「カスタマーサポート」って・・・!
TheStartupらしくないお題だなと感じた読者もいるでしょう。
先日夜中にカスタマーサポートネタをツイートして、もう少し掘り下げてみたいなと思い、書いておきます。
まず一般的に、カスタマーサポート(以下CS)とはどういう仕事だと思われるでしょうか?
最近は、「カスタマーサクセス」というポジティブな言葉を用いる企業もあるでしょうが、顧客サポートですよね。問い合わせ対応です。
バックオフィスです。花型ではないというのが、一般的なイメージかと思います。
すごく言い方悪いですが、教えればバイトでもできそう。マニュアル化して、この通りやってくれ、的な。
しかし、一時期、靴のECである「ザッポス」はこの「カスタマーサポートのクオリティが高い」という評判で、なんか成功した企業っぽく扱われた書籍が出ていましたよね。2009年に800億くらいで買収されてますが。
当時20代の私のような若者にとっては、「成功した企業っぽい話」に弱く、結構鵜呑みにしちゃうことが多かったですね。
私なりの実務経験から考える、CS論を少し共有したいと思います。
CSなんて、バイトでもできるだろ!
私も実はCSやったことあるんですよ。ECの会社で、受注処理とか問い合わせ対応をしました。社会人2年目の頃ですね。
社会人1-2年目の意識高い系の人って、今時の用語でいうと「イキってる」じゃないですか。例に漏れず私も相当イキっておりまして、しかしながらイキれる企業には入れていないという、最大の自己矛盾を抱えて苦しんでいた時期でしたw
それこそ「CSなんてバイトやパートでもできるのに、なんで俺様がやらねばならんのだ」と思っていましたね。私に限らず、フロント系の人は若い頃にバックをやらされると、こう思うことはあるはずです。
私はスラダンでいう豊玉的な「オフェンス8にディフェンス2」以上にオフェンスの比率が高い人間でしたから、まあCSなんてやる気にならないし、苦手でもあるわけです。
案の定、イージーミスをたまにやらかすわけです。すると、隣にいる30代の女上司がヒステリックにキレてきます。1社目でもヒステリックにキレる30代の女上司がいたので、30代女性ってマジ怖いなという原体験ですね。
単純にマネジメント下手すぎだろ思いましたが。おそらく、あれが唯一自分が会社員時代に受けた「パワハラ」なのだと思います。
それで私は「あー、この会社ほんとやだな」と思っていた矢先に、次の会社からオファーがあったので、サクッと転職しました。
話が逸れましたが、当たり前のことではありますが「お客様の疑問に真摯に回答したり、正確にオペレーションを執行すること」の大切さや、付加価値を添えた提案の重要性を学んだ気がすると、後から振り返って思いました。
事業の成功要因は、CS起点の発想にある
時が経ち、独立し、オンラインサロンや月額有料マガジンという自社ビジネスを手がけるようになりました。好不調の波は当然ながらあったのですが、これだけ長くやってるともう「あいつはマグレであの2つのサービスを当てた」とは言われなくなってきます。
選定した市場が良いとか、絶妙なバランスで成り立っているとか、色々言われますが、これらの月額モデルは買い切り型とは違い、リレーション価値も提供価値に含まれているかと思います。
自己分析的には、「CS的な発想があり、能動的に真面目に取り組んだ」ため、売上が上がったという見解です。
まず、サロンに関しては新規入会者に必ず私自らFBメッセージを送り、入会希望者の素性を把握し、入会希望理由や紹介経路をヒアリングします。怪しい奴が入ってこないかどうかの、入会審査も兼ねています。
これは、ぶっちゃけ入会時に必須項目として書いてもらって、それをアンケート的に取っておくだけでも良いのです。
しかし、入会希望者からすると、サロンオーナーから直接個別にメッセージが来るというのは、インパクトがあるのではないかと思ったのです。
ささやかなメッセージのやり取りから、入会者を覚え、相手のビジネスの役に立つことがあれば、何か個別に情報提供できるかもしれないとか、そういうことを考えています。
サロンの運営ノウハウを聞かれた時に、この話は必ずしているのですが、大抵の人が「サロンオーナーから直接メッセージなんて、絶対無理」的な反応をします。
私からすると「え?入会者に最初にメッセージ送るだけだぜ?1分もあればできるじゃん。無理なわけないだろ」という感じです。
あえてひどい言葉で言うと、サロンオーナーたちは「なんで栽培マンたちに個別でメッセージ送らなきゃいけないんだよ。俺、有名人だよ?俺の時給わかってる?」的な感じで思ったりするのだと思います。
しかし、私からするとこの考え自体がアホです。1分使って個別にメッセージ打つだけで、おそらくライフタイムが向上すると思います。「個別メッセージ」は、政治家における「握手」のようなものなのです。
CSは、コミュニケーション価値最大化の糸口になる
例えば、私が堀江さんのサロンに入会したとしましょう。全く面識がない中で、堀江さんから「サロンに入ってくれてどうも!どんな仕事してるんですか?」とか聞かれると、嬉しいじゃないですか。エンゲージメントが上がりますよね。
これは原体験としては、「年賀状」にあります。多分私は高校一年生くらいでやめましたが、量は多くないものの、年賀状を送る相手には必ず「個別カスタマイズで何か気の利いた一言」を書き添えるようにしていました。
小中高時代の幼心ながら、「こいつの年賀状はコピペだな」とか「あ、ちゃんと個別のメッセージだな」とか感じ取っていました。
似たような話だと、未だに届く「紙のDM」。そこに知っている店員さんから個別のメッセージが手書きで書かれている方が、何もないよりリピートしてみようという気に、私はなりますね。
私のことをネットでしか知らないひとは「冷酷な印象」を持たれている場合もあるかと思いますので、この手の「温もり」的な話は、私らしくないエピソードと感じる人もいるでしょう。
しかし、コピペ的で機械的な人間関係を築くくらいならそんな関係いりませんので、丁寧にやっていきたいものです。これはお客様とのリレーションにも同じことが言えると思います。
そして、きちんと温かみある対応をすることが、結果的には利益の最大化になるというロジックに確信を持っているため、私はサロンやnoteにおける「CS的な作業」を厭わないのです。
一見めんどくさいけど、きちんと取り組むと、ライフタイムが伸び、結果的に売上増につながる。
これが、私の考えるCSの本質です。
他にも考えられる、CSの副次的効果
月額サービスじゃなくても、ECとかの買い切りでも、CSが丁寧だとリピート率が上がり、LTVは上がると思います。
あと、CSの対応が良いと、ユーザーは口コミしたくなったりします。広告を出すより、CSを充実させた方が、コスパが良いとすら言えるかもしれません。現実的には「両方やれよ」なんでしょうが。
基本的に「お客様から問い合わせがきたら対応する」という受け身の仕事なのですが、能動的に顧客接点を持てる機会がないかを探してみて、自分から仕掛けてみるのが、良いと思います。
安直にいうと、イベントとかになるのですが、イベントというのはセッションなどのコンテンツ提供と割り切るには良いかもしれないですが、そのサービスのオーナーとしてユーザーをモテなす、ユーザーとコミュニケーションを取り、関係を築くという点でいうと、適していないチャネルに思えます。
何か大きめのイベントを運営したことがある人なら、共感してくださると思いますが、人数が多すぎると、お客様のケアが十分行き届くはずがないんですよね。なので、けっこう諦めちゃったりします。あんまり構えなくて、申し訳ないな。みたいな。
という感じで、CSについて思っていることを書いてみましたが、サロンでは基本新規入会者には全員。noteだとマガジン購読者がgoogle docsの閲覧権限が欲しいという際に、直接メッセージでやり取りさせていただくという接点を設けています。
私は特にアシスタントとかいませんので、全部自分でメッセージは返しています。大した手間ではありません。1日にして5分くらいです。
しかし、この5分をめんどくさがる人は実に多く、そして「無理」と決めつけてしまう。実務的にはとても簡単なことなんですけどね。習慣化すればよいだけで。
結論としては、CSなんてバイトでもできますよ。しかし、CSから何を学び、どう対応するか。自社の売上や利益を最大化するための打ち手は、おそらく多少のCSの経験があったほうが、思いつくと思うのです。CSはネタが探し的な位置付けで考えてみても良いでしょう。
スタートアップの場合、最初は社長自らCSをやることも少なくないでしょう。そして、スケールすると現場から離れていきます。それはそれで、正しいのです。
ですが、一番良いのは、スケール後もごくたまにでいいので、自分でCSをやってみたりする。CSはバックオフィスに分類されがちですが、顧客接点を担っているわけで、視点を変えればフロント職種です。
私は個人ですので、未だに自らがCS的なことをやりますが、これはこれで費用対効果に見合っていると感じますし、今のモデルのままであれば、継続していきます。
地味ですが、案外重要なCSの話。25歳の頃は「なんで俺様がCSなどやらねばならんのだ」と思いましたが、派手な仕事より、地味な仕事の方が、実は学びが多かったなと、栽培マン時代を振り返って、感じています。
サロンに入れば、必ず梅木から直接メッセージが届きます。noteマガジンを買って、メッセージいただければ返信します。
それ以外でも、何かございましたら、お気軽にどうぞ。お応えできること、できないことがございますが。