速報です。2014年6月3日に行われたシードアクセラレーターMOVIDAのDemoDay5thに参加してきました。MOVIDAのDemoDayといえば本誌の読者にとってはレベルの低いDemoDayはやめろという記事でお馴染みかと思います。
僕は記事に対するソーシャルメディア上の反応に対して、ソーシャルメディア上でやり返すことは98%ありませんので静観しました。炎上の論点は主に2つあり、①イベントに参加してないのに記事を書くな、②DemoDayは玉石混合でいいのでは。というものでした。
①に関してはネット上と参加者の情報を元にした記事を書くことに問題ないと思ったのですが、参加した上で書くのであれば誰も文句はいえないだろうと思い、今回は会場である大和証券本社からお届けします。
折角ですので、1社ずつ簡単なサービス概要に僕のコメントを付記して紹介していきます。
1:Eigooo!(チャット形式英語学習)
英語関連サービスではレアジョブの上場承認が降りたばかり。Skypeではなくスマホでチャットで英語学習するサービス。
英語チャットサービスはOKpandaなども競合ですでにいて、スマホ時代においてあり得るかもなというサービス。実は既にOKpandaとEigooo!は両方使っていて、英語チャットサービスの記事を書こうと思っていました。しかし、チャットで本当に英語学習になるのか?というのが微妙だと思いました。外国人の先生とチャットしてみましたが、あまり面白くないんですよね。。。たしかに英単語を間違って送ったりすると、添削されるのは良いのですが。
OKpandaの方がストーリー性やビジュアルがリッチで楽しいのですが、英語を遊びで趣味としてやる分にはいいかもしれませんが、「学習」に向くとはあまり思えず。ゲーミフィケーション要素を入れていたりするのは良いと思うのですが。データドリブンでユーザーに最適化した学習機会を提供できる可能性はあるので、「学習」として機能していくのか懐疑的ではありますが、気になる分野ではあります。
2:BrainWars(リアルタイム型対戦脳トレ)
脳トレ×リアル対戦で世界中の脳力をアップさせるサービスとのこと。一応、EdTech領域ですね。デモを見た感じ、暇つぶしにいい感じでしょうか。テトリス的なノリですかね。知能テストにもなりそう。情弱層にはウケる可能性がありそうですね。カジュアルゲームともいえそう。
しかし、カジュアルゲームは一瞬ハマるものの、継続率はどうなのか。5/14にリリースしたばかりで、2万DLいっているようですが、今後の継続率が気になりますね。マネタイズは基本フリーミアム。LINE POP的な展開があればアップサイドがないとは言い切れない。脳トレ市場自体はDSなどでヒットゲームもあり、BrainWarsは500万DLを目指すとのこと。
聞く前は微妙かなと思いましたが、ヒットするのもあり得なくはないかなと思いました。
3:Categorific(自動学習型の画像フィルタリング)
ビッグデータサービス。画像認識技術。オフェンス的には、似た画像を近くにまとめて、ユーザーは素早く自分が欲しいモノに辿り着ける。ディフェンス的には、従来は人力でやっていた画像の投稿監視を、システムで自動化できる。半年で1,000万枚の画像を処理してきたそうです。
法人向けの地味なサービスですが、投稿監視事業だけでイーガーディアンが上場しているくらいなので、画像認識事業自体にはニーズはあります。マネタイズは成果報酬でレコメンドされたスタンプなどのコンテンツのコンバージョン数に応じた成果報酬のようですが、ここはたしかに安いけどちょっと市場規模が小さそうだと思いました。
上手くいけばどこかが買収してくれそうな事業ですね。
4:Graph(統計情報の簡易検索)
最近Umeki Salonに入った高橋さんのサービス。ストレートにいうと、統計情報が簡単に間作できるサービス。今まで検索してからデータを加工したりして1時間かかっていたものが、10秒でできるというサービス。
「探す」「整理する」「加工する」「貼付ける」ここの「整理する」「加工する」が省ける。メディアやブロガーを手軽さで圧倒的に感動させるサービス!だそうです。
たしかに便利なのですが、僕の場合はネットに落ちているコモディティ情報を拾いたいわけではないので、その辺のカスタマイズが難しいだろうなと思いました。たとえば2014年に1億以上調達しているスタートアップのデータが欲しい時に、それがGraph1発で出てくるとは思えません。それができれば本当に凄いと思います。
法人向けの課金がマネタイズの中心でしょうが、このサービスでいくらくらい課金できるのかまだイメージが付きません。「ブログパーツ」「検索」「データのSNS拡散」で年内10億PVを目指すそうです。高橋さん、頑張ってください。
5:Pedal Forge(音楽機材の試聴サイト)
音楽機材の売上の4割がネット経由のようです。このサービスはまずはギターの視聴から始め、そのうち様々な楽器に横展開するとのこと。リアル店舗でも機材がなければ視聴はできない。音楽機材は単価も高いので、視聴サイトを通してコマースに結びつけやすい。CVRは高そうです。地味に見えますが、手堅く売上が上がるかもしれません。
6:Sttir(ミュージシャンのためのGitHub)
音楽のリミックス素材をオープンソースとして提供し、それをユーザーが使える。作曲ソフトを使う人をターゲットとしている。「ミュージシャンのためのGitHub」というコンセプトは非常にわかりやすい。「Open Up Music」というビジョンも良いですね。
マネタイズはストレージかプライベートモードの2つ。ただ、利用するユーザーボリュームが国内だけだとかなり限定的ではないかと思う。コンセプトは面白いけど、スケーラビリティには懐疑的。
7:LIVE3(今夜の予定を探すアプリ)
都内では平均1日4万人がイベントに参加していて、毎日売上20億を上げているそうです。Googleでは上手く探せないイベント情報。キュレーションメディアのようで、1日10件程度厳選したイベントを表示していく。売れ残ったチケットを格安で販売する。
イベント情報ではtixeeとかもありますが、LIVE3は「今夜」に特化しており、キュレーションで1日10件程度のイベントが紹介される。コンセプトは絞り込まれていて、ユーザーが使うイメージは沸きます。米国にY Planというサービスがあり、少し似ていますね。
マネタイズは決済手数料10%。音楽が3,500億の規模とか云々といっていますが、もうちょっと市場規模は現実的な市場にブレイクダウンしてみてほしいですね。この手のピッチで「1兆円市場だぜ!」とかいうのは聞き飽きました。リリース2ヶ月で5,000DLでさほど多くはない。ちょっと売上をスケールさせるのは難しそうだと思いました。
8:ムビロビ(映画を「だれかと行くイベント」にするソーシャルサービス)
映画系サービスは前もあったような…。劇場の可能性を拡張するサービス?
劇場情報を投稿してそのスレッドで情報交換して楽しみ、O2Oに持ち込む感じでしょうか。うーん。「知り合いではない誰かと映画を見に行きたい、コミュニケーションしたい」というニーズが大きくないと思う。ニーズ自体をわりと大きく外していると思います。ほんの一部のニーズだと思う。スケーラビリティに懐疑的。
9:Combinator(スタートアップ仲間集めプラットフォーム)
これもUmeki Salonメンバーの清水さんのサービス。半年前くらいにコーヒーミーティングでサービス相談に乗った覚えがあります。その際には「これ、Wantedlyでいいじゃん」という印象でした。
Wantedlyとは転職ではなく、プロジェクトベースでの参加を募るという点が最大の違いでしょうか。既にプロジェクトとメンバーがマッチングしている事例も出て切るようです。最初は軽くプロジェクトに参加し、その後転職するというような感じ。「プロジェクト・リクルーティング」という概念は面白く、今後終身雇用で1社に務めるのではなく、複数のプロジェクトに参画する機会が増えてくると思うので、時流にも沿っていて良いと思う。
メディアを通じたユーザー獲得を目論んでいるようですが、TechWaveやThe Bridgeと組んでいるようなので、嫌いですw The Startupではおそらく組みません。
全く本質的な使い方ではないのですが、スタートアップしたばかりのプロジェクトが多く掲載されているので、シードアクセラレーターやアーリーステージの投資案件のソーシングに良いと思います。
既に使えますね:Combinator
10:たびのたつじん(東南アジアで日本人向け現地旅行ガイド)
C2Cのローカルガイド。1人数千円代程度でガイドをしてもらえる。C2Cなので旅行代理店よりは格安(30-40%安い)。
しかし、この手のサービスはマッチング件数を伸ばすのがかなり難しいと思う。アクティブな旅行ユーザーでも継続回数が短期間では伸びにくい。ヘビーユーザーを生み出しにくい構造。地道なプロモーションが必要で、立ち上げにかなり時間がかかる印象。ただ、それなりのニーズはしっかりある。
極めて似たサービスにmeetripというものがありましたが、Donutsに売却していますね。いくらだったんだろう。1-2億くらいかな。
11:4meee!(4コマ最新ガールズトレンドメディア)
バーティカルメディア・キュレーションメディアは僕の中では一番注目分野。次の主戦場はここだと考えています。NAVERまとめのようなまとめ記事も長くて読みにくい。ということで、4コマでまとめており、たしかに情報がまとまっていて読みやすい。開始1ヶ月で100万PVのようです。
先行者のmeryがかなりグロースしているという説もありますが、良いコンテンツを作れればいいだけではなく、どうマネタイズするかという視点が重要なので、その辺は中川綾太郎先生には勝てない気がしますね。サイバーエージェントも類似分野でSELECTYなるものを出してきており、早くもレッドオーシャン化しています。
meryや4meee!のようなメディアは我々が普段接しない若い女性がターゲットユーザーなので、どこまで伸びるのか想像が付かないのですが、女性向けバーティカルメディアはオンラインで強いところが少ないので、勝てる余地はまだまだあります。どこかが飛び抜けて勝つのか、共存できる市場なのか。女性ファッション誌が何十冊もあるところを見ると、共存できる市場であると思います。
プレゼンターの女性が「もっと可愛くなりたい!」と言っていましたが、会場のおっさんたちはツボっていましたね。
12:aorb(不特定多数に2択のアンケートを実施)
写真ベースで2択のアンケートを取るサービス。これはマクロミル的なリサーチ市場を狙う感じでしょうか。Yahoo!クラウドソーシングでこの手の簡単なアンケートに答えて、ポイントを溜めようというのがあったと思います。
しかし、誰がノンインセンティブで継続的にアンケートに答えるのか。10代の女性が主なユーザーのようですね。暇なユーザー層の心理が最近は全然わからなくなってきたな・・・。んー、そんなに儲かるように思えない。
13:暇スイッチ(暇な時に暇な人と繋がり遊べるアプリ)
暇な人を探して、マッチングしてチャットやスタンプ送れるサービス。6万DL、チャット件数200万件あるようです。
・・・。
SnapChatとかもあるしね。暇なユーザー層って金になるのか懐疑的です。
今回はお世辞ではなく、クオリティ上がったと思います
僕はMOVIDAのDemoDay3thは現地で見たのですが、その時の印象が最悪に近かったんですね。ただ、今回はかなり改善されているように思えました。今回もイマイチだろうと思い、現地到着前に描いた記事タイトルは「MOVIDAのDemoDay、やっぱり・・・」というタイトルでした。
全体的にファウンダーがほぼ20代で、13社中3社がSFC卒だったのが特徴的に見えました。未だに半分くらいは厳しいだろうなと思うサービスでしたが、僕なりの定量的な判断を最後に提示して記事を締めましょう。
■今後、数千万円の資金調達があり得るサービス:6社
1:Eigooo!(EdTechはキツいがEdTech好きなCAVが入れそう)
2:BrainWars(ゲーム×EdTechはどこかしら興味を持ちそう)
4:Graph(XICAと被らないと思うのでセールスフォースとかからあり得るかも)
7:LIVE3(ユーザー数をそれなり集め、高いCVRを出していければ、イベントチケッティングサービス各社がそれなりに調達しているので、次のラウンドがあり得る)
9:Combinator(売上が付いてくれば、Wantedlyをマルチプルに調達できる可能性は出てくる)
11:4meee!(女性向けメディアでPVの伸びを示せれば、meryをマルチプルにHigh Valuationが付く可能性がある)
イトケンさん、どこか跳ねるスタートアップが出てくるといいですね。
追記:交流会でのイトケン氏「3thはしょーじき、キツかった」
Gunosy木村さんも参加する、会員数234名突破のUmeki Salon
内容の参考:Gunosy木村氏の降臨、野村證券の近未来的なIPO時価格算定方法など
梅木雄平が選ぶ珠玉の書籍40冊。
コーヒーミーティングで梅木に「いつかお茶したい」しよう!
今日も適当にツイート中。 @umekida