キュレーショングルメアプリのテリヤキがついにリリースされました。私もリリースイベントに参加してきたのですが、ちょっと違う視点で記事を書きます。テリヤキの今後についてはCyberTimesに詳しく掲載されているのでこちらをご覧いただければと。
今一度グルメサービスについて構造的に考えてみた結果、「行きたい」というログが重要な事業資産であり、いかにこのデータを溜めるかが重要であると感じました。まずはこれについて解説をしましょう。下記図参照。
「行きたい」が今後のグルメサービス最大の事業資産になる
テリヤキもリリースされたことで、レストランを「認知」するサービスは増えています。網羅型の食べログ、身近な知人のお勧めがわかるRetty、キュレーター型のテリヤキ、Umeki界隈では鉄板のホイチョイ。
実際にレストランへ訪問するというユーザー行動を逆算して考えた際に、その日に探してすぐに電話して予約するなりその足で訪問するということも考えられますが、よりグルメな人であればあるほど気になる店をログ化するというユーザー行動をする確率が上がると思われます。人によってはRettyと最近食べログにも実装された「行きたい」を使うでしょうし、テリヤキやホイチョイは「お気に入り」となり、evernoteやExcelで管理する人もいる。
認知のメディアが増えてユーザーにとって選択肢が増えるのは良いのですが、テリヤキやホイチョイで知ったレストランを僕は結局Rettyの行きたいリストに追加するという行動をしています。行きたい店をログ化して簡単に利用できるか否かが実際にレストランを選ぶ際には非常に重要だと感じています。
そのデータベースが複数のアプリにまたがってしまうとユーザーは不便に感じるため、一つのデータベースに収斂させたいと思うでしょう。現に僕はテリヤキやホイチョイでお気に入りしたデータが勝手にRettyの「行きたい」リストに追加されてくれればいいのにと思っています。ゆえに現状では簡単に「行きたい」を溜めやすいRettyは高い競争優位性を秘めていると感じています。ステマではありません。ステマではありません。だってユーザーとしてそう感じてるんだもん。
「行きたい」がたくさん溜まってればそこからの予約課金などもしやすいかと。ただRettyにもダメな点があり、「行きたい」をエリアでソートできてもジャンルでソートできない。この点は非常に不便なので、早めの実装を期待。逆にいうとテリヤキやホイチョイの「お気に入り」は現状ではエリアやジャンルでソートできず、ユーザーにとっては二度手間になるのでお話しにならないといえます。
キュレーションメディアはブランド構築に時間がかかる?
折角なので、テリヤキも参入したレストラン認知メディアについて考えてみましょう。図の4サービスは奇しくもRetty以外は全て月額課金機能を有しています。メディア特性をレイヤーごと整理するとこうなる。ビジネスモデルとしては月額課金はある程度スケールしていくと思います。現に食べログの直近の月額会員数は約27万人。QonQでも14億⇒17億と売上を伸ばしてきています。カカクコム2013/2Q決算資料:リンク
■CGMの特徴
長所:集合知による信頼性(レーティングなど)
短所:レビュー数が増え過ぎると何を信じるべきか混乱しがち
特色:特定のレビュアーを信じるキュレーションメディア的な使い方もできる■キュレーションの特徴
長所:信頼性の高いプロの推薦。少ないが精度の高い情報
短所:そのキュレーターと自分の相性が見えにくい?レーティングがない場合は、誰が勧めているかという点のみにフォーカスされるため、一見しただけではなかなか信頼できない■編集コンテンツの特徴
長所:コンテンツ作成に手が込んでいることもあり(必ずしも工数と質が比例すると言いたい訳ではない)プロによる精度の高い情報
短所:情報提供量がかなり限られる
グルメ好きな人はどこかだけというよりかは結局横断的に各メディアを使うのでしょうが。テリヤキを見て、キュレーターが僕にはさほど馴染みがないからか、あまり刺さりませんでした。全て見ましたが、お気に入りしたのは5軒程度。(お気に入りは有料機能ですが、課金してみた)ユーザーとしては、いきなりミシュランやホイチョイのような権威があるわけでもなく、このキュレーター、信じていいの?と疑心暗鬼にもなるのが正直なところ。
実際に僕はさほどだなと思ったレストランが勧められていたりもしており、自分と感覚が合うのか?と思い、キュレーターに対する信頼を自分の中でどう上げていくのかがポイントなのかなと思いました。現状はキュレーターに対する評価(コメント)はキュレーターしかできないようで、これで評価経済が回ってメディアとして成立するのかちょっと疑問。
ブランドが構築されれば解決される問題なのかもしれませんが、「キュレーションしただけ」だとユーザーの信頼を獲得できるのは難しく、しっかりと編集したコンテンツを届けられる強みというのをテリヤキを見て奇しくも感じました。ホイチョイ強し。というわけです。
キュレーションコンテンツと編集コンテンツの質の差
情報量が増え続ける中で、キュレーション的な存在の重要性が目に見えてましてくるのは事実で、現にメディア業界ではその立ち位置をGunosyやSmartNewsが握ってきているのは周知の事実です。前者はアルゴリズム、後者は編集部による編集。
この2つのメディアを通して見るに、キュレーションとは「パーソナライズ」か「高次元の編集」のどちらかであると感じています。現状のテリヤキはロジック的には「高次元の編集」に近いのでしょうが、「キュレーションしただけ」ではなくキュレーションしたものを編集するという付加価値を付けないとキツいんじゃないかなと思いました。編集長の力量が相当に問われるという感じです。メディアの形としてはSmartNewsとcakesの中間くらいな感じがします。
個人的には「行きたい」データベースを用いたレストラン版Gunosyみたいなのが出てくるとニーズがあると思います。単純なレコメンドではなく、データドリブンなアルゴリズムでの提案で。
記事的には前半と後半で2記事に分けた方が良いほど乖離した内容になりましたが、ドンマイということでお許し下さい。
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