海外カバーの強化にあたり、最近月初にお届けしているTS40の米国市場版も開始します。初回は思い当たる企業を20社選定。主にはB2Cサービス中心に扱っていますが、「この企業は扱わないのか?」など漏れがあると思った方はぜひtwitterでもメッセージでもなんでもいいのでご一報頂けると嬉しいです。
初回ですので、時価総額のみならず「売上」「EBITDA」「利益率」をつけました。肌感覚(といっても米国市場の肌感覚など筆者にはさほどなく、なんとなくのイメージですが)との差異も語っていきます。
☆2015.11.29時点データ
NYダウ:17,798ドル
ナスダック総合:5,127ドル
引用元:データは全て2015.11.29時点の米国ヤフーファイナンスより
1ドル=122円(2015.11.29時点)換算で計算
TOP5:Amazonだけ異様な低利益率
通常はBIG4とされがちですが、アリババも加えました。アップルはガジェットの販売比率も高いでしょうから、ピュアな「ネット企業」として並べると若干おかしいかなとも思いますが、まあ外せない存在ですので。
ここでのトピックスとしては、知ってはいたもののAmazonってやはり利益率相当低いなということです。他の企業の利益率高すぎ(Facebookにいたっては40%越え)は驚きで、特にAmazonとFacebookは売上は7倍くらい違うのにEBITDAはほぼ変わらず、結果的に時価総額もほぼ変わらない。
時価総額1兆円越え7社:Netflixがややバブり気味か
続いては老舗と新興企業群が両方含まれる「時価総額1兆円以上、10兆円未満」企業群。この中で新興とカウントされるのはTwitter(2013年11月)とLinkedin(2011年5月)の2社。それ以外は老舗。
PricelineやeBayといった老舗はEBITDAもかなり出ていて、30%前後の利益率で安定していますね。
NetflixがEBITDAの割に時価総額が高い印象。米国のApp Storeトップセールスランキングでは19位。Huluは17位でした。HuluはちなみにNBCやFOXなどの3社共同出資による企業で、IPOや売却の噂もありましたが、昨今はどうなんだろう。日本では日テレが買収しましたが、ユーザーとしての感覚値的にはNetflixの方が日本でも勢いある気がする。ちなみに楽天の営業利益が連結で1兆円越えで、時価総額は3兆円程度なので、それと比較すると(ECとコンテンツで業種違えど)Netflixの割高感や。
日本ではあまり使われていないLinkedinは米国では堅調に推移している模様で、Twitterに関しては赤字のまま。売上も案外少ない。Facebookとは10倍以上の売上の開きです。
ちなみに1兆円越えの未上場企業はこちらで紹介しています。上場企業と未上場企業を並べてもさほど意味がないことはわかっていますが、Airbnbの価値はTwitterを上回っています。
参考記事:時価総額1兆円以上!超有名未上場企業6社の直近Valuation
http://thestartup.jp/?p=15574
新興企業8社:Tinder(Match)は割安か?
Grouponとか「もはや新興じゃなくね」という企業も含めてしまいましたが、B2C上場企業で時価総額1,000億以上を並べました。
キャンディークラッシュなどを提供するゲームのKINGがこの群では首位でしたが、Netflixの2倍近くのEBITDAで時価総額は1/10です。ゲームは日本市場同様米国市場でも評価されにくいのでしょうか。Netflixは仕入原価がかかるので利益率が下がりやすいですが、ゲームは当たれば高い利益率を確保しやすいのに。。
GrouponはEBITDAはあるのに、最終利益が赤字なんですよね。持分法投資損益がかなりの赤字で営業外赤字が膨らんでいる。詳しくは読みきれませんでしたが。。ちなみに一時期は時価総額5,000億くらいあったようです。
この中で次にEBITDAがあったのは上場したばかりのMatch.com。Tinderを擁するオンライデーティング銘柄で、親会社のIACがまだ株式の85%を持っているとのこと。Tinderの課金サービスTinder plusは2015年2月開始で、米国App Storeトップセールスランキングでは17位におり、Netflixよりも上。Matchの売上はOkCupidも含まれるとはいえ、Tinderが牽引していくことが予想されます。しかも仕入れかからないモデルだから利益率高い。
Matchと同様今年上場のBoxとSquareは赤字。しばらくは黒字転換よりトップラインがどれくらい伸びるかが焦点でしょうか。あと、Etsyはかなり薄利なんだなという印象。マーケットプレイスだから、今が先行投資期間であり、そのうち利益率上がってくるかな。
以上、サクッと米国主要インターネット企業20社の直近時価総額でした。赤字企業の評価の仕方は難しいですね。「宇宙からのPSR」という指標で評価するしかないのでしょうか。米国上場銘柄は日本上場銘柄や未上場市場と比較してみると、どこの企業に割高感や割安感があるかを把握しやすくなり、面白いかと思います。その手の話はまたの機会に。