AntennaやHuluを通して見据えるメディアの未来 #SVS11

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サムライベンチャーズサミット(SVS)11に参加している。いつも榊原さんの朝のシャウトの後にプレゼンしているが、たまには他のセッションの記事を書いてみようと思い、書いてみる。

◆セッション名:メディアの “未来”
☆パネラー
グライダーアソシエイツ(Antenna)COO 荒川 徹氏
日本テレビ(HULUやSENSORS)インターネット事業局 原 浩生氏
☆モデレーター
アトコレ(THE NEW CLASSIC)代表取締役石田 健氏

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コンテンツに紐づいてユーザーが集まる場が「メディア」

最初の質問は「メディアとはなにか」というざっくりした質問。

人が集まる場。コンテンツを提供することで人が集まる。テレビは人が見たいコンテンツの最大公約数を集めて成り立ってきた。スマホ時代でテレビ局側に危機感がある(原氏)

プロが作ったクオリティの高いコンテンツはAntennaでは若い人がすごく見ている。一方で著作権が怪しかったり、記事をコピーしたり、怪しいブログはユーザーも見抜いていて、読まれなくなっている。ユーザーは20-30代の男女が多いが、質を求めていることがAntennaの運営でわかる(荒川氏)

Q:Antennaとスマニューやグノシーとの違いは?

スマニューやグノシーは時事などマス受けするものを配信している印象。Antennaは数を追求する発想はなく、雑誌を読む人がターゲットなので、割合が限られている。そういった人のアクティブ率を高めたい。人による編成により、ピックアップするコンテンツの最適化を図っている(荒川氏)

Huluは国内会員数100万人突破、Antennaは動画広告好調

Q:なぜ今メディアが変わりつつあるのか?

スマホによって大きく変わってきている。テレビは「何時からこの番組」という制約が多かったが、スマホは時間や場所の制約を解消している。趣味趣向が異なるので、よりパーソナル(で様々なメディアに興味関心が分散するよう)になっていく。(原氏)

Q:テレビ局によるスタートアップの買収はあるか?

かなり企業文化が違うと思う。既存メディアとインターネット企業ではクオリティへの意識がかなり異なる。既存メディアの作法でネットのコンテンツを作ろうとすると失敗すると思う。ネットのカルチャーに合わせたコンテンツ作りをしないと、上手くいかないのではないか。(原氏)

Q:スマホアプリは文化を変えられるのか?

未だにテレビは若い人に大きな影響力を与えている。みんなが盛り上がるコンテンツ(半沢直樹)などが向くのはテレビだと思う。Antennaのは、コンテンツホルダーがコンテンツを伝えるチャネルの一つにすぎない。メディアを訪問するきっかけを作るのが、ミッション。アプリだけでムーブメントを作るのではなく、その後にテレビなどで取り上げる連鎖反応がある(荒川氏)

荒川氏の話を推測して訳すと、スマホアプリだけでは文化を変えるのは難しいということだろうか。

Q:マネタイズってどうですか?

TV局様などメディアとの取り組みなどで、今年は売上かなり上がると思う。代理店様からは動画広告の引き合いが強く、Antennaはその中でも売れていると聞く。強制的ではなく、自然に動画を見せるUIを非常に意識している。一番伸びるメニューだと感じている(荒川氏)

Antennaはブランド広告などが多いように見受けられ、売上がかなり上がってきてそうだなという印象を受ける。筆者が知る限りでは、動画広告と最も相性が良いメディアだ。実際に動画広告の引き合いは最近増えていると肌で感じている。

ネットでの収益は、Huluはこの1年でかなりユーザー数を伸ばすことができた(2015.3月末時点で課金会員数100万人突破)日テレの番組内でHuluの告知をしているのでそれで伸びているし、それだけではなくスマホ回線やコンテンツへの課金の意識が整ってきていることで、リッチなものに課金する流れができてきていると感じる(原氏)

日テレは2014年2月にHuluの日本事業を買収。どのような計画で買収したかは定かではないが、ここ1年でかなり課金会員数(2015.4現在は月額933円)を伸ばしてきた印象だ。広告費やコンテンツ仕入れコストがあるとはいえ、月商10億規模だ。ケーブルテレビのような感じで、一度課金すれば案外ライフタイムは長いのではないかと予測する。Huluで100億円稼ぐかというラインはあっさりクリアしそうに思える。

テレビとスマホでコンテンツ文法異なる点は気をつけたい

Q:コンテンツとメディアの関係について

Antennaはコンテンツの内製をするつもりはなく、プロのみなさまが作ったコンテンツをいかにお届けするかというところに専念して考えていきたい。同じコンテンツでも時間帯や曜日によって反応率が全然変わってくる。意味のあるインプレッションやPVを作ることを意識している。(荒川氏)

テレビが担ったきた暇つぶしコンテンツをスマホが置き換えていく。YouTubeなどザッピングで見られている。テレビはCMをどう跨ぐかということを意識した構成をするが、スマホだといきなり結論からきたりするコンテンツも多いので、スマホに合わせた作法を学んでいきたい(原氏)

特に動画においては、テレビの動画をそのままスマホに置いてもワークするとは言い難い。デバイスならではの、コンテンツの文法は確実にある。

PV至上主義に陥らず、たしかなコンテンツを届けたい

Q:メディアがマネタイズすることに、葛藤は感じないか?

たしかなコンテンツを届けるがAntennaのポリシー。PVを集められるからといって、不確かなコンテンツは扱わない。広告主の期待を裏切らないブランディングを意識している(荒川氏)

会場からの質問であったが、意図としては高尚なメディアがマネタイズをしなければならないことについて葛藤はないかという感じと推測する。これは課金より広告で感じやすいことと思われる。実際に仮にThe Startupに掲載いただいている広告主が不祥事を起こしたとしても、それを糾弾する記事は書きにくい。広告によるマネタイズがあることで、ジャーナリズムが歪んでしまうのだ。

Antennaと日テレおよびHuluの方々の話を聞いて考えてみると、コンテンツの質について、デバイスによってコンテンツの文法の違い、広告と課金モデルはどのようにワークするのか。あたりが今回の論点だったといえよう。本誌でもメディア論は様々な確度で取り上げているが、改めて考えておきたい論点が何点かあった。



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