ポップカルチャーのニュースサイトのナタリー。2014年8月22日にはKDDIによる買収が発表されました(金額非公開だが筆者は5-10億の間と予測)。ナタリーの月間PVは3,100万。ナタリーという名前は聞いたことがあり、津田大介さんが絡んでいるくらいのことは知っていましたが、ポップカルチャーに興味がないのであまりサイトを見たことがありませんでした。
代官山蔦屋をうろうろしていたところ、ナタリーってこうなってたのか
という本が平積みされており、「買収発表後に発売なんてタイムリーだな」と思い、メディア研究がてら買ってみました。本書を読んで僕なりに「なるほど!」と思った点をご紹介。
■1:批評はしない。全部やる
ナタリーというサイトはあくまでニュースサイトであり、批評はしないそうです。「全部やる」というのは細かいニュースを拾って記事にすることを指すと解釈。例えば「いいとものテレフォンショッキングに明日倉木麻衣が出演!」とか、いいとものテレフォンショッキング出演情報などいままでニュースネタになっていないものでも、アーティストのファンにとって重要な情報だと判断すれば掲載する。ニッチメディアは見習うべき観点かも。
■2:あらゆる情報をフラットに扱う
本書では別の言葉で「誰が書いても同じ記事になるのが理想。個人の感性や意見を盛り込む必要はない」ともありました。僕個人としてはメディアは編集長の趣向が色濃く反映されるもので書き手には個性があって然るべきと捉えていましたが、考え方が真逆。コーポレート観点で見ると誰が書いても同じ記事になるというマネジメント手法は正しいと思うし、今回KDDIに売却したように「誰でも回せる体制」を作れているとメディアを売却しやすい。
その点、The Startupのようなメディア=編集長なメディアは非常に売却しにくい。ロックアップが解けて僕がいなくなったら価値が下がるから。個人メディアば事業売却には向かないなと思う。
■3:みっともないことはしない
PV稼ぎのゴシップや釣り記事は出さないというポリシー。具体例としてAKBの坊主事件の時は他のメディアでは「これは体罰に当たらないか」など最もらしいこと言いつつもPVを取りにいっていた。ナタリーではこのネタには最小限しか触れず、しかも峰岸の坊主姿で一番可愛いと思われる写真を使うよう配慮したという。
ここに関しては僕も苦心しているところで、本誌のポリシーとしては「炎上ネタに乗らない」というのがある。例えば今のご時勢でいうとバイラルメディア叩きなどがそれに当たるが、既に燃えているモノを叩いて数字を取るのは僕の美学的には非常にカッコわるいことで、倫理観を疑う。
一方で僕が一次ソースとして問題提起をして燃えることはよくある。その場合僕は記事を出す前にドラゴンボールネタはバイラルコンテンツだな。などとわかってやっているので、PVが取れるという読みがなきにしもあらず。釣りに行っている時もある。これは今後もそうすべきか再考の余地はある。
■4:人を動かす飽和点を意識
「この一言があるかないかで読者のボルテージの上がり方が全然変わってくる」という話がありました。この微妙な空気感を読み取るのがおそらくナタリーは上手で僕は下手なところ。絶妙な親しみやすさを演出し、温度を感じさせることは大事だよなと。この点は僕も意識していくので、月内には実験的に「うめきくん」が登場する4コママンガコンテンツを出す予定です。あれ。そういう問題ではないか。
■総括:ナタリーってまともなメディアなのね
当たり前のことを淡々とやっている感じが僕にはむしろ新鮮でしたし、ニュースサイトってそういうものなのかなあと。The Startupの運営方針とは150度くらい異なるので、ナタリーの背後にある思想を知れたことは自分の引き出しの一つとして有用でした。
メディア運営に携わる人はぜひ読んでみてください。1,080円と安い。
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