twitterとSnap、どちらの時価総額が上?:米国ネット株26社の株価業績推移

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約2年ぶりに米国株を中心とした海外ネット銘柄をモニタリングしてみました。

前回記事:海外インターネット上場企業時価総額定点観測「TS米国20」(2015/11/29)

この当時のデータと直近の2017/11/5のデータを比較して、2年でどのような変化があったのか、流れを掴んでみます。ざっくりのオーバービューですので、個別企業の決算内容にはほとんど言及していません。気になった企業は別途リサーチしてみようと思います。

<注記>
対象企業:主にナスダック上場ネット銘柄26社(Microsoftはネットっぽくないと勝手に判断し割愛)
単位:兆円
為替:2015年=1ドル122円、2017年=1ドル114円
売上利益:2015年と2017年の計測時点での直近の年間PL
データソース:米国版ヤフーファイナンスなど(中国企業はEBITDAではなくOperating Incomeで計算している場合あり)
ナスダック総合指数:2015年5,127ドル、2017年6,764ドルで2年の伸びは132%

2015年記事に記載ない企業に関しては一部データが不十分であり、正確性より大まかな流れを掴むための参考程度に思っていただけますと幸いです。(←ここ、重要!)

少しスマホでは見づらいのですが、画像貼るよりはマシかなと思い、エクセル生データを貼っておきました。PC閲覧を推奨。

記事タイトルにした、twitterとSnapの時価総額がどちらが上か?というのは、ネット企業に勤めていても、パッと回答できなそうな気がしました。

スクリーンショット 2017-11-06 1.39.24

BIG6はFacebookとアリババが株価2倍以上

時価総額 2015.11.29 2017.11.5 2年の騰落率
Apple 80.1 101.6 126.8%
Alphabet 62.9 82.1 130.6%
Amazon 38.5 61.1 158.6%
Facebook 26.3 59.2 225.2%
Alibaba 24.3 52.5 216.2%
Tencent 20.3 51.2 252.1%

2年前記事ではTencentが抜けており失礼しました。大きなトピックとしては、FacebookがAmazonに肉薄して時価総額60兆円に近づいている。中国勢の2社が2倍以上の株価の伸びで時価総額50兆円に達しています。

売上 2015時点 2017直近 成長率
Apple 28.50 25.48 89.4%
Alphabet 8.70 11.31 130.0%
Amazon 12.20 17.11 140.3%
Facebook 1.90 3.78 199.0%
Alibaba 1.60 3.04 190.0%
Tencent 1.67 3.27 196.1%

売上成長率は下記3社の約2倍と株価の約2倍が綺麗に連動していますね。

EBITDA 2015時点 2017時点 成長率
Apple 10.00 8.00 80.0%
Alphabet 2.80 3.68 131.3%
Amazon 0.85 1.40 165.0%
Facebook 0.81 2.06 254.5%
Alibaba 0.54 1.26 232.9%
Tencent 0.76 1.35 178.6%

Facebookの伸びが一番大きく、利益が2兆円規模に。Amazonは売上規模の割に利益を出していないとは言っても、それでも1.4兆円は出してる。

EBITDA利益率 2015時点 2017時点
Apple 39.2% 31.4%
Alphabet 24.8% 32.5%
Amazon 5.0% 8.2%
Facebook 21.4% 54.5%
Alibaba 17.8% 41.4%
Tencent 23.1% 41.3%

FacebookのEBITDA利益率は驚異の50%越え。Amazon以外は軒並み30%越えと高い水準です。

PricelineとPaypalの時価総額10兆、Squareは1兆越え

この項では時価総額1兆円越えの企業を10社ご紹介。

時価総額 2015.11.29 2017.11.5 2年の騰落率
Priceline 7.5 10.59 141.2%
Paypal 4.9 10.05 206.0%
Netflix 6.5 9.86 151.7%
Baidu 8.2 9.55 115.9%
eBay 4.2 4.46 106.1%
Expedia 2.2 2.13 97.7%
Snap 未上場 2.07 NA
Twitter 2.1 1.66 79.3%
Square 0.5 1.61 342.0%
58.com 1.0 1.13 110.6%

まず注目に値するのがPaypalが約2倍の株価の伸びでPricelineに肉薄し、時価総額10兆円へ。Netflixも2年前の記事ではやや加熱感があると指摘したものの、1.5倍に伸ばしてきています。

1兆円未満のゾーンから、前回はIPO直後だったSquareが今回対象銘柄の中で最大の3.4倍のグロースを示し、twitterに肉薄する1.6兆円に。

記事タイトルのクイズですが、なんとSnapの方がtwitterより時価総額が上なんですね。売上はtwitterがSnapより4倍あるのですが。

売上 2015時点 2017時点 成長率
Priceline 1.10 1.31 119.0%
Paypal 0.98 1.24 126.2%
Netflix 0.78 1.24 159.0%
Baidu 1.03 1.28 124.7%
eBay 2.10 1.04 49.7%
Expedia 0.70 1.00 142.2%
Snap 0.07 NA
Twitter 0.24 0.28 116.9%
Square 0.13 0.22 166.6%
58.com 0.10 0.14 134.0%

売上成長率もSquareとNetflixが頭一つ抜けています。

EBITDA 2015時点 2017時点 成長率
Priceline 0.42 0.49 117.8%
Paypal 0.12 0.26 223.5%
Netflix 0.45 0.09 20.6%
Baidu 0.27 0.37 136.5%
eBay 0.59 0.33 55.6%
Expedia 0.13 0.18 145.9%
Snap -0.33 NA
Twitter -0.02 0.02 NA
Square -0.01 0.00 NA
58.com 0.02 0.02 83.6%

EBITDA成長率が高いのはPaypalで、売上成長率の2倍近く。決済は薄利ですが規模が出ると利益率が上がるということで、Squareにも同様の期待がかかりますね。

Netflixはさらに先行投資に踏み切り、増収減益ですが株価は伸びてる。

利益率 2015時点 2017時点
Priceline 32.1% 37.8%
Paypal 9.3% 20.8%
Netflix 36.3% 7.5%
Baidu 20.9% 28.6%
eBay 56.5% 31.4%
Expedia 12.5% 18.2%
Snap NA NA
Twitter NA 5.8%
Square NA NA
58.com 17.1% 14.3%

Pricelineの安定の利益率の高さが目立つ。Paypalの利益率改善も素晴らしい。時価総額1-2兆円規模だとSnapとSquareは引き続き赤字継続か。

Matchが2倍伸びて時価総額8,300億に

こちらの項では時価総額1兆円未満の企業を10社ほど。

時価総額 2015.11.29 2017.11.5 2年の騰落率
Match 0.42 0.83 198.1%
GrubHub 0.26 0.60 232.4%
TripAdvisor 1.4 0.60 43.2%
Yelp 0.27 0.42 156.2%
Groupon 0.21 0.34 162.9%
Box 0.2 0.33 165.3%
Trivago 未上場 0.32 NA
Etsy 0.12 0.22 180.5%
Redfin 未上場 0.21 NA
BlueApron 未上場 0.08 NA

株価でいうとGrubHubが案外伸ばしてきました。デーティングのMatchも順当に伸ばしており、1兆円プレイヤー入りが今後ありえそうです。

上記の項でもExpediaが株価を下げていますが、TripAdvisorが半値以下となり、GrubHubと同じ時価総額6,000億円水準まで下がりました。株価で見ると旅行系の2社とtwitterのみしか下がっていません。

売上 2015時点 2017時点 成長率
Match 0.12 0.15 123.5%
GrubHub 0.04 0.07 163.9%
TripAdvisor 0.18 0.17 96.9%
Yelp 0.06 0.09 149.5%
Groupon 0.39 0.35 89.4%
Box 0.03 0.05 171.8%
Trivago NA 0.13 NA
Etsy 0.03 0.05 150.5%
Redfin NA 0.04 NA
BlueApron NA 0.10 NA

だいたい売上と株価の伸び率に相関がありますね。Grouponが例外なくらいでしょうか。

EBITDA 2015時点 2017時点 成長率
Match 0.03 0.04 140.6%
GrubHub 0.01 0.01 142.5%
TripAdvisor 0.04 0.02 57.0%
Yelp 0.02 0.00 24.5%
Groupon 0.10 0.01 6.8%
Box -0.01 -0.01 133.4%
Trivago NA 0.00 NA
Etsy 0.00 0.00 273.6%
Redfin NA 0.00 NA
BlueApron NA -0.01 NA

TripAdvisorが大きくEBITDAを落としており、売上も微減ゆえに株価が相当落ちています。時価総額1兆円未満だと、Matchが約400億のEBITDAを出しているのが目立つくらいで、100億前後に収まっている場合が多い。

利益率 2015時点 2017時点
Match 20.2% 28.5%
GrubHub 15.3% 21.7%
TripAdvisor 22.9% 13.1%
Yelp 22.3% 5.5%
Groupon 28.7% 2.0%
Box NA NA
Trivago NA 0.1%
Etsy 2.2% 6.1%
Redfin NA NA
BlueApron NA NA

利益率を見ても構造的に課金モデルのMatchは魅力的。Grouponは売上伸びても利益は下がって薄利になっています。3社は赤字ですね。

気づき:株価パフォーマンスはSquareの3.4倍が最高

箇条書きすると

・ナスダック総合指数の2年の伸び130%に対し、ネット銘柄26社中15社は130%を上回るパフォーマンス。(2015年時点未上場が4社あり、130%を下回ったのは7社のみ)

・2015年対比で株価が下がったのは3社のみ。Expedia97%、twitter79%、TripAdvisor45%

・BIG6はAppleの売上とEBITDA以外は全て伸びている。特に米国4社(通称GAFA)の影響力がより強まると想定され、手堅い伸びが今後も見込まれる

・今回調査対象とした中国勢4社(Alibaba、Tencent、Baidu、58.com)は58.comの営業利益額以外は全ての指標で伸びている

・株価が最も上がったのはSquareの3.4倍。ちなみに日本のネット株で同期間(2015/11-2017/11)で3倍以上になったのは、フリークアウトの5.8倍(94億→552億)とグノシーの4.2倍(134億→696億)の2社。

・株価が2倍以上になったのは、5社。Facebook、Alibaba、Tencent、Paypal、GrubHub。日本の時価総額500億以上のネット銘柄で2倍強はユナイテッド2.8倍、イトクロ2.6倍、じげん2.5倍、リクルートとスタートトゥデイ2.2倍

・OTA銘柄は4社中Priceline以外の3社が下がっている。Trivagoも2016/12の上場後の最高値から半値以下の最安値を更新している

・2015年時点ではカバーしていたLinkedin、Yahoo!、Kingはここ2年で買収され、2017年はカバー対象外に。日本の主なネット企業でここ2年で買収によりカバーが外れたのは一休くらい。

ざっくり以上です。

米国株のカバー漏れが結構あると思いますので、この銘柄もカバーしろよなどございましたら、twitterやFBメッセンジャーなどでぜひリクエストください。次回以降でカバーしますw



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