GCP・JAFCO・インキュベイト・ニッセイ4強?VCの2015/2016投資傾向

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日本国内でシリーズA以降の規模(億単位調達)でネット系スタートアップへの出資件数が多いVCを4社ピックアップし、傾向を分析します。今回ピックアップ対象となったのは、GCP・インキュベイト・JAFCO・ニッセイの4社です。

GCPとJAFCOはお馴染み感がありますが、インキュベイトは2015年から億単位での単独出資プレイも増えてきました。アーリーではあるものの、最初から億単位で張っているケースが増えています。あとやはり件数としては、かつては「困った時の」が合言葉であったニッセイキャピタルの存在感が未だにありますね。2013年ごろに活発に投資していたITVは2016年のネット系新規投資案件がTS調べでは3件でしたので、除外しました。

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各社単独でリードをとった案件から、既存案件のフォローオン、相乗りなど様々な案件がありますが、レイターステージのヒット率が4割と仮定すると、最低でもこのステージでの投資案件からは2割はヒットが出て欲しいところでしょうね。

調査対象:4社の2015年、2016年10.10までの国内億単位投資案件

GCP:梅木予想ではIPO確度最も高い

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2014年以前はもう少し年間案件数がありそうでしたが、2015,2016年ともに7件ずつ。おおまかな傾向としては、C向けサービスに多く張っている点でしょうか。梅木予想では4/14がIPOのため、あくまで梅木予想でのリターン確率が最も高くなっており、4社の中ではGCPは王道感は否めません。伝家の宝刀、小粒IPOで積み上げる印象です。

IPO予想にしなかった、スマートニュースやお金のデザインというビッグディールがどういった行方になるかが注目です。

JAFCOだぜ:最大の投資件数、幅広く張っとけ

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日本最大のVCの名に恥じず、4社の中でここ2年で25社とずば抜けた投資件数。特にリードを取る比率は最も高く、ベジータのごとく「誇り高きJAFCOだぜ」は健在であります。

マネーフォワード、game withといったIPO確度が高い銘柄も持っていますが、GCPと比較すると決してヒット率が高そうには見えないんですよね。とりあえずばら撒こう的な感が拭えませんが、AIやロボット、Bitcoinなども含め、インターネット関連でも幅広く張っておこうという傾向が見受けられました。

インキュベイト:アーリーでも億単位でいこうぜ

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インキュベイトは1号ファンドでAimingに大きく張ったりしていましたが、2号ファンドでは3,000万前後+フォローオンで幅広く張っていました。3号ファンドでは「アーリーでも億単位」という方針を打ち出し、特に2016年に入ってからはそれを実際に実現しています。

アーリー案件が多いので、予想は難しくあまり予想をおきませんでしたが、傾向としてはGCPと真逆でB向けないしはC向けだけれどマネタイズはB向けな案件が多い印象でした。

ニッセイ:「困った時の」は健在か

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投資案件を見ると「んー、これに張るのか…」というようなものもあり、4社の中では最もビジネスデューデリが粗い印象。投資件数自体はJAFCOに次ぐ2位で19社。2016年はリード案件が増えてきたものの、4社の中では最もノン・リードの相乗り案件が多い、合コンでいう数合わせ要員的な立ち位置。

とはいえSansanにはかなり早くから張っていますし、ワンダープラネットにレイターで入り込むなど、回収確度が高そうな案件もあり、最も玉石混合な印象。

2015年→2016年の傾向:リードで張る案件が増えた?

4社の投資案件を見て、如実な傾向としてあったのが「よりリードを取りたがるようになった」と定量的にはいえそうです。各々の2015リード案件/全体案件数→2065リード案件/全体案件数でいうと下記の推移。

GCP:3/7→6/7
JAFCO:8/11→12/14
インキュベイト:2/5→6/7
ニッセイ:3/8→5/9

個人的な予想としては①リード取らないと取得比率的に回収時に旨味がない(メルカリのようなメガ・ディールは別だが)②これら4社でコ・インベストすると普段はリードを取っているVCがノン・リードだと歯がゆかったりするのではないか。

この4社が被っている案件は、ココナラ(JAFCO、ニッセイ)とgame with(インキュベイト、JAFCO)の2案件くらい。

和を尊ぶ日本社会ですから、「VC同士も中が良いですよ」とか「案件全然バッティングしないんですよ」という人が多いですが、たしかに仲が良いVC同士もいるかと思います。しかし、仲が良いVC同士であっても、起業家から見ると当然競合するわけです。GCP高宮さんとインキュベイト和田さんで悩んでいるんですが、どう思いますか?とかそういう相談はきっとどこかでされているわけです。

とあるIVPが投資案件がGCPとバッティングして「けしからん!IVSを出禁にしてやる!」とか過去にあったらしいですし、VC同士は明確に競合です。特に良い案件は奪い合いになるのは当然ですよね。

そういった意味ではキャピタリストは恋多きチャラ男のようなプレイヤーで、振られてもすぐに次にいかなきゃいけないし、10社くらい同時に愛さなきゃいけないんですよね。マメ男じゃないとできないプレイかと。

ざっくり傾向のおさらいです。

GCP:C向け好きだし、分度器も好き
JAFCO:オールジャンルOK、でもリードは取らせろよ
インキュベイト:最初から億単位だけど、シェアちょうだいね
ニッセイ:困った時は、僕がいるよ

以上です。



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