「マイコンテンツ感」が影響範囲を決める

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とある編集会議での興味深かった話を。

どういう記事が数字を取れるか?という分析をするのですが、そこで浮かび上がった概念として「マイコンテンツ感」というものがありました。

その記事を自分ごととして感じられることができるかどうか。まずそこでクリックが発生します。そしてその後、あまりにも自分に関係ありそうなコンテンツなので、シェアせずにはいられない。となる。

SEO的な概念でいうと「検索クエリ」が大きいキーワードほど「マイコンテンツだ」と感じる読者が増えます。たとえば「結婚や離婚」などは誰しもが身近に感じる最たる例でしょうが、逆に「Linkedin」とか日本でいっても、アクティブユーザーが少ないので反応する読者は少ない。

キーワード、コンテンツごとに「どこまでリーチするかという市場」がある程度決まっているのです。

ニッチはニッチで悪いわけではなく、特定領域のコンテンツを掘っているとニッチな人が寄ってくるので、ニッチな分野で交流を深めたいとか、ニッチな専門家と思われたいという意図があればそれで良いと思います。

ただ、「Linkedinはニッチなワードだから読まれなくてもしょうがない」と諦めてはいないでしょうか。編集によって、そのキーワードやコンテンツの価値を上げ、影響範囲を拡張できる(言い換えると、マイコンテンツ感を感じる読者を増やす)のが一流の編集者の仕事なのではないかと、思います。

①イメージ的にはこんな感じです。そのコンテンツの市場が狭いと仮定して、編集で+αを加えたら、そのコンテンツに興味を持つ人(マイコンテンツだなと感じる人)の市場が広がる。このスキルが、有能な編集者の条件の一つといえるのではないかと。編集とは「異質なものを組み合わせ」てアウトプットを出すことであり、何も新たな発見がなければ、それは編集ではなくコピペと呼ぶのだろう。

ある意味、概念やキーワードがニッチなモノはまだ需要が顕在化しておらず、検索クエリが低いためSEOは効果が薄いともいえます。新市場を啓蒙していきたいフェーズにおいては、市場が小さいコンテンツに対して、+αを組み合わせて、より多くの人に興味を持ってもらう上記の手法が重宝されます。

これをそれっぽくいうと「編集工学でコンテンツの影響範囲をエクスパンドする」といえるが、「編集工学」とかファジーな言葉すぎて危険なので、そういってみたかったですと記載するに留めますが、筆者にはこの表現がもっともしっくりきます。

この「編集工学でコンテンツの影響範囲をエクスパンドした事例」としては、インターネット業界以外においては「サイバーエージェント」は大した関心事項ではなかったものを、「CA女子」という概念を組み合わせることで、非インターネット業界以外にも、サイバーエージェントないしはCA女子というコンテンツの影響範囲が拡張され、興味を持たれるようになった。とか。これは明らかに「α=CA女子」がコンテンツの影響範囲をエクスパンドさせる役割を担ったといえます。

非インターネット業界においては「CA女子」は知られていても、「オプト」や「セプテーニ」は単語自体知られていない確率が高いでしょう。

ニッチを掘ること自体を否定するわけではありません。本誌かてわざとニッチなワードを散りばめて「一見さんお断り」な空気を醸し出し、読者とハイコンテキストを共有して楽しみたいという排他的志向なメディア。

とはいえ、そればかりではなく、ニッチなコンテンツでもより多くの人に興味を持っていただけるような工夫ができる編集力を身に付けたい。それを継続できるメディアが、読者の範囲も拡張できるのでしょう。サロンとかも当初全然想定していなかった属性の方も増えていますし、コンテンツの組み合わせによる拡張性や、メディアの拡張性は今後も思考を深めていきたいところです。



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