東京カレンダーWEB版の共同編集長に就任しました

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レストラン好きな人であればきっと知っているであろう雑誌「東京カレンダー」。そのWEB版の共同編集長に就任しました。既に昨日1月19日からWEBサイトを刷新。2月頭目処にスマホアプリも出します。水面下で半年くらい進めていたプロジェクトで、主にコンテンツ製作やサイト設計、たぶんプロモーションも僕が担います。

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僕らがこのサイトを設計した思考過程を共有しましょう。

ざっくりいうと

・事業の着想のはなし
・コンセプトのはなし
・コンテンツのはなし
・ビジネスモデルのはなし

雑誌の過去記事をWEBでサクッと取り出せたらいいのに

大学時代から雑誌が好きで、Esquireを筆頭にBrutusとかPENとかバックナンバーで買い漁っていました。しかし、あの記事どっかで読んだんだけど、どの雑誌のどの号に載ってたかなと思い出すことがけっこうあって。

人によっては雑誌は読んだらすぐ捨ててしまう人も少なくない。特に流行り廃りのあるファッション誌であればそれでもいいのかとは思う。一方でライフスタイル誌は10年経っても色褪せない号もあり、アーカイブする価値が高いコンテンツが多いと思う。雑誌の過去コンテンツを使ったWEBサービスができないか。これは大学時代に僕が描いた事業構想でした。

するとそのうちエニグモが「コルシカ」というのを出してきました。僕の発想に近しいサービスでしたが、版権で揉めたのか速攻でクローズ。権利問題をクリアーしないと難しいのだろうなと思いました。

東京カレンダーは雑誌として15年の歴史のある雑誌で、単純計算すると200号近くの資産があります。古すぎるものは使えないこともあるけど、こういった過去記事をWEBサービスとしてアーカイブして読める。それが今回の東京カレンダーでは実現できています。

東京カレンダーはレストラン選びのファーストオピニオン

コンセプトの話を。グルメサービスといえば食べログが圧倒的。(Rettyは省略)。とはいえ、グルメサービスが食べログだけでいいとは限らない。

僕自身のユーザーとしての感覚なのですが、食べログを見て「あの店に行きたい」と思うことはあまりないんです。食べログはどこかの店を誰かに聞いたりメディアで見た後に「4.11か。悪くないな」とか「3.2だけど新店でレビュー件数3件だから点数低くても今後評価される可能性ある」とか店に行く最終決定をする前に保険でみる役割が強いのではないかと。

そして一般ユーザーが見るのはほぼ点数と写真くらい。1件ずつ細かくレビューを読み込むユーザーはマイノリティと思われます。ゆえに食べログはユーザーのレストラン選びの「セカンドオピニオン」として確固たる地位を築いている。

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一方のレストラン選びの「ファーストオピニオン」とは何か。人に聞いた、Facebookに凄まじく旨そうな写真がupされてた、TVで見た、雑誌で見た、ミシュランで見た、ホイチョイで見た。大別すると「人」か「従来型メディア」です。僕は食べログ村上さん(注:本誌をご覧のスタートアップ関係者であれば、美味い店は村上さんに聞けば間違いないことを知っているはずです)お勧めであれば信じますし、ホイチョイで「やれる」に★が3つ付いていれば要チェックします。

CGMは集合知であり、それはそれで価値がある。しかし、「誰かが奨めている」という圧倒的な個によるキュレーションの方が、ファーストオピニオンとして実際に人の行動により影響を与えることもあるでしょう。

僕自身、東京カレンダーで読んで「うわ、洒落てるな(ヤレそう)」と思って行ってみた店にCORKとかあるし、ホイチョイには課金して食べログには未だに課金していない。食べログとは別軸で価値を出せると思ったんです。いち読者として、東京カレンダーのコンテンツ力を信じました。

ちなみに「Murakami.com」という村上さんが食べたレストランの写真とレビューがあがってくるアプリがあれば僕は課金します。テリヤキはこの思想ですが、自分にとってはよく知らない人が多いし更新頻度もまちまちなので、あまり刺さらず初月退会。

本誌にはない「ライフスタイルストーリー」をお届けします

肝心のコンテンツの話に移りましょう。東京カレンダー本誌のコンテンツをスマホ最適化して転載するものもありますが、本誌にはないWEB独自記事を出していきます。ここが僕の腕の見せ所です。

レストランに行く際のユーザー行動のパターンは下記と想定されます。

①:行きたい店がある(すきやばし次郎に行きたい!)
②:誰かと時を過ごすために行く店を選ぶ(相手に合った店を選ぶ)

グルメな人であれば①の用途も多いですが、世の中の人の大多数は②の用途の方が多いはずです。①のレストラン紹介は本誌でふんだんにやっていますので、②をシチュエーション別に区切ってストーリー仕立てでWEB独自編集の元、お届けします。

スタイルはcakes方式を採用。1つの連載がほぼ1ヶ月で完結するようにし、毎週月曜日更新とか、曜日ごとに更新されます。すると月曜日にはあの連載があるから見てみようかとか、メディアと読者間のリズムが生まれます。

具体的な連載の解説をすると、恋が生まれる!あの店のカウンター席という連載があるわけですが、僕が実際に(デートで?)行ったことがある店を軸にストーリーを組み立てています。『1967』で合コンしたこともありますし、非常に生々しい表記です。ノンフィクション30%、フィクション70%という案配でしょうか。

こうしたリアリティが読者の感情移入をそそると思っており、僕のユーザー体験ではcakesの藤沢数希先生の小説で「天王洲のレストラン」という描写が出てきた時に萌えました。明らかにTYハーバーのことであり、TYハーバーと表記しても差し支えないかと思いますが、この生々しさが良いのです。行ったことのある読者も多いから、一気に自分ごとのように捉えられます。いかに「自分ごと」と錯覚して感情移入できるか。これはコンテンツの要諦だとすら思う。

メディアの月額課金が成り立つか挑戦したい

最後にビジネスモデルの話。メディア論がスタートアップ業界で盛り上がる昨今ですが、cakesにしろNewsPicksにしろ、月額課金で数十万人の有料会員を囲えているようには見えませんし、なかなかチャレンジングです。

雑誌メディアは広告比率が高いとはいえ、数百円お金を出して買うという文化がありました。収益配分が販売:広告=1:2くらいの雑誌が多いのではないかと僕は予想しています。

雑誌のコンテンツにはお金を払う文化があったのに、WEBにはその文化がない。テレビもです。その文化を変えるのは難しい。雑誌からWEBの転換で成功しているメディアもまだない。GQは課金していないし。設計次第では雑誌の過去のアーカイブを活かし、WEB独自編集記事も活かすことで、課金メディアとして成立する可能性があると感じました。

最新記事は無料で読めますが、過去記事を読むのに課金する方式です。有料会員はプレミアム会員とし、月額500円のサービスです。オープン時点で過去記事が既に1,700本もあります。

ちなみに僕はUmeki Salonを通して小さいながらも月額課金メディアを成立させています。東京カレンダーのターゲット層はグルメ層が中心ですからそう多くはありません。二桁万人の有料会員は獲得できないと見ています。(食べログは現在50万人)スタートアップ企業ではないので、単体で上場や売却でのEXITを目指さなくて良いですし、雑誌起点のWEBメディアの成功事例を作れれば良いなと思っています。

今後はスタートアップ以外のこういったクリエイティブな仕事も増やしていきたいと思っておりますので、なにかひらめいた読者の方はお気軽にお声がけ下さい(東京カレンダーの仕事はフルタイムではありませんので、今まで通り色んなお仕事をしております)。

そもそもお前はそんなにグルメだったのか?と思う本誌固定読者の皆様も多いと思いますが、ここ2-3年でそこそこ鍛えられました。エンゲル係数は相当高めです。ほとんどソーシャルメディアにupしていませんが、食べるのは好きなのでお誘いいただけると嬉しいです。

東京カレンダーは、元々写真にこだわっていてビジュアルも相当映えます。元々の素材の良さにWEB独自のストーリーを付加することで、読者の皆様のレストラン選びのファースチョイスとして日々ご覧いただけるメディアを運営していきたいと思います。

見てね!

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今日も適当にツイート中。 @umekida

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