてみます。

旅行関係のスタートアップはTrippice以外にも構想だけはよく聞きます。ここ1年で4つくらいは聞いた気がしますが、meetrip以外はローンチもしてないかローンチしても鳴かず飛ばずっぽい印象を受けます。旅行関係の市場を調べる際に、TripAdvisorの調査は有用かと思います。

MAU2.2億、新規レビュアーはFB経由が35%

まずはサイトの主要な指標を同社の最新のIR資料から拾います。

スクリーンショット 2013-10-15 21.57.55MAU2.2億、メアド会員は5,500万。別の図表によるとレビュー約1億件。

スクリーンショット 2013-10-15 22.05.30面白いと思ったのは新規レビュアーの35%がFacebook経由での流入であるという点。(上記の右の赤の囲み)実は僕もTripAdvisorを開くのはフィルタかけてゴミ箱行き設定しているメールを漁る際に、FBフレンドの誰かがTripAdvisorでレビューを書いたとか、そういう情報を目にする時です。

実際に、ユーザーとして使ってみると見知らぬ土地に旅行する際にその土地に関するレビューを書いている友人がいると心強く感じました。あまり親しくない友人にすら「あのホテル、どうだった?」とメッセージで聞いてみようかとも思ったくらいです。ホテルや観光地に関するレビューはユーザーに対する提供価値が高いなと思いました。禁断のポジショニングマップを描いてみるとこんな感じかと。

スクリーンショット 2013-10-15 22.18.57体験回数と情報の非対称性でプロット(1人あたり体験回数が少ないものは非対称性の強さと比例傾向にあるでしょうが)できます。結婚式とか最たる体験回数が少ない商材です。TripAdvisorはレストランよりは体験回数が少なく、結婚式よりは多い。年間3-4回といったところでしょうか。とはいえそれなりに出費もするので、ユーザーにとってレビューの価値は高いといえます。

このマップだと真ん中くらいに位置する訳ですが、このスポットはビジネス的に価値が高そうだなと思いました(いやあ、ポジショニングマップむずかしい…)情報の非対称性がそれなりに高い分野であるからこそ、FB連携で友人がどこにいったというレビューを簡単に見れる点は価値が高いです。

リスティングなどのCPC広告を主軸に年間763億の売上

続いてはビジネス数値。売上を見ます。

スクリーンショット 2013-10-15 22.27.172012年度で約763億の売上。別紙によると営業利益は約300億。営業利益率約40%です。収益源は3つ。ほぼ広告。

①:CPC広告(リスティング、ホテル詳細ページ)
②:ディスプレイ広告
③:予約課金など

下記のような検索結果のリスティングとホテル詳細ページでのCPC広告が主要な収益源。CPC単価どれくらいなんだろ。

スクリーンショット 2013-10-15 22.34.10

投資家向けの資料には、リスティング広告やバケーションレンタルの市場に拡大余地があるとの記載がありました。ちなみに、M&Aも活発です。2013/2Q(半期)だけでも5件買収しています。日本のスタートアップもTripAdvisorに買収されるようなサービスを目指すといいかもですね。

実は時価総額1兆円あるTripAdvisor

最後に株価および企業価値をみましょう。(米国yahoo financeより抜粋)

z-1Expediaからのスピンオフ後に上場してから、株価は当初の30$程度から80$近くまで2-3倍に上昇。2013年10月15日時点の時価総額は約1兆円。PERは約50倍。サイトもここまで大きな規模になると、Googleの広告売上がいきなり凹まないどころか検索クエリが今後増えると同時に上昇するという考え方を元にすると、TripAdvisorも堅調な成長が見込めるといえるのではないでしょうか。大きな競合サイトも見当たりませんしね。

参考までに米国版食べログともいわれるYelpのチャートも見ておきます。

z-3Yelpも上場後から現在までで2-3倍の株価になっています。時価総額は現在約4,000億円。この手のレビューサイトはスケールすればプラットフォームとなり、安定的な広告収入(ないしは食べログやクックパッドのような月額課金収入)が見込めるため、軌道に乗れば売上も順調に伸びそうです。Yelpの売上は2012年度約178億、営業損益13億の赤字ですが。

営業利益率40%のTripAdivisorとの構造上の違いは売上高対セールスマーケティング比率がTripAdvisorの約34%に対し、Yelpは50%台後半となっている点です。これは売上がスケールすれば比率が下がり、黒字化できるモデルであり、Yelpは先行投資期間かなと思います。

以上です。需要が確実にあるプラットフォームサービスは堅調な伸びが期待でき、投資判断しやすそうですね。特に大きなリスク要因もなく、TripAdviorに関してはbuyといえるのではないでしょうか。個人的にはFB連動を上手く取り入れてグロースハックしている好例といえると思いました。

あネット業界の転職なら帰ってきたブライツ

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