ピークアウトしたかもしれない企業に身を置くことについて

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栽培マン向けコンテンツです。

Umeki Salonで議題にしたのですが、かなり盛り上がったので記事化。

栄枯盛衰激しいインターネット企業では、3年も王者の座を維持しつづける難易度が激しく上がっており、どの企業でも良い時期悪い時期をでこぼこと繰り返しているかと思います。

その中で突き抜ける企業あれば、転落し続ける企業あり。若手社員、本誌定義で言うところの栽培マンの皆さんにつきましては、成長企業で20代を過ごすのか衰退企業で20代を過ごすのかで、同じだけ仕事に時間を投下しても得られる経験値が変わってくると僕は思います。

僕は衰退企業で働いた経験を元に、衰退する兆しがある企業からはいち早く出るべきだという持論を展開しました。社内全体に閉塞的な雰囲気が漂う中で働くよりも、伸びている環境で働いたほうがやりがいを感じやすく、スキルも身につくのではないか。という仮説です。

この「ちょっと業績が悪くなってきた」ないしは「けっこうきついな・・」という状況の企業に見切りをつけて転職すべきか否か、という論点に対して、いくつか重要な指摘がありました。まずはメルカリ山田進太郎さんのご意見を要約してご紹介。

ピークアウトしたかどうかなんて、長いスパンで見ないとわからない。伸びてる会社にいた方が勉強になると思う。衰退企業だとダメなとこは勉強になるだろうけどね。ただ衰退してるかと思ったらターンアラウンドしていたというケースもありうる。そしてターンアラウンドを見る、やるのは一番勉強になると思う。

なぜなら会社やってると悪いときもあってターンアラウンドのやり方が分からないとキツいから。価値がある人材ってそういう立て直しをやった人たちなんだよ。

スクリーンショット 2015-10-14 10.53.42ギクッ!

この進太郎さんの一言に(やべっ!俺のことだ!)と思った方は僕だけではないはずです。ピークアウトを貴重なターンアラウンドができるチャンスと捉え、そこで踏ん張ることが一番人材価値を上げる近道といえるかもしれません。昨今のターンアラウンド事例としては、mixiの朝倉さんが記憶に新しいです。モンスト2周年らしく、2年前のmixiなんて相当きつそうでしたからね。

一方で、ターンアラウンドができる人材ないしはポジションは相当限られており、「若手社員が」ターンアラウンド期に直面した場合はどうか。マネージャーとして難易度が高いターンアラウンドで奮闘するのは経験値として良いですが、現場社員はどうなのかと。

経営陣がどう危機に対して対峙するかを見るのは勉強になると思うんだよね。ただ、ぜんぜん戦略がメイクセンスしなかったり、提案や質問しても納得の行く回答がないとかなら離脱もいいと思います。そもそもターンアラウンドって失敗する確率の方が非常に高いので。

進太郎さんも「衰退企業に絶対残れ!」と言っているわけではありません。

LINE田端さんは自らのlivedoorでのターンアラウンド経験をこう語ります。

livedoorに入社したのは2005年4月。livedoor事件が2006年1月。辞めたのは2010年の春です。

事件後のlivedoorを思うに、落ちきった後に、失うものがない状態って結構、面白いもんですよ。だらだらピークアウトで、ぬるま湯じゃなくて、落ちきったほうがいいね。

事件で当時の役員陣がほとんどやめたので、2階級特進で執行役員になったようなもんじゃないかな。戦後ニッポン!

何かの記事で読んだのは、田端さんはlivedoorニュースの責任者として、livedoor事件をきちんと掲載していたとか。田端さんの在籍期間的には、ターンアラウンド期間のほうが長いわけで、livedoorショック後のlivedoorなんて最高のターンアラウンドタイミングともいえますね。

役員がほとんどいなくなって執行役員に昇格した、という話も超リアルです。30歳前後のマネージャーくらいの方にとっては、ターンアラウンドを頑張ると、2階級特進とか通常より出世しやすいといえるかもしれません。ただ、livedoorほど派手な落ち方をする企業もあまりなく、たいていの企業がぬるま湯でじわじわと落ちていき、気づけばどうしようもない袋小路。ということが多そうな気はします。

最後は安定のVoyage宇佐美さんでの締めを。

「ピークアウト」に入っている会社とは、まさに成長の踊り場に来ており、不発弾がいままさに爆発しようとしている会社と言い換えてもいいと思います。確かにそのタイミングでは、組織も事業も大きな変換点を迎えます。今までのやり方を見直し、組織も事業も見直さなければ生き残れないことも多いはず。

こういうタイミングは、短期的な学び(成長機会)はあまり多くないかもしれません。どうしても守りが多くなるし、守りながら攻める、という難易度がとても高い戦略をやらざるを得ないためです。

ただ一方で、こういう誰もがダメだ、逃げ出したいと思うような状況において、逃げ出さずにその問題に正面から向き合い、再び成長基調に持っていくことが出来れば、それはとても大きな実績と自信にも繋がります。

短期的な成長を重視するのであれば他の会社を見るのも良いと思うし、一方で中長期的な成長を重視するのであれば、腰を据えてチャレンジしてみるのもアリだと思う。ただ難易度は無茶苦茶高いですが。

宇佐美さんの指摘は、個人のキャリアにおいて時間軸をどう考えるかという示唆を与えてくれています。短期的成長を志向するなら、他の会社に転職したほうがいいかもしれないし、中長期での成長を志向するなら、踏みとどまっても良いのではないか。これ、すごくわかりやすい判断基準でした。

簡単に要約すると、ピークアウトしかかっている企業をターンアラウンドして再成長に導くという経験は、実は栽培マンがサイヤ人に近づく一番の近道なのかもしれません。

「調子が良さそうな企業に転職する」というのは、調子がいい企業にいきなり良いポジションで入るのは難しいはずで、進太郎さんのいう通り、たとえ調子が良い企業に転職できたとしても、その立場は栽培マンのまま(転職先でのポジションは手足みたいなもの)かもしれませんね。

Umeki Salonでは、こういう深い議論もあります。ぜひ皆さんのキャリアを考えるきっかけにしていただけますと幸いです。



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