2013年8月20日、ヴォラーレ(Volare)株式会社は日本ベンチャーキャピタル(以下NVCC)、元クックパッドCFO成松淳氏を引受先とする累計1.75億円の資金調達を発表した。外部からの資金調達ははじめての実施とのこと。
尚、今回の引受先の成松氏とヴォラーレ代表の高橋飛翔氏の出会いはUmeki Salonのオフ会であったことを付け加えておこう。Umeki Salonは資金調達プラットフォームとしても機能し始めており、嬉しい限りである。
ヴォラーレはSEOコンサルティングで有名だが、SEOノウハウを活かした自社メディアのiPhoneアプリレビューサイトApplivを立ち上げている。今回の資金調達は2013年度内のApplivのAndoroid版の立ち上げを含めた成長加速に投下する予定とのことだ。実は私もApplivではスマホアプリ未来予想図という連載を持っており、今回の調達の資金が私にも投下されることを期待している。
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上記の写真はどこかで見ましたね。
現状の事業数値は下記。
■Appliv利用状況(運営12ヶ月後データ)
月間訪問者数:約165万
月間ユニークユーザー数:約120万
月間ページビュー数:約600万
( 2013年7月01日〜2013年7月31日 Google Analyticsより)
アプリレビューサイトの市場に関して、本誌独自で考察してみよう。
CGM特化が既存のレビューサイトと最大の差別化
アプリレビューサイト。と聞くと、AppbankやAndronaviなど多数のサイトが既に存在している。新規のアプリは年々増加傾向にあり、その裾野はまさにゴールドラッシュ市場だ。ソーシャルゲーム市場の裾野も恩恵を受けるように、アプリ周辺分野にも十分な市場がある。Applivは既存のレビューサイトとは下記のような点で異なる。
Appliv上では目的別にアプリを探すユーザー行動が主流である点が従来のレビューサイトと異なるという。
「既存のアプリレビューサイトは『なんか良いアプリないかな』というニーズに対して、一方向的なレビュー記事という形でコンテンツを提供していくブログやニュース的サービスを指すと思います。Applivに来訪するユーザーの多くが『家計簿のアプリが欲しい』などの明確なニーズを持って訪問しており、何となくApplivの記事を読んで面白いものを探すというユーザー行動は主流ではありません」(高橋氏)
サイトのUIもカテゴリ別に目的に沿って探しやすい設計となっている。nanapiっぽいUIと思ったのは筆者だけだろうか…。尚、アプリを探す際はApp Storeでランキングやカテゴリーで探す程度かと筆者は思っていたが、相当数がブラウザ検索で探していることのこと。Googleトレンドの伸びがそれを物語っている。
また、CGMであることにより一方通行的に情報を発信するメディアよりもアプリへのCVR(アプリ紹介ページにおいて「このアプリをダウンロード」というボタンが押された率)は35%と高い数字を誇るようだ。
リワード、アドネットワークに次ぐ第三のアプリ広告市場に
スマホ広告市場は約1,000億円とCyberZからヒアリングした記事で発表し、そのうちの6割がSEM(リスティング)であり、次いでリワード、アドネットワークとなっている。SEMを使うのはブラウザサービスであり、アプリ広告の市場は実質リワードとアドネットワークとなっており現状では400-500億円の市場規模と見られる。海外はその10倍程度。この市場は今後3-4年で国内海外共に2倍になると推測されている。参考:リンク
リワードはユーザーにインセンティブを与えて短期的にDL数を確保する広告であり、その後のアクティブ率の低下が懸念される付け焼き刃な方法だ。アプリ広告市場自体にはニーズはあるものの、出稿先がリワードとアドネットワークしかない。Applivのようなレビューサイトがクックパッドのような形でインフラとして成長すれば、第三のアプリ広告市場が生まれる。
ニュースサイト系レビューサイトとCGMサイトの最大の違いはコンテンツ量のレバレッジが効くか否かだ。この辺は今回の資金調達に参加した元クックパッド成松氏の知見が活かされるであろう。
広告メニューAppliv Adはアプリ遷移課金の成果報酬
今回のリリースに際し、Appliv Ad広告メニューの販売も開始している。
アプリ紹介を閲覧した上でApp Storeに遷移したユーザーについてのみ課金は発生する成果報酬型の広告だ。(インストールベースではない)アプリ紹介を読んだ上で自分の意志で遷移しているため、遷移後のインストール率は極めて高いと考えられ、無料アプリの場合は50%を超えるというヴォラーレの推定もあるようで、リワードよりよほど質の高いユーザーを獲得できるといえそうだ。
このような前提を考えると、現状のリワードCPI単価300-600円に対し、中長期的にAppliv Adの単価は150-300円に収斂していくと考えられる。(DLのCVR50%を根拠に)現在、Applivでは月間60万近いCVが発生しているとのことだが、そのうちの10%をAppliv Ad経由とすることを今後目指していくようだ。ちなみに広告主に対して、今なら利用開始時に3,000円分の電子クーポンを配布するキャンペーンを展開しているとのこと。
かなり入念に練られたApplv事業とAppliv Adであり、飛翔氏とここまで真面目にビジネスの話をしたことはなかったかもしれない…。最後にかつての記事で書いたアプリ市場の未来に関するドリカムの替え歌をコピペして、筆を下ろすとしよう。Applivは新たな広告市場を開拓し、アプリ事業者をリワードによる虚しい世界から救い出してくれるかもしれない。
曲名:スマホアプリ未来予想図 / 作詞:梅木雄平
廃業してから もう3度目の春
相変わらずホームにある 同じアプリ
あの頃リワードで 飛ばしたランキングへの道
今はユーザーからの評価を 見ながら凹んでる
ランクを落とした後 DAU(ダウ)が下がるまで見送ると
いつもブレーキランプ5回点滅 モ・ウ・カ・ラ・ンのサイン
きっと何年たっても 儲かるアプリは儲かる
稼いでゆけるよね 飛翔とだから
ずっと心に描く事業計画は ほら思った通りにかなえられてく
時々2人で開いて見るアドネットワーク
まだやんちゃな アプリたちに笑いながら
どれくらい長い時間 ポチっていたかしら
こんなふうに 競合のクリック消化する
2人でARPUの伸びに 悩み続けてたあのアプリ
ランク落ちた今でも 同じ気持ちで改善し続ける
きっと何年たっても 儲かるアプリは儲かる
作ろうと思えるのも 飛翔とだから
ずっと心に描く未来予想図は ほら思った通りにかなえられてく
ほら思った通りにかなえられてく
こちらの音楽を聴きながら歌詞を眺めて脳内で口ずさむと、世界観に浸れて良いかと思います。
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