2018年。今さらながらグノシー vs スマニューを検証してみる

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国内スタートアップ業界では2017年夏頃からは暗号通貨一色感がありますが、あまり適当なことを書けないので、TheStartupではそんなに触れられず…

ということで、過去に熱かった市場が現状はどうなっているか?を検証し、今後も占ってみたいと思います。

スマホアプリで非ゲームではニュースかフリマかと言われるほど熱かった、ニュースアプリ戦争でのグノシーとスマニューの競争?を振り返ってみましょう。まず、本誌の過去の見解をいくつか抜粋してみます。

現状はスマートニュース優勢のようですが、スマートニュース化したグノシーの華麗なフォロワー戦略はけっこう機能するんじゃないでしょうか。という予想でした。

出典:スマートニュース化したグノシーvsスマートニュース(The Startup:2014.3.1)

東洋経済への寄稿では

今回の4つのニュースアプリの中での覇者はグノシーになると筆者は予想。2015年にははっきりと差が付いているだろう。

出典:グノシーは「スマホ・ポータル」を構想(東洋経済オンライン:2014.7.17)

「2015年には」と2014年にサクッと言い切ってしまっていますが、真っ先に上場したのはグノシーの2015年4月で、続いてユーザベースが2016年に上場しました。

上場が先=ユーザーシェア率が高い=勝者、という等式は決して成り立ちませんので、当然ながら上場順=勝利順ではないことは、予め断っておきます。

ここ数年の動きを見ると、両社の目線の違いというか、経営方針の違いを感じますので、記事にしてみました。

ちなみにtwitterでアンケートをとりました。これが栽培マンを含む、Umekiフォロワーたちの見解です。

これを踏まえて、色々考えてみましょう。大前提として、スマニューは非上場ですので、現状の売上利益規模はわかりませんが、グノシーほどの売上利益にはなっていないというのが、業界関係者の見立てです。

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最近スマニューは広告掲載基準を緩和したらしく、YYCとかも見かけるようになりました(以前から掲載ありましたら、これが緩和の事例としては適切ではないですね。もし以前からありましたら、申し訳ございません)

本稿でははあまり売上利益には触れないつもりなのですが、グノシーはインフィード広告が超絶自然で、情弱層がホイホイクリックしてそうなのに対して、スマニューは広告掲載枠が少ないというか、プロダクトをカッコつけすぎていて、マネタイズが中途半端な印象がありました。ユーザビリティとのバランスを取った結果、とも言えるかもしれません。

おそらくプロダクト自体はスマニューの方が出来が良くて、意識の高い栽培マンからするとスマニュー優勢に見えるはずです。MAUやDAUもまだスマニューの方が多いかもしれません(お金かかりすぎなので、アップアニーを私のような個人は使えないので、間違いだったらすいません)が、マネタイズはグノシーの方が全然強いというのが業界の定説です。

エンタメ全般を取りに行くグノシーとニュースのスマニュー

両社のここ最近の打ち手を見ていると、ニュースアプリ戦争というレイヤーから変化しつつあるように思えます。

メルカリがただのフリマアプリではなく、様々なジャンルに触手を伸ばしているように、グノシーもニュースアプリに留まらず、様々な領域のトライしています。以前あった「ポータル構想」はそんなにワークしたようには見えませんでしたが、グノシーは打ち手が多い印象です。

それに引き換え、スマニューは基本的にニュースの枠内での打ち手であり、最近打ち出してきたクーポンという打ち手が、ニュース外にようやく出てきた印象がありました。スマニューのクーポンはスマニューでも十分ワークするでしょうが、地方情弱ユーザーが多いであろうグノシーの方が、よりワークする打ち手かもしれませんね。

☆最近の主なグノシーの打ち手(出典:会社HPや決算説明資料)

2015.12:ゲームメディア「ゲームエイト」買収
2016.5:KDDIと協業で「ニュースパス」開始、2017.12で400万DL
2017.5:女性向けニュースアプリ「LUCRA」開始、2018.1で100万DL
2018.1:仮想通貨/ブロックチェーン研究開始
2018.2:クイズなどのライブ動画配信(エブリーと連携?)
2018.2:コスメCGMの「Lips」運営会社に出資

一方のスマニューはHPを見ていても、プレスリリースには「どこどこチャンネルが始まりました!」という話が主であり、ニュース以外の話題はあまりありませんでした。

グノシーは昨今のバズワード的に考えると、ソフトバンク的な「群戦略」の方向もあり得るかもしれないと感じつつ、企業としての志向性は中国の未上場企業で時価総額約2兆円のToutiao的な方向性かなと感じます。Toutiaoも考えてみれば群戦略的か。笑

2014年から2018年初頭までの流れを見ると、グノシーはニュースにとどまらず、エンタメで可処分時間取れそうなものは色々挑戦しようぜというスタンスが見て取れます。

まだ開始から2年経っていないニュースパスがマネタイズに貢献しているでしょうし、WELQ事件でMERY停止が決まって割と早い段階で、LUCRAを投入してきています。

2017年6月に上場し、今は時価総額300億前後のGameWithと競合になりそうなゲームエイトを比較的安価に買収し、買収後に伸ばしています。

スマニューの出口はIPOか、それとも?

実は2014年の東洋経済記事では、お蔵入りにした点がありまして(自分で「これはさすがに書きすぎかな」と思って止めた気がします)、予想として「グノシーがスマニューを買収するだろう」とか推敲段階で書いたことがあるんですねw

ちなみに記事ではスマニューは「100億円前後での売却」となっており、すでに時価総額400-500億円なので、現実的には起こりにくいシナリオと言えます。

今後スマニューは時価総額1,000億円規模で上場してくる可能性もゼロではないでしょうから、なんとも言い難いのですが、打ち手の数や見据えるレイヤーを見ていると、その差は広がっているように感じますし、グノシーはもはやスマニューは敵と見なしていない気がします。

早稲田をライバル視しない慶應、みたいなものでしょうか。グノシーはスマニューではなく、Toutiaoをライバルとしてベンチマークしているのかもしれません。

一つ言えることは、同じジャンルで2社以上のプレイヤーが凌ぎを削る場合、その当時の売上利益規模の差はあれど、先に上場した方が、マーケットリーダーであるというイメージを持たれやすいと言えそうです。後で上場する企業は先発企業にバリュエーションを大きく左右されてしまいます。

先に上場した企業は四半期業績開示で、戦略を競合に読まれやすくなりますが、その分頭を働かせた結果として、進化も早いのかもしれない。というのが、私の仮説です。

グノシーが順調に利益を伸ばし、時価総額1,000億円に届くのは時間の問題で、2018年中には可能と見ます。一方のスマートニュースは、いつ上場してくるのか。DAUなどの数字は良いと聞いていますし、個人的には良いプロダクトなので頑張って欲しいと思いつつも、グノシーの利益規模やバリュエーションに左右されるでしょうから、非常にやり辛いだろうと感じています。

最後にやや辛辣ではありましたが、2014年当時の東洋経済の梅木の経営陣レーティングの項目を抜粋しておきます。

グノシー経営陣:4.8 ニュースだけではなく、ポータル化や世界展開を見据え、構想だけではなく既に展開を始めている。シリアルアントレプレナーとしての経験に基づく構想力や事業展開スピードのレベルが違い、市場から一歩抜きん出ている。

出典:東洋経済グノシー記事

スマニュー経営陣:3.8 エンジニア主導の文化のためか、他の企業と比べ、経営判断のダイナミズムや意思決定スピードが劣る印象。

出典:東洋経済スマートニュース記事

これが2014年当時の私の見立てでした。検証結果としてはそんなに違和感ない気がしますが、いかがでしょうか。

4年前のニュースアプリ戦争は、ニュースから戦場が変化してきており、ニュースが主戦場のままだと、グロースしにくい。今回細かく取り上げなかったNewsPicksのユーザベースも、まだまだSPEEDAの方が売上利益も大きいということで、SPEEDA+NewsPicksで最近時価総額600億円に届く規模にスケールしてきています。

NewsPicksはグノシーやスマニューとまた異なる月額課金モデルでワークしているので、SPEEDAもありますし、手堅く利益を積み上げ、2019年か2020年中には時価総額1,000億円に届くのではないかと見込んでいます。

スマニューは一体どうなるのでしょうか。ユーザーからの支持の高さと、収益性や経営戦略の巧拙は、必ずしも一致しないというのが私の見解です。

皆さんはグノシー vs スマニューの今後はどう見立てるでしょうか。twitterなどでぜひご意見とともに記事をツイートしていただけますと幸いです。

注記:本稿はグノシー社のネイティヴアドではなく、TheStartupの独断と偏見です。特段スマニューに恨みがあるわけではないですし、スマニューもちゃんとユーザーとして毎日使っていますよw

ちなみに少し前に紹介した「BuzzVideo」が直近のグノシーの最大の脅威な気がします。グノシーも動画切り替えができるのですが、UX的にBuzzVideoには及ばず、メインである情弱ユーザーの可処分時間をBuzzVideoに侵食されていく可能性が高そうですね。日本でどこまでBuzzVideoが定着するかが、2018年の見ものです。



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