日本でスタートアップ支援型VCが増えている件を主に投資家サイドから考察してみた。

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今年始め、かの有名であった「ネットエイジ」の復活が発表され
samurai incubateに次ぐ日本での目立った
スタートアップ支援型VCの誕生(再登場?)に
スタートアップ界隈は湧きました。

3月にはあの宇佐美氏が率いるECナビもスタートアップ特化型に近いと思われる
『ECナビベンチャーズ 』の設立を発表した。
あと私見で名を聞くところだとOpen Network Labだとか
ネットプライスにもインキュベーション系なものがあるとか。

こうしたスタートアップが盛り上がる生態系ができつつあるのは
喜ばしい動きだと思いますし、なんかワクワクします。

なぜ今スタートアップ支援型VCが日本で増えているのだろうか。
ソーシャルメディアをベースに新しい事業展開をしやすくなった
という背景が事業者サイドではあると思いますが
ここでは投資家の視点でご紹介したいと思います。
この流れは上記のスタートアップの事業サイドの流れと
下記の投資家サイドの事業特性に気づいた人が増えているからである
と私は見ています。
かなりの主観と辛辣な表現が含まれますがご容赦下さい。

■ファンドとしてはローリスク・ハイリターン

仮に5,000万規模のファンドで500万ずつ10社に投資したとしよう。
portionはいくら持つかはディール次第だろうが仮に20%持つ。
10社のうちどこか1社でもValuationが2.5億つけば
そこでExitすれば元は取れる。

決してこれらのファンド(VC)がセカンドラウンドで売り抜けたい
というスタンスがあるかはわからないが
従来のVCファンドだと何社かがIPOすれば元が取れる
というミドル(ハイ)リスク・ハイリターン型に対し
下手な話株式譲渡でpayできるような可能性が
スタートアップ特化ファンドにはあります。
この「リスクに対する収益性の良さ」に着目し
今後も同様の動きをしてくるネット系ベンチャーが現れると予測します。

■スタートアップ特化型VCが『マーケット・メーカー』となる

スタートアップ特化型VCはほぼリードインベスターであるといえるでしょう。
彼らにとって現実的に重要な仕事は
投資先をIPOに導くことでも売却のアレンジをすることでもなく
セカンドラウンドでのValuationを上げることです。
ベンチャー、特にスタートアップへのValuationは
『適当である』というのが私の持論ですので
その『適当価格』を釣り上げるMKT活動をするのも
スタートアップ特化型VCのリードインベスターの役割かもしれません。
非常に表現の仕方は悪いですが
リードインベスターの仕事は日本的横並びVCたちを如何に口説いて
より良い(より高額な)Valuationでセカンドラウンドを実行することも
重要な仕事と言えるのではないでしょうか。
ある種 スタートアップ特化型VCにとって他のVCは重要な顧客なのです。

■力のあるキャピタリストは今後スタートアップ型に流れる?

日本国内で特徴のあるVCは
昔別記事でご紹介させて頂きました
GCPやIVPがあります。
CVCとしてもCAVとかがあります。
GCPやIVPは資本力がありますので少額投資とは真逆で
億単位で出資してリードインベスターになるというのが
通常の流れかと思います。

私の個人的な見解ですが
実力のあるキャピタリストこそリードインベスターを取りたいのだと思いますし
そうした方が実際に投資先を伸ばしIPOなどの成功に導いているのだと思います。
ミドルステージ以降で出資して成功しているのはタダノリに他ないと思います。
今後はミドル以降のディールではなく
スタートアップのファーストラウンドに
力のあるキャピタリストが流れリードインベスターを取り
セカンドラウンド以降では日本の横並び的なVCが出資をしていくという
『ラウンド間のVCのレベル差』がハッキリしてくるのではないでしょうか。

従来はセカンドラウンド以降で出資していた力のあるキャピタリストが
上記の収益性に注目し自身のマーケティング力に自信がある方が
どんどん参入してくることが考えられます。
今年は国内でも「スタートアップ・バブル」に湧く可能性が高いと思います。
既にそうなのかもしれません。

力のあるキャピタリストがこぞってスタートアップ特化型に参入すれば
見ている方としては面白いですが
サービスを提供するスタートアップ側に対して
他のキャピタリストが提供するサービスとどう異なるのか。
自身の提供サービスの他社との差別化という
しっかりとしたマーケティングが鍵になるでしょう。

■スタートアップの起業家が気をつけること

おそらく今後スタートアップへの投資熱は上がっていくでしょう。
言うまでもないですが『誰をリードインベスターにするか』
もしくは『誰も入れないか』をしっかりと考えることが大事になってくるかと思います。

■最後に・・・

かなり挑発的な記事になってしまったかもしれませんが
この「キャピタリストごとに提供できる価値はどう違うのか」に迫るカンファレンスが
もう2週間少し後と近づいてきました。

私はモデレーターを努めさせて頂きますが
楽しみにしています。

SVS3 〜日本のインキュベーターの果たすべき役割、目指すべき方向性とは〜

読者の方々、見に来て下さいね♪



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