スタートアップには二種類ある。既に市場化しているサービスを手掛けるスタートアップと、そうでないスタートアップ。投資家たちはいつも「マーケット。マーケット!マーケットゥゥゥ!」と言っている。ゆえに有望分野は何社かが参入しているがゆえに市場が形成される場合が多い。投資家は市場が大好きだ。
何社かプレイヤーが現れ、市場が形成されていく。そこで議論項目は2つ。
1:その市場はスケールするのか
2:その市場では何社が生き残れるのか
市場がさほどスケールしないのであれば、売上規模や営業利益額で見るとトップ1社しか生き残れず、寡占状態になってもおかしくない。1社のシェアが50%超えとか。一方で市場がスケールしていれば、下手すれば市場シェア3位や4位まで生き残れると考えることができる。
なぜこんなことを考えたかというと(もはやスタートアップではなく、通常の経営学マターな気がする)スマホ決済のSquareが日本上陸してスマホ決済市場が盛り上がっていたから。私はスマホ決済に関してはド素人なため、迂闊な発言は慎みたいが、一般的なロジックで考えると、資本力のあるSquareが他社より低い手数料率と早い支払サイト、そしてAppleストアで無料プロモーションでカードリーダーをバラまくなど、もはや一人勝ちするようにしか見えなかった。
国内にもCoineyという同様のサービスを提供するスタートアップがあるのだが、対Squareの資本に対してどう勝つつもりなのか。シリアルアントレプレナーをCFO的なポジションで迎えているため、近々大型の資金調達の匂いがしなくはないが、最近まではSquareに勝てるはずがないであろうCoineyをなぜ有識者の多くが推すのかがわからなかった。
何人かにこの疑問をぶつけていって、辿り着いた答えがこれだ。
市場が大きいがゆえに、3番手4番手でも十分事業が成立する。そしてそれなりの規模での売却の可能性もあり得る。
市場のスケールが確実であれば、そこに上手く相乗りすれば最悪でもきっちりExitできるはずで、投資判断としては正解。カード会社だってマスターやVISAからアメックスまである。金融業界は複数のプレイヤーが存在するケースが多いので、今回のスマホカードリーダー市場でもSquareだけがぶっちぎりで1社だけ寡占市場になるとは限らない。
一方でディスカウントクーポン市場は国内ではGrouponとポンパレの2強となった。利益率があまり高くなく、サステイナビリティも怪しいモデルであるため、多くの事業者が生き残りにくい市場だったといえる。
今回のスマホカードリーダー市場を見ていて、いくら大資本の事業者が参入してきても、そこだけが勝者になるとは限らない。市場によって勝者の数は異なり、市場の規模感とコスト構造を見た上で、何社くらいが生き残るのかを見極めるべきである。と思った。
市場で凌ぎを削っているのを外野から見ているのは楽しいですよね。どこが勝つかポジションを取れそうな市場を見物したいと思います。
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