サイバーエージェントが運営する女性限定完全匿名コミュニティGIRL’S TALKが2013年10月3日に月間利用者数400万人を突破したと発表した。本誌では2012年12月にGIRL’S TALKの1年以内の500万MAUの突破を予測している。このペースなら2013年中には500万MAUを突破するであろう。
GIRL’S TALKにみる匿名と相性が良いバーティカルテキストメディア
尚、女性向け掲示板サービスとしては発言小町も400万ユーザーを突破しているようだ(ソース)。ただし、発言小町は1999年のサービス開始であり、GIRL’S TALKは2012年9月の開始でまだ1年弱と、ユーザー数が拡大するスピードは異なる。ゆえに、発言小町を抜くのも時間の問題だろう。
GIRL’S TALKが急速に利用者数を伸ばした要因と、サイトを利用しているユーザー心理について担当者にヒアリングした。
ブログサービス導入後、4ヶ月でUU/PVが共に倍増
本誌でGIRL’S TALKがスケールすると読んだ仮説を振り返り、その後の実際の経緯を追ってみよう。
■仮説
1:女性が実名で本音を言いにくい悩みが存在する
2:その需要の規模はそれなりに大きいはず
仮説にある需要通り、すぐに200万MAUは突破した。しかし、上記のPVのグラフにもある通り、その後伸び悩んだ。掲示板のみではユーザーが定期的に訪れるようにはならず、継続率が下がったと推測される。2chなども毎日見るユーザーは一定数で、特定の炎上ネタなどでPVが上がるというスレのネタに依存する構造であると思われる。
■掲示板のみではすぐに天井、ブログサービスで再成長の軌道に乗せる
6月からGTブログというユーザーがブログを開設できるサービスを開始。GTブログで人気ブロガーが誕生していき、PVと利用者数が伸びていった。ブログサービスの場合、固定読者層が付きやすい性質がある。人気ブログに引っ張られて、伸びていったのか、2013年9月現在ではブログ:掲示板のPV比率は3:2となり、掲示板のPVをブログが逆転したようだ。
これはAmebaを運営しているCAグループのノウハウがあって、活きた施策と言えるかもしれない。
3つのユーザー心理:掲示板書き込み、ブログ投稿、閲覧
GTブログのリリース後にユーザー数の成長確度が上がっていたようだが、GTブログの登場によりユーザーは3パターンに分類できるようになった。
①:掲示板に書き込むユーザー
②:ブログを投稿するユーザー
③:閲覧だけするユーザー
実際にこの3パターンの立場でGIRL’S TALKを利用するユーザーに、どういう心理なのかをヒアリングした。
■①:掲示板に書き込む⇒すぐ誰かに聞いてほしい。友達にも言えない
人に言えないような浮気や不倫の経験もあるだろう。誰にも言えない話を打ち明けたい、というニーズはあると仮説は立てていたが「すぐに」という緊急性も掲示板に書き込む心理になり得ることがわかった。下記がユーザーのコメント。
フラれて辛くてどうしようもない時、即効性のある意見が欲しくて掲示板に書き込んた。寝れなくて、友達にも深夜に電話するのも悪いし。半信半疑で投稿してみると、血の通った女性達の「ナマ」のアドバイスを貰えた。そのときは同じ「女性」ってだけでこんなにも繋がれるものなのかと涙が出る程感動した。 それからは、自分と似た悩みを持つ女性がいたら 出来る限り力になりたいと思い、アドバイスもするようになった。
■②: ブログ投稿する人⇒経緯を綴り、女友達より的確な助言がもらえる!
ブログを書く心理として「ログ化」欲求があるというのは一般的だ。
だが、GTブログの場合は恋愛の経緯を生々しく匿名で綴ることで、「自分を客観視できる」「経緯をわかった上で読者から有益なコメントを得られる」という点が好評で、ブログ投稿者がハマっていってしまうようだ。匿名ブログならではの利点と言えるであろう。
GTブログを少し閲覧してみると、だいぶストレートな18禁内容が多かったため、エグくなさそうなものをピックアップすると左記のような記事。
ブログ投稿者の声は下記。
今の恋愛の色々を記録として残したくて始めました。GTブログは開設するとき勝手にニックネームが割り振られるから、何だか違う自分として、自分を冷静に客観視して綴れる。綴ってゆく中で、アドバイスが的確で驚いた。私と彼の歴史、事情を分かった上で経緯を知ってるからこその意見だからびっくりするほどリアル。
女性は、今目の前にある事象に対する単発の意見じゃなくて、そうなった経緯や私と彼の歴史、事情を分かった上でアドバイスが欲しいと思うもの例えば「彼にフラれて辛い、やり直したい」という事象に対して、そこに至った経緯を知って欲しい。自分のワガママの結果フラレてしまったのか、彼の浮気が本気になってフラれたのかにもよって、アドバイスが異なる。
私の過去のワガママを知ってる人だったら、その背景を知るからこそできるアドバイスがある。そういうリアルな反応がありがたいし、正直、女友達より頼りにするようになりました。
■③:閲覧ユーザー⇒掲示板よりもGTブログに固定読者が?
掲示板は賛否が分かれて盛り上がるスレは見てみたいというニーズがあるだろうが、実際は人気GTブロガーの記事を見たいというユーザーが増えているようだ。PVの再成長の要因は、GTブログによる固定読者層の獲得と言えるだろう。
掲示板は、不倫に関する賛否両論などの炎上している投稿以外は何を見ていいか分からず、暇な時に覗く程度でした。 けど、「面白いブログがある」よ聞いてGTブログを教えてもらってからハマってしまった。
最初はひとつだけだったけど、編集部のお勧めブログを見て何個かのブログを読者登録して読むようになった。皆素人なのに文章がプロ並に上手! 官能小説か!って思うブログもあるけど、リアルな一般の女の子達の恋愛事情が赤裸々に書かれてるから見ていてハラハラする。更新が待ち遠しい。
GIRL’S TALKは、機能追加による再成長の好事例
事業領域に一定のニーズがあり、ある程度まで伸びたが、成長の踊り場に差しかかる時期はどのサービスにもある。掲示板というベースとなるサービスの上に、ブログサービスという機能をアドオンしてスケールしたGIRL’S TALKの事例は、相性次第では他のジャンルでも応用可能であろう。GIRL’S TALKとその上でのブログサービスの相性の良さは、上記のユーザーヒアリングからも感じ取ることができるはずだ。
機能は加え過ぎるとUXが複雑になり離脱率が上がるという説もあり、それはそれで私も納得し、極力シンプルなサービスが好ましいという気持ちはわかる。しかし、ある機能が仕組みとしてユーザー獲得に大きく寄与することもあるのだというこを再確認できた事例であった。
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