1億円単位で出資する「Series B特化型ファンド」が今の日本で待望されている理由とCAVへの期待

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最近は国内では本当にスタートアップ向けの資金の出し手のプレイヤーが増えてきた印象がある。
事業モデルの見極めが仕事であるはずのVCだが
レッドオーシャンに後発で参入していくことに抵抗はないのだろうか。

シードの出し手が増えたことにより、シードの資金調達の難易度は下がり
わけのわからなさそうなサービスでも資金調達が容易に成功していたりする。
シードでファンディングできてはいいものの
次のステージは誰が面倒を見てくれるのか?
100社あったシードステージのベンチャーから
次のラウンド(シード=Aラウンドとすると、Bラウンド)に進めるのは
どれくらいあるのだろうか?確率は10%もないくらいだと思う。

*Series Bってどのステージだって突っ込みが必ず入りそうですが
私の中ではシード=Aで300-500万、Bは3,000万-1億くらいだと見ています。
通常国内ではBでいきなり1億単位で入るディールは多くはないですが
1億単位で入れた方が事業推進のスピードが上がるので
1億単位で入れるようなディールがもっと増えてきていいと思っています。

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■Series Bファンドは構造的にSeries Aファンドより儲からない?
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Series Bでの調達を検討できるスタートアップは
国内では1万人以上はユーザーがいて
それなりのアクティブユーザーがおり
それなりにサービスが伸びていくであろう兆候が見えてきた
というステージではないだろうか。

シード投資が「ローリスクハイリターン」と思われているようだが
決して私はそうだとは思わない。
たしかに出資金額は300万〜500万程度であり小さい額だが
全損する可能性はゼロではない。1/10が当たってくれればいいという感じであるが
ただの確率論であり外す可能性だって十分にある。
根拠の薄いポートフォリオ論である。
シードは「ミドルリスクミドル以上リターン」といえるかと思います。
ミドルリターンと定義したのはだいたいAラウンドで入れた投資家は
回収を急ぎたいのでBラウンドでAラウンドで投資した金額を取り戻す分のシェアは売却し
シェアは下がるため、敢えてミドルリターンと置いてみました。

一方でSeries Bでの投資ではある程度サービスの土台があり
伸びる兆候があるという点では
そこまで大きな失敗はしないのではないかと思う。
Bラウンドでの焦点は「サービスが伸びた後にどういうマネタイズの可能性があるか」
ここに大きく当てられるケースが多そうですね。
このステージまで来ていれば、大きく外すことはないと思うのですが
次はラウンドCへ突入するか売却 or IPOで
ラウンドCなら株式譲渡などがない限りシェアは変わらず持ち続けることが一般的に見えるため
基本的には売却かIPOまでいかないとリターンはない。
そういった意味では「投資金額を最低限回収できる」点では
Aラウンド特化型の方が優れているかもしれませんね。

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■それでもSeries Bファンドが社会的には必要な理由。単純にそこのプレイヤーがいないから。
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ビジネス単体で見るとSeries Aに特化した方が
Series Bよりリスクが低くVCからしてみると良いのかもしれませんが
Series Bで1億くらい突っ込み「売却やIPOまでの道筋を示せる」
そういうプレイヤーが今市場には少ないので
そんなプレイヤーが社会的には必要だと思います。

このステージでそれなりの投資のプレゼンスを見せているのはGCPですが
彼らはファンドの総額が400億であるということと多分に関係しているのかもしれません。
GCP1社ではSeries Bに進みたいスタートアップたちに取ってはあまりに選択肢が少なく
Series Bに進める力のある「それなりにイケているスタートアップたち」が
GCP1社に群がるという構造はあまり健全とはいえない気がします。

伊藤忠TVやCAVなどの事業会社系でプレゼンスの高いところにSeries B投資を期待したいところですね。
伊藤忠TVはiQONへのGMOと同ラウンドでの1.4億の出資などはSeries B投資の良い事例だと思います。
CAVは最近は韓国のカカオトークなどへの出資を発表しましたが
国内ではスタートアップの発掘に注力していく模様ですね。
CAVこそ1億単位の投資でAmebaとがっつりシナジーを出すなど
GCPの対抗馬を担える数少ないポジションにいるVCだと思いますので
スタートアップに特化するのではなく
Bラウンドでスタートアップを吸収して事業シナジーを出し
引いては吸収合併などでのExitの選択肢を増やすなどしてみたら良いポジションかと思います。
スタートアップ発掘は他社に任せて手を引いて
爆発する兆候のあるスタートアップにBラウンドで入るというのが賢明かと思います。
私がCAVの中の人でしたら現在の国内マーケットを鑑みた上で
このポジショニングを取るでしょう。まだブルーオーシャンだし。

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■CAVに期待?
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具体例として挙げてみると「美人時計」は GCPのディールですが
Amebaと十分なシナジーがあるはずであり
億単位で投資することにより、「Ameba×美人時計 」とすることで
美人時計は単体で頑張るよりも早くバリューが上がったのではないでしょうか。

GCPは独立系でありCAVは事業会社系。
CAVの方がAmebaというSNSとは違った強みのある媒体とのシナジーが
組み方によってはかなりバリュエーション豊富に考えられます。
(GREEもファンド活動を明らかにしましたが、あくまでSNS周辺分野への投資と見られます)
nanapiとかだってAmebaとシナジーありそうじゃないですか。
アメブロのニュース記事とnanapiの人気記事の連動とかアリな企画だと思います。

CVCの経験者として言及すると「事業シナジーを生む」というのは
多くの社内調整を必要とするため
キャピタリスト的にはそう楽な仕事ではありません。
ですが投資を受ける側からすると「あそこと事業シナジーがあるかも」というのは
とても魅力的に映り、期待してしまうのが真実だと思います。

私がCAVの中の人なら
事業部とのアライアンスを強烈に推進できる体制をなんとしてでも作り出し
それを強みとした投資活動を展開します。
スタートアップもVCにプレゼンをしますが
VCも自らの魅力をスタートアップ側に示せなければディールは成立しません。
私が担当者ならスタートアップに対して上手く事業シナジーの絵を見せることで
スタートアップから投資してもらいたいと思ってもらえる努力をするかと思います。

と、最後はなぜかCAVに寄った記事になりましたが
今回は「拾ってください」フラグではございませんのであしからずw
*所属会社でもう少し頑張りますが、ご興味ございましたらご連絡下さい。

ということでSeries B特化型ファンド(1億くらい突っ込むファンド)は必要で
かつそれが事業会社で強烈なシナジーを出せるとこだと
国内のスタートアップ界もさらに活性化しますわね。
というお話でした。



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