noteで有料でも売れそうな記事ですが、あえて無料記事でいきます。
僕はわりとビジネスモデルを考えるのが好きなのですが(とはいえオタクな域までは正直至っていないと思う)自分なりの思考過程を整理しておこうかなと。
僕が実践してきてそれなりにワークしたビジネスモデルを振り返ります。
目次
1:オンラインサロン
2:note
3:東京カレンダータイアップドラマ広告
4:まとめ
オンラインサロンは感情課金とN:Nを狙った
しつこく主張し続けますがw オンラインサロンをモデルとして成立させたのはおそらく僕です。イケダさんもはあちゅうも、僕に感謝しましょうw
昔からの読者は知っているかもしれませんが、オンラインサロンにはロールモデルがありました。それは2011年頃に玉置さゆりという人がやっていた、MG(X)という謎のモデル。彼女が主宰する?ラジオ番組に出たことがありますね。5年前くらいに。
彼女のブログの記事下に「個人の広告枠」がありました。当時はtwitterが流行ってきた頃で、PVのあるブログの記事下に個人のアカウント名を貼っておけば、フォロワーが増えたのでしょう。個人ですし、広告費もおそらく月1万円程度です。
@umekidaさんの提供でお送りしました〜的な文言が記事下に入ります。
彼女と月に何度かスカイプで話せる?というのがサロン的な原型でして、月1,000円で100人くらいいたんですよね。一般人なのにファンクラブみたいじゃないか!なんだこの画期的なモデルは!と思いました。
当時はgrowという記事に投げ銭できるサービスがありましたが、記事を読んで投げ銭してくれる人なんてあまりいないんですよね(noteでその機能は今もありますね)。大抵は記事を読んだ対価として、お金を払うのが成立すると思ってしまいがちなんですが、そうではなく自分が毎日のように読んでいるブログやその人を応援したいから課金する、という考え方が成り立つんだとこの時思いました。
その考え方を掘り下げた記事がこちらです。
ただし、応援したいという心理での課金を狙うだけなら、ファンクラブとなってしまいます。最初はそうでした。次に着眼したのは、TheStartupの読者であればその読者同士の趣向が似ているはず。TechCrunchに満足していないユーザーが、議論したいユーザーが多いはずだと感じました。
ターゲティングメディアは言い換えるとニッチな趣向を持つ人同士が集まる場であり、そういう人々が意見交換できる場になれば、ユーザー体験として好ましいはずだと仮説を立てました。そして、ユーザーが話を聞きたいと思うような人を「神」としてお声がけしていって、参加していただきました。
これが梅木雄平だけに依存しないN:NがワークするUmeki Salonのモデルです。ニュースやトピックについて、語らう場があると、その記事を読むだけより得られるものがあるはずだよね(オンライン)、しかもサロンに入って新しい人間関係もできたらラッキーだよね(オフライン)というモデルです。
これはターゲティングメディアにコミュニティサービスは必要とされるという仮説の上に、著名人をゲストとして招いていったという最後のピースがハマって、価値が増幅しました。神というパラメーターが重要だったということです。
オンラインサロンは年商2,000万円近いレベルになりました。
note:何の情報なら課金されるのか
今年の衝撃といえばnoteです。個人的な体験としては、サロン以来の衝撃でした。
僕が参入する前のnoteは100円とか300円で記事を売っている、プラットフォームでした。僕もグルメネタを1,000円で売るとか実験していたのですが、3,000円で投資判断情報を売り出したのが振り返るとエポックメイキングな出来事です。
そもそも、独立当初に「僕が調査したスタートアップ企業情報をVCが10万円くらいで買ってくれないかな。それを10社とか買ってくれるといいと思うんだけどな」という構想を持っていましたが、ジャフコの方にヒアリングしたりすると「いらん!」ということで凹みました。
このnoteは前編後編で300万近く売れるわけですが、実際の購買者を見ると、投資家ではなく経営者が圧倒的に多かったんですよね。投資家は本業なので、第三者の投資判断を参考にするのに抵抗があるのか、梅木の情報を信じていないか。一方で経営者は日々様々なビジネスモデルを考えているわけで、ビジネスモデルのヒントを探したり、自分の考えと梅木の考えは異なるか合致するかという答え合わせを、3,000円程度でラフにできる。という点に価値があったのかなと思います。
売り先(投資家から経営者へ)と価格(10万円から3,000円)を変えたら、ワークした。という例です。
この体験から改めて、「誰に」「何を」「いくらで」売るのかという掛け算の精度が超重要であることを学びました。この掛け算が綺麗にハマった例でしょう。言い換えると、失敗し続けても、パラメーターを1つ買えるだけで、爆発するポテンシャルが何事もあるんだということ。
このパラメーターを意識して作ったのが、「栽培マン」に「フラットなおすすめ転職情報」を「1万円」で売るnoteです。これも結果的には150冊くらい売れました。
当初は、1万円のnoteというnoteの上限金額の設定のものに対して、協業した高野さんも「え?そんなの売れるんですか?」という感じでした。しかし、僕には確信がありました。人生かかっている転職で、仮に年収500万円だとしてその0.2%程度の1万円で転職という意思決定のヒントになる情報が得られれば、買う人はいるだろうと。
最悪、5冊しか売れなくても「1万円で売れた」という実績になるので、noteのポテンシャルを拡げることに寄与できます。1万円のnoteを販売するなんて、百利あって一害なし。だったのです。パラメーターの異常値を狙った実験でしたが、見事成功。
noteは半年強で600万円以上の売上になりました。
東カレWEBタイアップドラマ:TVドラマ転用しただけ
次は東カレWEBの話。プロデューサー就任当初から、ストーリーの中でレストランを紹介するというのはやっていたのですが、試行錯誤の結果、クォーター(週間連載で12話)くらいやると一定の認知を得てPVも跳ねるのだ。ということに気づきました。
テレビでは連ドラにタイアップがついて「日曜東芝劇場」とかあるわけですから、それをWEB上に再現すれば良い、と考えました。WEBドラマというのは今はかなり横行してきていますが、ほぼ東カレのパクリであることも少なくないのですが、(記事にそう書いてあるものも見かけた)2015年はわりと珍しいものだったようです。
化け物的なヒットを記録した東京女子図鑑のおかげもあり、WEBドラマ=東カレWEBに認知を獲得し、タイアップドラマ広告が2016年に入ってからかなり売れるようになってきました。しかも、連続ドラマですから、ミニマム4本くらいの発注じゃないと成り立たず、グロス金額は1本での受注より当然膨らみます。営業効率が高い商材ですし、記事タイアップドラマ広告など東カレWEBにしかない商材とすらいえます。オリジナリティを獲得したわけです。
この時は、テレビの商材をWEBに転用しただけ、というシンプルな話なのですが、当時誰もやっていなかった。むしろ当初は「なんすかあの小説みたいな記事w」と馬鹿にされていました。馬鹿にされるというのは、良い兆候です。そこに必ずチャンスが眠っていますし、馬鹿にされているくらいなので、すぐに真似してくる輩もあまりいません。差をつけるチャンス。
今思えばラッキーでしたが、振り返るとやっていることは王道であり、それを誰もやっていない時期に振り切ってエグゼキューションしただけです。
クライアントなので額は非公開ですが、東カレWEBタイアップドラマ広告は相当売れています。関心がある方は私に直接ご連絡いただければ、私自らが企画を考えてご提案することもございますのでぜひ。ミニマム4話400万円くらい。ナショクラ歓迎。
梅木雄平のビジネスモデル作り3つの法則
まず前提として多様なビジネスモデルを「知っている」ことが重要です。そのモデルを知っている、できれば運用したことがあるという経験がないと、そのモデルを使おうという発想に至りません。
広告
コマース(物販)
コンテンツ課金(単発・月額)
コンサルティング(成果報酬・月額)
マッチング(成果報酬)
ライセンス
などなど。
運良く、ライセンスモデル以外は全て実務経験がありました。社会人3年目までに各々のモデルの実務に触れる機会がありました。広告売るためにテレアポした時代もありましたよ。ちなみに堀江さんもおっしゃっていることですが、僕は「在庫あるビジネス」はやりたくないですね。利益率の高さを追求したい。
それがベースとしてある上で、ビジネスモデルを作る際に、何に留意すべきでしょうか。
☆1:他業界のモデルを転用する
サロンはファンクラブが起点、WEBタイアップドラマ広告はテレビドラマが起点、です。言うまでもないですが、他業界のモデルを「知らなければ」その発想には行き着きません。なので日頃から様々な業界のビジネスモデルに関心を持ち、自分がユーザーとしてそのサービスを享受する際に、どういうモデルになっているのかを思考する癖を身につけると役立ちます。
例えば、街コンに参加してみる。するとそこは、Bクラス姉ちゃんたちの争奪戦であり、サクセスドライバーはCクラス男女のリピート率なんだな。みたいな仮説を参加して必死に考えることです。
☆2:3つのパラメーターを規定して実験する
これはnoteの話そのままですが。「誰に」「何を」「いくらで」という3つのパラメーターをいじって検証していく。プライシングミスで失敗しただけのことであり、プライシングが最適なら爆発する可能性もある。「誰に」の母数を想定した上で、売上見込みを最大化する作業。これを怠っていることは、少なくなく、パラメーターを1つずついじって検証する癖を付けることは大切だなと。
☆3:潜在需要を突け!
この3つの事例に共通するのは、他業界のモデルをWEBに転用したことや、パラメーターの掛け算が綺麗にハマって、潜在需要を突いたことです。潜在需要に気づくこと自体が、洞察力がないと難しいことなので、洞察力が重要であるという点と、前例がないことにトライしてみようという気概が必要です。顕在需要を突くことは難しくないので、競合もたくさんいます。しかし、潜在需要はみんな気づいていないわけで、スピードでアドバンテージ取れるんですよね。
一番大事なのがここなんだと思います。洞察に基づく潜在需要がアクションの起点になるので。ここの感覚が鋭くないと、1と2を積み上げても砂上の楼閣でしょう。
ピクト図解や利益思考あたりを自分でも読み直しておこうと思いました。ビジネスモデルを考えたい方は、この2冊はマストで読んでおくと役立つと思います。