投資家と起業家のガチバトル：Incubate Camp5th潜入レポート

Pocket

2013年5月18日19日に開催されているIncubate fundが主催するIncubate Camp5thに潜入している。概要を説明すると、13人の起業家（および予備軍）が自身のビジネスプランを持ち込み、下記の投資家からメンタリングを受けた後、初日にピッチをする。その後、投資家によるドラフトがあり、投資家と起業家がチームを組む。投資家によるブラッシュアップの後、2日目に最終プレゼンがあり、上位3人へのIncubate Fundからの投資が決まるというイベントだ。

VCの赤本にも登場いただいたキャピタリストの方も多数（というか半数がそうですね…）まずは初日のハイライトとして、13サービスのプレゼンから、気になったサービスをいくつか紹介する。ビジネスプランに対する、個人的なツッコミおよび所感となる。（数字はプレゼン順）

①：One Map（旅行計画作成サービス）

ターゲット：旅行計画を作成したい人
課題　　　：旅行の計画立てるのは面倒で、まだオンライン化されていない
提供価値　：旅行計画の作成を簡単にでき、予約もそのサイト内でできる

梅木コメント：「旅行計画市場」という潜在市場はたしかにあると思う。似たようなサービスを一時期ブラッシュアップしたことがあるのだが、簡易的なUXがこの手のサービスで一番重要で、パッとDEMOを見た限りではいい感じに見えた。

④：MY STCOK+（個人投資家向け情報提供サービス）

ターゲット：長期で成長株に投資したい個人投資家
課題　　　：情報が多すぎて投資判断できない
提供価値　：リサーチ情報など？

梅木コメント：情報の提供の質が最重要と思われるが、どういう体制で提供情報を生産をしていくのか。中小株のアナリストを数人インハウスで内製するくらいの質が求められるのではないか。証券会社が対法人で展開しているリサーチモデルを、対個人で展開するモデル。ニーズはあると思うので、スケールする可能性はある。

⑥：サムライト（コンテンツマーケプラットフォーム）

ターゲット：良質なSEO対策をしたい企業
課題　　　：良質な記事コンテンツ制作の難易度が高い
提供価値　：良質な記事を書けるライターを提供（ライターDBのプラットフォーム）

梅木コメント：SEO市場がコンテンツマーケティング市場に転換していくという点は同意で、私も実際にその手の仕事を手掛けている。しかし、良質な記事を書ける書き手の供給量は相当に限られており、そういう書き手の量産は難しい。良質な記事を書ける書き手は既に忙しく、そういう書き手をどう参加させるのか。

Yahoo!個人やハフィントンという知名度のあるニュースサイトでの量産も難しそうに見えるが、金銭的なインセンティブを用意したとして、どれくらいスケールさせられるかに疑問は残る。とはいえ、個人的にはターゲットユーザーなので興味がある分野。

⑨：MYFP（家計簿＋資産運用？）

ターゲット：金融リテラシー低い低所得者
課題　　　：家計の資産管理（節約したお金を何に使うかなど）
提供価値　：目的なモノを買うために、具体的な目標を決めて、どう運用するか

梅木コメント：Zaimがかなりスケールしているという話を聞くので、その延長には可能性がある。しかし、家計簿でファクトを付けてその上でどう運用するかという提案はどこまでユーザーに必要とされるのかに、少し懐疑的に思っています。

⑩：Code Camp（エンジニア版レアジョブ）

ターゲット：就職できるくらいのスキルを身に付けたい初級エンジニア
課題　　　：エンジニアの大きな需要に供給が追いついていない
提供価値　：Skypeでのプログラミング個別指導学習

梅木コメント：エンジニアを「探す」から「育てる」という流れには強く共感。エンジニア版レアジョブというのがわかりやすい表現となるが、レアジョブと異なるのは教師側の希少性。英語を喋れる人は多く、フィリピンということで人件費も下げられる。エンジニアの場合は教師側のコストが高いと思われるため、利益率はレアジョブよりかなり低くなるであろう。教師を集めるハードルが高そう。

⑫：レコメン（他薦による婚活マッチング）

ターゲット：結婚相手を探している人の友達
課題　　　：既存の婚活市場でのマッチング率が低い
提供価値　：結婚相手を探している人を他薦（紹介文を書く）し、他薦同士でマッチングする

梅木コメント：婚活市場には個人的に強い興味がある。サンプル数が少なく、実験ではあるもの、他薦同士のプロフィール？を見ての「会ってもいい」という確率が67%だったという点も興味深い。他薦してくれるインセンティブなど、突っ込みどころはあるが、FBを利用した他薦による婚活はあり得るし、ユーザーとして使いたい。