ビジネス・メディアマンの不在

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最近、メディア業界の友人から、半分disりの意味合いも多分に感じたのですが「お前は、ビジネス・メディアマンだよな」という言葉をいただきまして、少し考えてみました。

一応、TheStartupを始めて6年くらいしますし、イベントには「メディア枠」で呼んでいただきますし、雑誌や他web媒体にも寄稿してきましたし、私は一応「メディアマン」なつもりです。「ブロガー」のつもりはない。別に日記をしたためているわけではないので。ブロガーとか呼ぶやつはマジでぶっ潰す。

私は一応事業経験があるので、マネタイズ周りにうるさいのですが、メディアとか「編集」に関わる人って、本当にビジネス感覚がない人が大半なんですよね。

編集系の人の7割は中央線沿いとか下北沢!とか好きそうな感じで、格好はメガネにリュックサックで、薄汚いネルシャツとか、そういう人が少なくない気がします。もちろんそのような感じでも、とても稼いでいらしゃる方もいるのですが、編集系のメディアの人間がリッチであるという話を、少なくとも日本では聞いたことがありません。

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メディア系の人は、特に雑誌だと自分の働きがどれだけ部数にインパクトを与えたか測る指標がないですし、売上に寄与していなくても「俺がいいって言ってんだから、いいんだよ!」という謎の暴君なオナニー選手も少なくありません。

それゆえ、何か排他的で孤高のオナニスト的な香りを漂わせている人が、少なくないのだと思う。自分の給料は誰から支払われているかを知らない。読者に支持されるものを作らないと、価値はないのだ。いくら、高尚な記事を書いていても、読まれなければ意味がない。

これはスタートアップにもいえる。高尚なビジョンを描いても、マネタイズできなければ無意味だ。1,000万DLされても、アクティブに使われて、広告収益が入らないと無意味です。

ジャーナリズムとか、クリエイティブって、マネタイズから一番遠いところで、過保護に聖域とされてきたのでしょうか。ビジネス・メディアマン不在の結果、部数が急落していく雑誌は死んで行ったんのではないでしょうか。ビジネス・メディアマンが雑誌サイドにいれば、MERYにここまでディスラプトされることもなく、もう少しMERYと(web転換して)戦えた雑誌もあった気がします。

東京カレンダーWEBでは2016年9月には2,500万PVを突破し、媒体資料上はVogueの2,200万PVを抜きました。PVを作るというのはあくまでも広告商品としてのバリューを高めるためで、ユーザーにとって何も価値はありません。しかし、読まれない記事を量産してPVも伸びず、広告が売れないよりは、強引にでも数字を作って、広告主の気を引く方が、中長期的なビジネスとして正しいと私は思っています。これが、「ビジネス・メディアマン」の思考です。

また、ビジネス・メディアマンは「売れる商品」を作れます。B向けでもC向けでも。そういった意味ではNewsPicksは立派だと思います。月額1,500円で現状は3万人くらい課金しているわけですし、課金したいと思えるほどフックになるような強いコンテンツを作れている。B向けでも求人広告とかで、現状はC向けよりもマネタイズしています。

私の中では、さすが佐々木編集長だなという感想を持ちました。正真正銘の、ビジネス・メディアマンです。あと旧来的なプレイヤーでいうと、ブラック企業情報のMynewsJapanとかですかね。たしか月額4,000円くらいのフリーミアムメディア。知った当時は画期的な仕組みだと思いました。

佐々木編集長のような人材があと数人はいないと、マネタイズしてしっかり生き残れるメディアというのは本当に無くなる気がしました。私が思うに、ビジネス・メディアマンの素養としては下記の3つだと思う。

①:多様なキャッシュポイントを作り出せる
②:思い切った意思決定ができる
③:時間軸を見通して、短期的な収益が上がらなくても耐えられる

特に、②が重要で、何か今までと違ったことをやろうとすると、批判反感は必至ですから、そこを「うるせえ、俺がやるから黙ってろ」と突っぱねることができるメンタルが超重要です。

ビジネス・メディアマンがいない、と嘆くのではなく、メディアマンであれば上記の素養を強く認識して、自分が伸ばせる能力を一つでも磨くことが大事だと思います。オナニー記事ではなく、読まれる記事を作ることは、大前提としてね。

私は個人メディアとしてもサロンやnoteでマネタイズしてきましたが、上記3つの素養は持っていると思います。1万円でnoteを売り出すとか、明らかに②ですし、月額ですぐに収益が出なくても耐えたのは③です。

メディア業界で生きていきたい方は、コンテンツ制作力のみならず、マネタイズスキルを磨くべきですね。私が知らないような鮮やかな手法でマネタイズする、ビジネス・メディアマンを見てみたいですね。



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