今日公開した、メディアの中立性という幻想、そして独立性という記事に対して、Umeki Salonでいい感じにコメント欄が盛り上がってくれました。(コメントは後でレスします。とても感謝しています)
そこで一番興味深かったのが、「中立性」ではなく「攻撃性」が論点ではないかというご指摘です。これはたしかにそうだなと思いました。コメント欄の盛り上がりを横目に、奇しくもとあるサロンメンバーと先程ランチをしていて、やはり私と市場の見解にギャップがあることを認識したため、自戒がてら記事化しておきます。
「かなり多くの投資家がThe Startupを見ています。The Startupは第三者機関として、投資家の投資判断に影響を与える可能性があります。記事1本で、スタートアップの5,000万円や1億円の資金調達を左右し得るという現実を認識しておいた方が良いと思いますよ」(某サロンメンバー)
皮肉なものです。良いスタートアップを紹介したり、事業分析を展開する本誌が、スタートアップの生殺与奪権を握っている可能性があるのです。一方でこれは、一時期のTech Crunchの構造に近しいと思いました。
■Tech Crunchポジティブ・ループ
1:Tech Crunchでサービスが紹介され、認知が上がる
2:投資家の目に留まり、出資を受けやすくなる
3:業界人の目に留まり、採用がしやすくなる
Tech Crunchに記事が掲載される意味は、単に1つの記事が出たという意味に留まりませんでした。記事1本でこの「Tech Crunchポジティブ・ループ」にハマったサービスは実際いくつかあったでしょう。Tech CrunchによるWantedlyの記事はこの印象が私の中では特に強く(記事もそうですが、「超新星が現れた」的なファクト・インパクトも大きかったですが)、記事1本でここまで世論形成できるのかと感じた出来事でした。本田圭介のFKのようなインパクト。
ただ最近のTech Crunch Japanには以前ほどのポジティブ・ループを形成できる力がないように思えます。業界の皆さんならその理由をご存知でしょうが、理由は伏せておきましょう。
2013年5月現在のThe Startupは、当然Tech Crunchほどの影響力はまだ持ち得ていないでしょう。しかし、ポジティブ・ループの一角である「2:投資家の目に留まる」可能性は高まっており、The Startup上でスタートアップサービスがどのように評価されるかという点に注目している読者は一定数いるということを、私は運営者としてしっかり想定しておくべき。時に攻撃的な姿勢は、スタートアップの資金調達に影響を与え得ることを認識しておいた方がいいでしょう。
投資家などのアッパー層を押さえたメディア作りというのは当初の目論見通りですが、アッパー層ゆえに記事クオリティが低いと読者は逃げていってしまいます。情報弱者のためのメディアではなく、あくまでアッパー層をターゲットにし続けたいと考えています。
スタートアップを殺さないように。しかし時にはいちユーザーや事業分析を通じて、読者に価値を提供するメディアであろうと思いました。事業者は情報公開をコントロールしたがります。メディアは読者に伝えるべきことであると思えば、時に事業者の心理を無視する必要があるでしょう。その観点に今一度慎重になるべきだなと思いました。
そして、一時期の「Tech Crunchポジティブ・ループ」を再現し得るメディアを構築することを目指します。
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