1年半で340万DLを誇るカップル専用アプリ「Between」のプロモーション施策

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スクリーンショット 2013-05-24 22.37.00ポストFacebookにPathを推す本誌としては、クローズドSNSは注目分野だ。Pathに関しては本国からエバンジェリスト認定されていいほど推しているので、本国からのご連絡をお待ちしたい(冗談ね)今回はクローズドSNSの一種である韓国発のカップル専用アプリであるBetweenに焦点を当てる。

2013年5月現在で、グローバルで334万DL、日本国内でも30万DLまで伸びているようだ。MAUは約70%(DLではなく利用ユーザーを元に算出)とのこと。既にシリーズAで1億、シリーズBで2.7億を調達している。Between日本代表の梶谷氏に、Betweenが成長した背景を伺い、カップルアプリ市場の今後の展望を占う。

カカオトークの浸透が、逆にBetweenの成長を後押し

スクリーンショット 2013-05-25 12.04.00まずBetweenの機能を簡単に説明すると、カップルのフォトアルバム機能をメインに、チャットとメッセージ機能、課金して手に入れるスタンプがある。

フォトアルバムを見返して思い出に浸るのが主な利用用途と思われるが、チャットやメッセージであればLINEでいいだろと日本国内では思われるであろう。その疑問に対して、韓国の先行事例で梶谷氏はこう切り返した。

「Betweenをリリースした時、韓国でのカカオトークの浸透率は既に80%近くに達していました。2011年12月のリリースから1年半で、韓国の20-30代のスマホを利用しているカップルの40%に浸透しています」

「カカオトークはパブリックなカフェで話している感じで、本当に大事な人とは別のメッセンジャーアプリを使いたいという需要が顕在化しつつありました。カカオが普及すればするほど、Betweenのようなアプリの需要が高まっていったといえます」(梶谷氏)

簡単にいうと、この2つの需要があると梶谷氏はいう。

①:カカオではない2人だけのパーソナルスペースが欲しい
②:Betweenをやっていることで恋人がいるという顕示欲を満たせる

カカオトークとBetweenはバッティングするどころか、カカオトークの浸透がBetweenの成長を後押ししていた。これを梶谷氏は「シャワー効果」と説明しており、他でもありそうな現象だ。②の需要も面白い。女子会のネタにされているということだ。韓国では日本と異なり、美しい話(ホワイトトーク)がバズり、ちょっと下ネタ系(ブラックトーク)はバズりにくい傾向があるようだ。韓国女性はピュアなんでしょうか。

利用が始まるシーンは、女性が認知して彼氏に使わせるというサイクルが一般的なようだ。韓国は男性が女性に熱くコミットする文化があるようで、女性にDLさせれば男性もほぼ自動的にDLしてカップリングさせられる流れだったといえそうだ。

立ち上げ期の超地道なプロモーション

需要が顕在化していたとはいえ、勝手に広まるものでもない。韓国での立ち上げ時に行った施策は下記のようなものだった。

■Between立ち上げ期のプロモーション施策

▷オンライン
・大学の掲示板に投稿
・知人の会社のメーリングリストを活用
・ファッション系のスタートアップとコラボ
・コミュニティサイト(掲示板)に投稿

▷オフライン
・音楽イベントでブース出展
・その他カップルがいそうなイベントに出展

特定のコミュニティで話題になったことが着火点だったとのこと。ソウルで感度の高い女性への認知が進み、そこからバイラルで拡がったのではと。その後現在はTVでの紹介、ラグジュアリーブランドとの提携や、ブライダル会社との繋ぎ込みでユーザーを増加させ続けてきている。

立ち上げ期のプロモーション施策は非常に参考になる。超地道だが、スタートアップ時は様々な施策を試して、どこが金脈になるか高速でPDCAを回す必要がある。いやあ、懐かしい。日本でいえば「発言小町」的なサイトに投稿して、そこから立ち上がるのではないか?という仮説も立てられる。

バイラルで拡がる:Evernoteの成長曲線に類似?

ある程度立ち上がった後は、バイラルでの拡がりが中心で、よくあるアドネットワークでのリワード広告などは使っていないという。

「アプリの出来の善し悪しがダイレクトに反映されると考えています。本当に良いモノならバイラルで勝手に拡がっていてく。Evernoteの成長の仕方と少し似ていると感じます。Evernoteはユーザーをエバンジェリストにしたマーケティングがあると聞いていますが、Betweenでもtwitterなどで拡げてくれているユーザーに『Between Box』というコスメなどが入ったグッズをプレゼントするというリワードを通して、既存ユーザーのエバンジェリスト化を図ったりもしています」(梶谷氏)

地道っすね。。。しかし、Betweenを通してカップル関係が円滑になったユーザーは多いらしく、満足度の高いユーザーがバイラルで勧めてくれるのは自然な流れに思える。ユーザーにリワードを与えてのエバンジェリスト化はありですね。僕もコーヒーミーティングからリワード欲しいです。

カップルアプリはユーザーグロースが最重要KPIと思われる

カップルアプリは一度使い始めるとスイッチングコストが高くて、他に乗り換えられにくい。乗り換えるなら別れて次の異性と付き合う時くらいだろう。Betweenのキャッシュポイントは現状はスタンプ課金と、タイアップ広告だという。

カップルアプリのキャッシュポイントはBetweenの競合にあたるPairyがクーポンやコマースなどを模索しているようで、マネタイズの香りがしないわけではない。スケールする前に少ないユーザー数でキャッシュポイントのPDCAを回すより、先にユーザーを早く掴まえる方が重要かと。結局はBetweenの初期のような地道な施策をどこまでやり切るかが重要なんじゃないかな。

韓国での先行事例から、確実に日本でも浸透率が上がっていくことが予想されるので、Between(今日本国内で30万ユーザー)とPairy(たしか今は日本国内○万ユーザーくらい)のどちらを使うユーザーが増えるのだろうか。かなり差別化が難しい分野なため、マーケティング勝負といえそう。消費材のマーケティングみたい。こういう市場で戦うためにも、消費材のマーケティング部門で数年働いてみたい私でございます。

とにかくFacebookでイチャついてるカップルとか見ると死ねばいいのにとか思いますので、大人しくBetweenかPairyのどちらかでお願いできればと思います。ちなみにPairyの関係者に聞いたところ、付き合う前にPairyを使い始めて、それから付き合ったという事例が3件くらい彼らの周りにあったそうです。気になる異性と付き合う前に、まずはPairyへ引き込むというライフハックは恋愛市場でこれから流行るかもしれません。

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