日経とか過去の事業資産(というかユーザーの習慣)で課金され続けるメディアもあるでしょうが、これから新規で課金されるようなメディアは「顔が見えた」ほうが良いのではないかと思い。
2つそれを感じた出来事がありました。
一つ目はイケダさんのnoteを買った時です。記事下に「サポートも歓迎です。娘のオムツ代になるんで」って書いてあって、思わずサポートしちゃいましたよw イケダさんとは顔見知りですから、「それくらいは力になろう」的な心理が働きました。
二つ目はさっきNHKプロフェッショナル仕事の流儀でVERYの今尾編集長特集を見た時です。VERYは「主婦のリアル、半歩先」を良いビジュアルで見せることにこだわっているそうで、ターゲット層である主婦に地道に話を聞きまくっているようなんです。フィールドワークから得たリアリティが、誌面に反映され、共感を得て、結果部数が30万部、広告売上は月商5億まで伸びた。そして最近あった創刊20周年記念では読者イベントを開催したということ。
特にVERYの事例はファッション誌ではないけど、似たようなライフスタイル誌を手がける私にとっては、盲点になっていたことに気づかせてくれました。このメディアのターゲットは具体的に誰で、読者が必要としている情報は何なのか。読者に直接聞くのが一番であるということ。マーケティングの基本ですが、TheStartupでは比較的できていたつもりのことでも、東カレの方では案外抜け落ちた視点(友達とご飯食べたりして聞くことはあるけど)であり、もっと強化しなくてはなと。
VERYのフィールドワークは、コンテンツとして誌面に反映されるのが直接的な効果でしょうが、間接的効果として、読者が「VERYは自分の話を聞いてくれた。自分のような人がターゲットなんだな」とヒアリングされたという体験を通して、実はVERYに対するエンゲージメントを上げている。それがじわじわと効いている気がします。「最近VERY編集部にヒアリングされたんだけどさあ」って比較的好意的に主婦の間でバイラルすると思うんです。だからこそ、より読者はVERYを身近に感じて、手に取りやすい。
“メディアの身体性”みたいな記事をどこかで読んだ気がします。イケダさんの事例とVERYの事例はWEBと紙なわけですが、「メディアとして顔が見える存在であることが価値を高めているのではないか?」という点が共通していると私は感じます。
顔が見えるを通り越して、メディアがぬいぐるみを作るべきだ!と主張するけんすうさんもいたりしますが、マーケティングというか、商売の基本、初心に帰ると、「顔が見えること」が本質的には大切なはずで、それが中長期的な優位性を築き上げると感じました。5,000円で販売したオフ会権付きのnoteも既に85冊以上売れており、全員と会うのは無理ですが、オフ会の準備をぼちぼちやろうと思っているところです。
cakes「週150円で読み放題です!」
イケダ「1記事300円ですよ。100円サポートしてくれた娘のオムツ代になるので助かる」
あなたはどちらに課金したくなりますか?1-2割でも「イケダさんに課金するは」って人がいればイケダさんの勝ちですよ。きっと、それでイケダさんに課金してくれるユーザーのLTVはかなり高いはずで、cakesの平均のLTVの10倍に届く可能性があります。1割ファンをがっちり掴めば勝ちです。
cakesとnoteってシナジーもありそうですが、イケダさんの立場ではcakesに寄稿してPV成果報酬型の売上でも1本頑張って10万円じゃないですかね。それよりはnoteを頑張った方が売上が立つ。案外、この2つのサービスは食い合う可能性があると感じます。
事業者として、ビジネスとして、未来があるメディアは「顔が見えるメディア」だと思います。メディアがベールに包まれた神話であることが是とされる時代は、もう過去のものではないでしょうか。商売の基本を考えれば、顔が見える方がいいに決まっているし、そのトレンドだからこそEtsyとかがウケるわけです。