オプトに45.4%の株式を取得されたジモティーにみるファンド主導スタートアップの是非

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札幌の皆様、いかがお過ごしでしょうか。セッションの参考資料となる記事をThe Startupからご提供します。

成長するC2Cマーケットの展望的なセッションがあるかと思いますが、成長企業の資本政策としては耳を疑うディール情報をたしかな情報筋より得たのでご紹介します。

■ジモティー、大手上場ネット企業から2億円を調達したらしい

☆Valuation
Pre :数億円台後半
Post :数億円台後半
*Pre⇒Postは20-25%程度の上昇

大手上場ネット企業は2億の出資と別にIVPから2.5億分譲渡で引受けたらしい

☆持分
大手上場ネット企業:4○%
IVP:3○%
その他複数:○○%

IVPは累計2億を出資しており今回2.5億を回収したらしい。

(出典:ジモティー関係者筋以外の確かな情報筋)
*具体的な数値の開示は控えました

成長企業にしてはValuationが芳しくなく、資本構成が??という感じ。成長企業であれば既存株主が新規株主に出資額とさほど変わらない額で譲渡することはないと思うのですが。

生々しい数字から始めましたが、今回僕が問いたいのは「ファンド主導のスタートアップの是非」という議題。The Startupのコアな読者の方は知っていると思いますが、僕はジモティーの立ち上げに半年関わっています。本件に関しては僕はかつてのインサイダーなのです。ちょうど3年前のIVSに参加させてもらっています。札幌のIVSはホテルの料理がマジで美味かったのが思い出です。

ファンド主導のスタートアップ。ジモティーは100%IVP出資としてスタートしました。僕が実際に働いた経験を元に、ファンド主導のスタートアップで論点となる二点を掘り下げて考えましょう。

1:(経営)チームビルディングの課題

普通、スタートアップでは創業者が「これやりたいYO!」といって事業を始め、人を巻き込んで経営チームを組成します。ファンド主導のスタートアップでは「このテーマで会社創るか」「代表は俺やっとくけど、社長候補探さなきゃね」という感じでスタートします。創業者がファンドの株主となります。

僕の実体験だと、色々なルートから人を集めてチームを組成していくのですが、創業者に惹かれるよりかはテーマに興味をもった人を集める感じで、どうもチームとしては一枚岩になりにくいのかなという印象を持ちました。

社長「スタートアップなんだから死ぬ気でやれよ」
梅木「ィー!!!(ショッカーの如く)」
社長「俺、砂漠走ってくるわ」
梅木「ィ、ィー!?」

社長も一緒に土日必死にやるよというのであればチームビルディングに問題ないかもしれませんが、ファンドという立場もあるためそうはいかなかっただろうとしても、ショッカー梅木としてはちょっと疑問を感じました。。

2:いびつな資本政策の課題

次が資本政策。ファンド主導のスタートアップの場合は初期の投資家の持分比率がどうしても高くなる。というか100%の場合もある。スケールにあたり第三者割当で比率を落としていくわけですが、社長の持株比率が通常の創業社長よりはかなり低いのではないかと想定されます。

ファンドからそれなりの高い年収を支払われたとしても、現株を持たずに社長をやり続けるのは、僕ならモチベーションが上がりません。意思決定権もないですし。いくら株主がケツを叩いたとしても、結局社長や従業員のモチベーションが上がらないと、事業は立ち上がらないと思う。インセンティブ設計に工夫の余地がある。

ファンド主導のスタートアップは「会社は誰のものか」という普遍的な経営学のテーマに繋がります。教科書的な回答は「株主のモノ」なんでしょうが、スタートアップが株主の奴隷となっていたのでは、成功するものも成功しないと思います。良い感じの案配を心掛けるべきです。

この記事出すか、しょーじき悩んだよ

ジモティーはクラシファイド広告という僕が今まで見た中で最も難易度の高い分野であり、成功するか否かはファンド主導のスタートアップか否かとは別問題ではあると思います。しかし、ファンド主導のスタートアップのケーススタディーとして現時点ではこのような資本政策になっている。その背景に僕が働いた実体験からこのような論点がある。というのは、記事にする価値のある情報だと判断しました。

この記事を出すか否か非常に悩みました。「古巣を悪く言うのか」「生々しい資本政策を出すのか(具体数字は控えました)」「お前の倫理観を疑う」これらの批判が僕に降ってかかるのは承知の上です。僕も記事を通して幾多の修羅場を潜ってきたので、その手の反論は想定済みです。

それでも僕はこのテーマは記事として出すべきだと考えました。同じ情報を仮に知ったとしても、スタートアップ広報誌的なメディアではこの話題は絶対記事にはなりません。だからこそ僕が書く意義があるのです。

感情論がないといえば嘘になります。ただその感情は両方ある。IVPのやり方に兼ねてから疑問を持っていたという感情もありますが、お世話になった方々に対して良心が傷まないといえば嘘になります。しかし、僕はプロフェッショナルとして、敢えて可燃物である表現を用いれば「ジャーナリスト」として、このテーマをスルーするわけにはいかなかったのです。

皮肉ながら、この記事を出すことを迷ったときに、「ノールックポチリ」という言葉が頭を過りました。僕はその教えに従うことにしました。

本件はファンド主導のスタートアップのケーススタディです。二元論的に是非を問うても「案件による」という無難なコメントが返ってくるでしょう。記事タイトルでは「是非」とし、僕は記事の論調では「非」のスタンスを取りました。この議題に対してどんな論点があり、読者の皆さんはどう考えるのか。いつも通りNewsPicksなどでのコメントをお待ちしております。

以上、札幌を思いながら恵比寿よりお届け致しました。

LINE田端さんも参加する、会員数225名突破のUmeki Salon
内容の参考:【きまぐれUmeki Salon第1号】LINE田端氏の降臨など

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著書、グロースハックYahoo!で要約を紹介。

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今日も元気にツイート中。 @umekida

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