AKB的な心理を突く「オフ」ラインto「オン」ラインでリアル店舗コミュニティ創造を狙うカンバン娘

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本日、カンバン娘がリニューアルしました。美人時計のように 、美人さんがお店のPRをしているだけのサイトだと思っていましたが(私だけではなく、そういう人も結構多いのでは?)ちょっと違うようです。

コンセプト:コミュニティを創ってリアル店舗を盛り上げる

人は飲食店を訪れる時に様々な要因から意思決定をしています。立地、価格、ジャンル、雰囲気、などなど。そんな中で「あの店員さんがいるから」という理由で選択する人も一定いるかと思います。そういったサービスレベルが高い店員さんが、属に「カンバン娘」と呼ばれています。

「そのカンバン娘」を軸にオンライン上で情報発信したり、お客さん同士でお店の情報を交換したりして、店舗のコミュニティをオンライン上で作ることによってカンバン娘とお客さんの接点を増やしてリピーターを増やすことで店舗を活性化したいのではないでしょうか。

O2O系のサービスはかなりの数出てきていますが、基本的に「オン」ラインto「オフ」ラインで「オン」が起点ですがどちらかというと新生カンバン娘は、店舗に行って店員さんを気に入る(オフライン)⇒カンバン娘上でその店員さんを応援する(オンライン)という「オフ」ラインto「オン」ラインが成り立つ仕組みである点が特徴的です。

それとは逆で、カンバン娘のサイト上で良さげなカンバン娘を見つけて、その子目当てで来店してみるという「オン」ラインto「オフ」ラインの動きもありです。

カンバン娘とのコミュニケーションとコミュニティが可視化されるUI

実際にログインして見て欲しいのですが、カンバン娘を「フォローする」という概念が「ごひいき」というワーディングであり、チップのような仮想通貨的なものを「おひねり」として「ごひいき」ユーザーと「おひねり」やコメントでコミュニケーションをとり、他のユーザーともフォロー/フォロワーで繋がれるという、SNS的なUI設計です。

「カンバン娘と店舗を軸にしたコミュニティ感あるコミュニケーションの可視化」を体現しており、コンセプトを上手く落とし込んだUIといえるのではないでしょうか。

キャンペーン:AKBファン的な心理を突く「カンバンスタッフに会いにいくツアー」

リニューアルとほぼ同時にキャンペーンも展開していますね。内容は「ごひいきを多く獲得したカンバン娘に会いにいこう」というオンラインtoオフラインなツアー企画でありその際のご飯代は代表の高崎さんが奢ってくれるらしいという、どこかで見たようなキャンペーンですね。

「ごひいき」や「おひねり」で「身近な」カンバン娘を応援しようという心理はAKBを応援する心理と近く、いやそれ以上に「手が届きそうな存在」のため今後活性化していくのではないかと思います。

O2Oサービスは一定のコアユーザーによる「オフラインコミュニティ」創造が重要であり、最初はサービス提供者が主導した方がいいというのが、U氏の持論のようです。

O2Oによるコミュニティマーケティングが今後のリアル店舗の成否を握る

カンバン娘は飲食店がメインですがこの「O2Oによるコミュニティ創造」はあらゆる店舗で応用が効くモデルといえます。

飲食店はまだ「料理」で差別化が可能ですが、物販のお店は「同じ商品」が色々なお店で売られていることが多く、価格が違わなければどこで買っても一緒であり、効率重視の人はネットで同じものを買ったりしているでしょう。

ECが発達して強力なオンラインという競合がいるリアル店舗は、「目に見えない良質なサービス」を提供することでしか差別化を図れないのではないでしょうか。ネットでも買えるものをわざわざリアル店舗に行って買う理由は「移動距離の負担がなく、ネットよりも即座に手に入る利便性」があるか「その店員さんとのコミュニケーションの満足度」の2つくらいかと思います。

今までは常連のお客さん相手にお話しするかDMを送るかくらいがプロモ手法だったと思いますが、それが例えばFBページなどでコミュニケーションが取れたり、そのお店によく来る人の顔がFBで見えてコミュニティができたりして、これからは「そのお店で購買する意味」にお客さんが敏感になる時代になるのではないかと思います。

▶事例:アパレルのリアル店舗は客単価の向上が事実上唯一の成長ドライバー

これはアパレル業界の友人と話していて気づいたことなのですが、特に地方は新規顧客数も伸びないのでいかにリピーターの客単価を上げるかが売上を伸ばすドライバーであり、地方のセレクトショップはバイイングの際に「umekiさんが買いそうだから」みたいな理由で「特定のお客さんのニーズ」を見越してバイイングしているお店が増えているようです。

私は地方出身なので「地方のセレクトショップ」と「東京のセレクトショップ」の違いが肌感覚でわかり、高校生の時などは「ショップのお姉さんと話すために足を運ぶ」とか普通にありました。そのコミュニケーションの積み重ねが店舗へのロイヤリティーを生み上京してから帰京する際にもたまに立ち寄るほどのロイヤリティーになっていました。

今思えば貴重なユーザー体験です。店員のお姉さんから「その服似合ってるね、この前買ったあれと合うんじゃない?」などのコミュニケーションは楽しく、古き良き商売の在り方だったのではないかと思います。

東京は「店員さんにロイヤリティーを感じる」とか「コミュニティ性のある」お店が少ない印象ですが(私のユーザー体験が乏しいだけかもしれません)O2Oによるコミュニティ(店員さんとお客さん、お客さん同士)活性化は、お店にとってはリピーターが増えて売上が伸び、お客さんにとっては「商品を買う意味」や「コミュニケーションの楽しみ」を見出すことができるWin-Winなモデルになるのではないでしょうか。

O2Oによるリアル店舗の新時代のマーケティングの在り方を、カンバン娘が先陣を切って体現しようとしており今後も要注目ですね。



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